小笠原道大が2025年セ・リーグの順位を予想 連覇を狙う巨人の投打のキーマンは?

大利実

CS最後のイスは広島と阪神の争い

広島は小園海斗らの主力が昨年同様の実力を出せば、十分上位の可能性はある 【写真は共同】

――3位予想は広島。

 広島と阪神で迷いましたが……。正直、3位争いはかなりの僅差になると思います。もっと言えば、巨人の主力にケガ等の誤算が続くような場合は、4位の阪神まで優勝の可能性が出てくると見ています。

――昨年の広島は夏場までは優勝争いを繰り広げていましたが、9月に失速したことでCS出場を逃しました。

 8月までの戦いを見れば、投打ともに力を持っていることは証明しています。レギュラー陣が力通りに成績を出せれば、CS争いには加わってくるでしょう。

――野手陣を見ると、昨年は小園海斗選手や矢野雅哉選手、坂倉将吾選手が、主力として存在感を示しました。

 今年も同じようにチームを引っ張れるかが、上位を狙うカギになります。あとは、新外国人のエレフリス・モンテロ選手やサンドロ・ファビアン選手が、どれだけ長打力を発揮できるか。中軸に固定できるようになれば、周りの若手が無理な背伸びをせずに、自分のバッティングに集中できると思います。

――4位は阪神。

 2年前に優勝を経験した選手が揃っていて、地力は間違いなくあります。ただ、昨シーズンに主力選手が軒並み成績を落としたように、少し噛み合わない部分を感じるのが、4位の理由です。スタートダッシュをどれだけ決められるか。才木浩人投手、村上頌樹投手ら、先発陣のコマは揃っているだけに、得点力アップがポイントになってきます。

――プロ入り3年目を迎える森下翔太選手が着実に成長しているように見えますが、小笠原さんの眼にはどう映っていますか。

 成長しているのは間違いありません。今の積極性を大事にしながら、状況に応じたバッティングができれば、さらに打点を稼げるようになるはずです。

前向きな雰囲気を作り出す中日・井上監督

中日は細川成也を筆頭に打線の上積みがあれば少しでも順位を上げられそうだ 【写真は共同】

――5位は小笠原さんの古巣・中日。

 もう少し上にいけそうな可能性は感じるのですが、近年の成績を考えるとこの順位に……。投手陣がいいのはわかっていることなので、得点力をどれだけ上げられるか。キャンプを見ていると、村松開人選手、福永裕基選手の体がひと回り厚くなったことで、スイングが安定し、いいバッティングをしていました。期待したいところです。

――Aクラス入りのキーマンを挙げるとしたら、誰になりますか。

 あえて挙げるなら細川成也選手です。ホームランに加えて、確実性が増していけば、間違いなく打点は増えていく。長打が欲しい場面なのか、あるいは単打や犠牲フライで1点が欲しい場面なのか。状況を頭に入れたバッティングも、身に付けてほしいところです。

――井上一樹監督に代わりましたが、どんな期待を持っているでしょうか。
 
 どのチームにも言えることですが、監督が代わるとすべてが変わります。今までくすぶっていた選手は「よし、頑張ろう!」と前向きな気持ちになる一方で、試合に出ていた選手は「うかうかしてられない」と思うようになる。そのうえで、井上監督は非常に前向きな性格で、細かいことをあまり言い過ぎない。監督自ら、選手が上を向いてプレーできるような雰囲気を作っていると感じます。

――最下位がヤクルト。

 ここまでの5球団と比べると、どうしても投手陣に弱さを感じます。3年目の吉村貢司郎投手が成長していますが、開幕投手に決まった奥川恭伸投手はコンディション面に不安が残ります。ドラフト1位の中村優斗投手ら、若手がどこまで出てくるか。ただ、神宮球場は屋外にあることを考えると、夏場の疲労度はドーム球場とは比べ物にならないものがあります。どれだけ経験を積んだ選手でも、夏場を乗り切るのは大変なものです。

――なるほど、そのあたりもペナントレースの戦いには影響してくるわけですね。

 これはもちろん、野手にも言えることです。目に見えない疲労が溜まることで、スイングが鈍くなることは当然あります。

――野手は、村上宗隆選手やドミンゴ・サンタナ選手、ホセ・オスナ選手ら、一発のある打者がいます。

 投手陣のことを考えると、打線の援護は必須でしょう。村上選手は昨年の前半、スイングが崩れていましたが、後半にはいいときの状態に戻っていました。今年も継続できれば、三冠王に近い成績を残すはずです。

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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