正智深谷の森、GK転向決めた地で6年後にビッグセーブ=全国高校サッカー選手権
正智深谷のゴールマウスを守るGK森穂貴 【平野貴也】
スタンドから見た光景に刺激を受け、中学校から本格的にGKに取り組み始めた男は、6年後の同じ大会で、同じスタジアムのゴールマウスに立ち、ビッグセーブを連発する活躍を見せた。
第103回全国高校サッカー選手権は29日に1回戦を行い、正智深谷(埼玉県)は2-1で長崎総合科学大学附属(長崎県)を破り、2回戦に駒を進めた。試合の流れを大きく左右しそうな場面は、キックオフから10分ほどで訪れた。立ち上がりは、出足の鋭い長崎総科大附が優位。前半5分に右からのクロスにダイビングヘッドを合わせてゴールを狙うと、11分にはFW坂本錠(3年)が思い切ったロングシュート。正智深谷のGK森穂貴(3年)は、バックステップを踏みながら懸命に右腕を伸ばして触って軌道を変えた。それでも、ボールはクロスバーを直撃。こぼれ球に猛然と走り込んだ長崎総科大附のもう一人のFW松下昊稀(3年)がダイビングヘッドでシュートを放ったが、すぐに起き上がった正智深谷GK森が鋭い反応でセーブ。大きなピンチを切り抜けた。
連続好守の鍵は、課題にしてきた起き上がりの動作
「ロングシュートのボールは、もっと遠くに逃がしたかったんですけど。(ダイビングヘッドで打たれたこぼれ球を)足で打たれていたら危なかったと思う」と話したように、相手が押し込みに来たシュートがやや弱かったことに助けられた面もあったが、ロングシュートを触って倒れた後、すぐに起き上がったことで、次のシュートはしっかりとゴールマウスの外にはじき出せた。
小島監督も称賛「大助かり、GKの活躍がないとトーナメントは勝てない」
GK転向の決め手となったスタジアムで活躍
身長177センチで決して大柄ではないが、ハイボール処理の安定感は、指揮官のお墨付き 【平野貴也】
GK転向を心に決めてから6年後、同じスタジアムのゴールマウスに立ち、ビッグセーブを見せた森に、スタンドの仲間からは「モリホー! ゴッドハンド!」の声が響いた。試合を終えて取材を受ける直前、森は次の対戦相手が決まる試合に視線を向けた。当然、気になるのはゴールマウスに立つ男。東福岡のGK後藤洸太(3年)は、身長191センチの長身選手だ。森は「でかいなあ」とつぶやいた。取材で次戦の意気込みを聞かれると「今日は、得点したすぐ後に点を取られてしまった。自分の目標は、クリーンシート(失点ゼロ)」と完封に意欲を見せた。
12月31日に行われる2回戦の相手は、森が観戦してGK転向を決めた試合で埼玉代表を破った東福岡となった。身長171センチながら安定感抜群の動きを見せる、選手権が生み出した守護神は、少し因縁めいた組み合わせにも思えるカードに挑む。
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