「本気」と「尊重」で輝く子どもの未来を育む、三重ホンダヒートの熱血授業
選手が喜び、地域も喜ぶWin-Winの関係に
これは三重ホンダヒートの公式ホームページにも掲載させていただいているのですが、例えば「負けたら次はどうしたら勝てるのかを考え、次の大会に生かし練習をすることが大切なことを知りました」、「わたしは運動が苦手でしたが、それでもこのHondaヒートの授業を受けてとても楽しかったです」、「いじめは絶対やってはいけないこと! だからしてはいけない、みんなが明るく楽しくできる三重県にしたいです」、「これからもいじめはしない、させない、許さないを大切にしていきたいと思います」、「いじめを見つけたら大人や友達に相談したりしたいと改めて思いました」など、いろいろな声が届いていますね。
――選手たちが授業や子どもたちを通して学ぶこともあるのでしょうか?
選手たちも喜んで授業に参加してくれていますね。これが大事だと思ってくれているんでしょうね。僕は本当に日本一の授業だと思っていますし、世界でもこんな授業はやっていないと思っているんです。それを選手には伝えているんですけど、「なんか怪しいな……」って思っている選手もいたんですね。でも、今回の受賞で「やっぱり凄い授業だったんだ」って(笑)。
――上村さんが言っていることに半信半疑な選手もいた、と(笑)。
なんか凄いことやっているなと分かってはいるけれど、世間はHEAT授業のことをあまり知らないじゃないですか。それに他のチームもこういうことをあんまりやっていないんです。だから、「なんでウチだけやるの?」「こういうことやって強くなるの?」と選手は思ってしまう。僕は社会とつながることによって「気づき」「成長」の場を得られると思うし、先生や子どもたちなどいろいろな方たちと関わることによって次につながると思うんです。違う人と会わずに練習だけしていても強くならない。いろいろな経験、刺激を入れないと選手の成長にもならない。そう思って僕は取り組んでいるのですが、実際に選手がどう思っているかですね(笑)。
――上村さんの思いは選手にも伝わっていると思いますし、チームもそれによって強化されていると思いますよ。
ラグビーだけじゃなくて、やっぱりチームとして価値提供をしていかないといけないと思うんです。ウィンとバリュー、その両輪をやっていく。ホンダの中には、いくつかスポーツ部がありますが、社会貢献活動はホンダヒートがダントツなんですよ。選手も喜んで、地域の方たちも喜ぶようなWin-Winの関係を作っていかないと意味がない。そういうイベントを作り上げていきたいと思っていますし、HEAT授業もその中の一つなんです。選手たちも最後に子どもたちにサインすることを喜んでいますし、帰りの車内では子どもたちの話題で盛り上がったり、みんなテンションが高いですね。子どもも選手も、お互いにWin-Winになっていると思います。
他のスポーツチームでも同じことが絶対にできる
こないだの授業でも思ったことなのですが、保護者さんたちに子どもたちの輝く姿を見てほしいですね。こんなに真剣に、夢中になって取り組んでいる姿、意見を言っている子どもたちの姿は感動すると思うんです。できるかどうかは分からないですが、保護者の皆さんの中でもHEAT授業の優先順位が高くなるくらいに支持を集めることができれば、もっと三重ホンダヒートのことを愛してくれる人が増えるのではないかなと思っています。
子どもたちにはウチの授業を通して変容してもらって、一流の人間を目指して頑張ってほしいですね。そして大人になったときに自分の子どもがまたHEAT授業を受けて、それを見に行って「懐かしいなぁ」という話が育まれていけばいいなと思っています。
また、社会人の皆さんに対しても一生懸命やること、本気になって夢中になることの大切さを伝えていきたいですね。「働くことって何やろう?」と思っている人も大勢いると思います。でも、そうした人たちに向けて、達成感とか、社会に貢献することの素晴らしさを伝えていけたらいいなと思っているんです。結局、仕事って社会に貢献するからお金が回ってくると思っているので、お金のためではなくて社会のためにと思って仕事をすることができたら、みんなもっとハッピーになるのではないかなと。もちろん、それで生活も含めてちゃんとできるようになれば素晴らしいと思うのですが、僕はみんなが社会に貢献できる人間になりたいと思って輝いて、仕事やいろいろなことにチャレンジできる社会を作っていければいいなと思っています。まあ、僕だけでできることではないですけどね(笑)。
――とすると、上村さんも元気に10年、20年とこの授業を続けていくことが大切になっていきますね。
はい。この後はどう転ぶか分かりませんが、今を一生懸命やって、どんどんブラッシュアップしていけば、また何年後かに違うことをやっているかもしれないですし、そこでまた今までの経験が絶対に生きてくると思うんですよ。やっぱり、今をどれだけ一生懸命するかによって、4年後、5年後が変わってくる。自分の今までの人生がそうでした。一生懸命やってきたことが頭の片隅に残っていて、それが新しいアイデアになるから、「できへん」と言われても「やらんと分からんやないか」と、いろんなことにチャレンジできる。そうしてやっていくと、修正もいろいろとできるじゃないですか。だから、結構なんでもできるなと。
ただ、それは自分の強みを生かしているからできることであって、人間は強みを生かせないところでいくら頑張ってもアカンと思うんです。だから、いろんな人がいていい。そして、それがチームとして束になったら強いと思うんですよ。いろんな人の違いを尊重しあうことができれば凄いチーム、凄い組織になると思いますし、そうしたチームだからこそ社会にも凄く貢献できると思うんです。
――そうした思いが子ども、親たちにも伝わり、また世代を超えて輪がつながっていくといいですよね。
とにかく子どもたちには「本気」になってほしいですね。それにHEAT授業の考え方がどんどん広がってほしいと思っています。サッカーでもバスケでも他のスポーツチームでも同じ授業ができると思うんですよ。選手の稼働が難しいと言われていますが、これをやることで選手もWINになるし、地域の方たちもWINになる。みんなで関係を作って、「文化」としてやっていくべきだと思っています。今回のアワード受賞がいいきっかけになって、他のチームの皆さんもHEAT授業をぜひ見に来てほしいですね。