「3冠」目指す大阪桐蔭が大本命 リベンジ狙う桐蔭学園、石見智翠館らも虎視眈々【全国高校ラグビー大会見どころ】

斉藤健仁

流通経済大柏、京都工学院、報徳学園…ノーシード校が狙う下剋上

 すでに決まっている3回戦までの組み合わせを見ると、大阪桐蔭、桐蔭学園、石見智翠館のAシードの3校は持っている力を発揮することができれば、おそらくベスト8に進出することができるはずだ。12月30日の初戦(2回戦)では、桐蔭学園は流通経済大柏(千葉)vs.富山第一(富山)の勝者と、大阪桐蔭は長崎北陽台(長崎)vs.城東(徳島)の勝者と、石見智翠館は尾道(広島)vs.名護(沖縄)の勝者と、それぞれ対戦する。初戦から力のあるチームとの対戦になるが、油断はないはずだ。

 もっとも予想が難しい組み合わせとなったのは、Bシードの東海大大阪仰星と5度の優勝を誇る目黒学院が入った山だろう。東海大大阪仰星は30日の初戦(2回戦)で昨季ベスト4の佐賀工業(佐賀)vs.四国王者・松山聖陵(愛媛)の勝者と、目黒学院は初戦(2回戦)で一昨季の準優勝校・報徳学園(兵庫)vs.東北の名門・仙台育英(宮城)の勝者と対戦する。さらに、その勝者同士が元日の3回戦で対戦。激しい戦いとなりそうだ。

 ノーシードの京都工学院(京都)も、前身の伏見工業時代に優勝4回の名門校。現在の校名では初出場となり、27日の1回戦では6年ぶり2度目の出場で初勝利を目指す聖光学院(福島)と対戦する。勝利すれば30日の2回戦ではBシードの中部大春日丘に挑む。花園で9大会ぶりに見る赤黒ジャージーがどこまで勝ち進むか、ファンの耳目を集めることになろう。

 2年連続出場となった高川学園(山口)は昨季初戦を突破したが、同じく2年連続2度目の出場となった山梨学院(山梨)は27日の初戦で青森山田(青森)と対戦し、初勝利を目指す。

 初出場校がゼロだった今大会の特徴としては、実力校がシード落ちしたケースが多いことだろう。流通経済大柏、京都工学院、報徳学園、尾道、佐賀工業、長崎北陽台の6校はノーシード校ながら力があり、虎視眈々とシード校を下す『シードバック』つまり下剋上を狙っている。毎年多くてもシードバックは1、2試合である。今大会の台風の目になるのはどの高校になるのか。

9大会ぶり21回目の出場・京都工学院のU-17日本代表トリオ(右から春名倖志郎、杉山祐太朗、林宙) 【写真/斉藤健仁】

 いずれにせよ、年内最後となる30日はシード13校が出場し、大いに盛り上がりを見せる。年明け1月1日・元日はシード校同士の激闘となるベスト8をかけた3回戦、そして1月3日の準々決勝、5日の準決勝と進み、7日の決勝戦で104回目の高校ラグビー日本一が決まる。優勝旗「飛球の旗」はどのチームのキャプテンが掲げるのか――大阪桐蔭が春からの勢いのまま、初の15人制の「3冠」を達成するのか。桐蔭学園が大阪桐蔭を止めて連覇を達成するのか、石見智翠館が初の日本一となるのか。東福岡が春からの成長を見せて8度目の栄冠に輝くのか、それとも他のチームが優勝まで駆け上がるのか。

 花園は、負けたら終わりのノックアウト方式のトーナメント戦である。高校3年生は最後の大会、そこに賭ける思いはグラウンドから伝わってくる。今季も高校生ラガーマンたちの真剣勝負、体と体のぶつかり合いが大阪の冬を熱くする!

2/2ページ

著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント