「聞くことは恥ではない」オリックス・九里亜蓮の移籍1年目 さらなる進化でパ12年ぶり記録狙う

九里亜蓮投手 【©ORIX Buffaloes】

 新天地で開幕を迎える九里亜蓮投手にとって、心技体で充実の春となった。チームにもすっかり馴染み、ベテランにも10歳以上年の離れた若手にも「この球種を教えてほしい」とすでに聞きに回っているのだという。「聞きに行くことは恥ずかしいことではない」と胸を張る九里投手の言葉は、新生活を迎える皆さんへの金言になるかもしれない。そんな九里投手が語る、オフの取り組み、今年目指すハイレベルな目標。「僕のここを見てほしい!」というトピックでは珍回答も……?

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「若い選手に負けないくらい速くて強いボールを」。34歳さらなる進化へ

――昨季は負け数が勝ちを上回ったものの、与四球率が1.98と非常に優れ、K/BB(奪三振と与四球の比率)もキャリア初の3点台に到達。制球力の改善が見られました。振り返っていかがですか?

 たまたまですね。あまり三振を取れるタイプのピッチャーじゃないと自分でも思っていますし、ゾーンのなかでバッターひとりひとりとしっかり勝負しながら、長いイニングを投げられればと常に思ってマウンドに上がっているので。打たれることを変に恐れずに、勝負していった結果がそうなったんだと思うので、ボール球を減らそうとかコントロールをよくしようとか、あまり考えていないです。

――多彩な変化球が持ち味の九里投手ですが、昨年から球種の変化は?

 大きく変えたところはないですが、チェンジアップをスプリットチェンジみたいに速いのと遅いのを投げ分けたり、スライダーにしても緩急をつけたりと、1つの球種でも自分のなかで差をつけてみたりしていました。

――今季の課題は?

 真っ直ぐの強さですかね。今年34歳になりますが、若い選手に負けないくらい速くて強いボールを投げたいです。

――オフの自主トレはどのようなことを重点的に取り組んできましたか?
 
 下半身から上半身を連動させるというのがあまり得意なほうではなかったので、元々興味があったトレーナーさんに自分から連絡してみて、その方にお願いをして、ウォーターバッグを使ったりしながら、体の連動性のトレーニングを重点的にしました。今も継続的にやっています。

 オフにウェイトトレーニングやさまざまなトレーニングをやっているなかで、やっぱり夏場に向けて体が疲れてくると、練習量を落としたり、ウェイトの重量を落としたりしていくのが普通なのかもしれませんが、僕が個人的にやっているのは、オフにやってきた重さを、最低限の重さというか、一番軽い重さとするんです。例えば100キロをオフでやっていたのなら、シーズン中100キロより下はやらない。逆にシーズン通して重量を上げていけるような方法のトレーニングをやっています。

――自主トレは他の選手との合同ですか?

 僕、合同ではやらないんです。自分の課題と向き合いたいからというより、1人でやっていたら結構焦るんですよ。いろんな記事が出るじゃないですか。「誰かと誰かが合同自主トレをしてここまでもうやっています」とか。そういうのを見るとやらないわけにはいかないと思いますし、逆に、「いや、自分はこんなにもやっているから、もっとこの人たちよりもできるんじゃないか」とかそういう励みにもなります。自分で自分をしっかりと追い込むために、あえてそういう環境をつくっている感じです。

移籍後初の対外試合は、4回3安打無失点とアピールに成功

――キャンプではどのようなプランでブルペンに入りましたか?

「自分の調整のやり方でやっていいよ」とコーチ・監督からある程度一任してもらえたんで、いつも第2クール目ぐらいまでしっかり体を追い込むというか、投げる体力をしっかりつくりあげて、第3クール目から試合に合わせて、どんどん体のキレや状態を上げていきます。広島時代から変えていないですね。

――岸田監督や厚澤コーチからはどんな声がけがありましたか?

「大丈夫か?」って声をかけてもらいました。体が大丈夫かってことだと思うんですが、僕も「大丈夫です」と答えています。自分の調整方法が全て正しいとは思わないですけれど、縁があって移籍をさせていただいているので、何か少しでも還元できればいいなという気持ちはあります。

――3月2日の埼玉西武戦の登板を振り返っていただきます(取材は3月4日)。4回3安打無失点とすばらしいピッチングでした。試合前はどういった課題を持って臨みましたか?

 キャッチャーの(森)友哉といろいろ話をしながら投げました。パ・リーグの打者とは交流戦でも対戦したことありますが、シーズン通して投げたことはないので、2ストライクで追い込んでから、どういうボールを振ってくるのかなとか、自分で試しながら投げたりしました。

 基本、首を振らずに投げていくっていう話をしていましたが、自分の試したいことがちょくちょく出てきたんで、首を振って投げたりしていたんですけど、それでも試合終わった後に、(森選手と)いろんな話をしたら、自分も勉強になることもたくさんあって。そのあたりを早いうちに知れたことは収穫かなと思っています。

――試したかったことというのは、球種でしょうか?

 追い込んでから、どんどん振ってくるのかとか、ボール球投げたら簡単に見逃すのか、それとも振りに来て見逃すのかとか、ちょっと細かいところです。自分の変化球がどうだとか変化球のキレがどうかより、そのバッターの反応をしっかり見ながら投げるようにはしています。

――実際にパ・リーグの打者と対戦してみてセ・リーグと違うなと実感したところとかありますか。

 どのバッターもまずはしっかり振って合わせてきますね。セ・リーグのバッターでも振ってくるバッターはいますが、足を使ったバッティングなど、小技を交えてくるバッターもたくさんいるので、そういうところが違いになると思います。そこはまたシーズンに入っていくと変わってくるかもしれないですし、まだまだ見ないといけないところはたくさんあるのかなと感じています。

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