【ホットピ!~HotTopic~】2024年度Proライセンスコーチ養成講習会受講 永井雄一郎さんインタビュー

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実用的な情報をかなり多く学ぶことができた

2024年度のProライセンスコーチ(旧S級コーチ)養成講習会に参加した、元日本代表の永井雄一郎さん。指導者を志したきっかけから、講習会で学んだことや培われた絆、目指す指導者像などについて話を聞きました。

※このインタビューは2024年11月26日に実施しました。

よりレベルの高いカテゴリーでチャレンジしてみたい

――指導者への道を意識し始めた時期や、そのきっかけを教えてください。

永井 Jリーグを離れて社会人チームでプレーするようになり、2020年に「はやぶさイレブン」というチームに加入しました。最初の年は選手としての契約でしたが、翌年にコーチ兼任のオファーを受け、実際に練習メニューを組んだり、チーム全体をオーガナイズしたりするようになりました。2022年には選手兼監督の立場となり、その頃にA級ジェネラルコーチ養成講習会を受講していたこともあり、指導者としての楽しさを感じ始め、より多くのことを知りたいと思うようになりましたね。

――Aジェネラルライセンスより前段階のBやCライセンスはいつ頃受講しに行かれたのでしょうか。

永井 C級ライセンスは浦和レッズのメンバーと一緒に取りに行きました(取得は2005年)。B級ライセンスはザスパクサツ群馬に在籍していた時代ですね(取得は2018年)。その頃に受講した理由として、現役引退後の将来に向けた準備という意味合いもありましたし、現役の間に受けた方が勉強になると聞いていたので、Jリーグでプレーしている間にライセンス取得を目指しました。

――Proライセンスコーチ養成講習会の受講に至った理由とは?

永井 2023年には「KONOSU CITY FC(鴻巣シティフットボールクラブ)」に移り、そこでも選手兼監督を務めていたのですが、やはり社会人リーグは育成に近い部分があったり、選手みんなが仕事を抱えながらプレーしているため、トレーニングでメンバーがそろわなかったりする。その中で、どう工夫しながらチームをつくり、同じ方向を向いて戦い、結果を残していくかということが求められます。一方で、しっかりメンバーがそろっていて、選手全員の志も高い中、指導者としてよりレベルの高い場でチャレンジしてみたいという気持ちも強くなっていきました。それが受講につながった感じです。

浦和レッズや清水エスパルス、ザスパクサツ群馬で活躍する傍らでBライセンスまで取得。「サッカーをより深く理解する意味では良かった」と永井さんは振り返る 【©JFA】

他者との関わり方の部分で多くの学びを得た

――1年間にわたる講習会全体を振り返っていかがでしたか。

永井 自分のチームの活動と並行する中で、チームの協力もいただきましたし、スケジュール調整など大変な面もありましたが、その分、学べる機会を得られていたので、すごく充実した日々でした。指導実践をしてみて、自分のできていない部分や少し成長した部分を把握しながら、でもまた違う課題が出てきたり、元に戻ってしまったりとぐるぐる回りながら…。いろいろな意味で楽しかったですね。
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■2024年度Proライセンスコーチ養成講習会 基本スケジュール
モジュール1:国内短期講習会(6日間)、国内集中講習会(4日間×2週間)
モジュール2:国内集中講習会(4日間×3週間)
モジュール3:国内短期講習会(4日間)、国内集中講習会(4日間×2週間)
モジュール4:国内集中講習会(4日間×3週間)
モジュール5:国内集中講習会(4日間)、指導実践試験(4日間)
インターンシップ:3週間-海外プログラム(2週間以上)、Jクラブ(1週間以上)の実施研修後、レポート提出
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――特に印象に残っていることを教えてください。

永井 夏にJ-STEP(静岡県)に集まったときに、UEFA EURO 2024を分析した後、4グループに分かれ、サポート選手を使いながら、ベスト4進出チーム(スペイン、フランス、オランダ、イングランド)を自分たちがつくり上げるという実習をしました。僕はフランス代表の担当で、サポート選手には選手の役割を演じてもらい、自分たちスタッフもフランス代表の監督、コーチ、GKコーチ、フィジカルコーチと役割分担をし、同じイメージを描きながら進めました。これは、本当のチームづくりに近く、非常に勉強になりました。自分の目だけでは見切れないものがある中で、複数の人間で同じものを見て、コミュニケーションを取りながら、より良いものをつくり上げる経験はすごく有益でした。

実技や指導実践では「コーチングスタッフなどみんなでチームをつくり上げるという良い経験ができた」と話す 【©JFA/PR】

――その他にも、たくさんの知識を得られたと思います。

永井 他者との関わり方の部分で、特に多くのことを学びました。「セルフスキャン」といって自分を知るところから始まり、他者と関わるためのコミュニケーション能力やリレーションシップ、今の選手たちとどう関わればいいかといった細部まで知ることができました。また、サッカー関係者だけでなく、ラグビー界の方や指揮者の方など、普段お会いする機会がない方の話を聞くチャンスもあり、指導者として、オーガナイズする側の人間としてどうあるべきかを考えさせられました。

――他の参加者と日々接しながら感じたことなどは?

永井 一つの事柄に対して想定するものが、みんなはすごく多いんですよ。自分だと2~3個のパターンを想定し、その中で解決策を探ろうとするのですが、他のみんなはもっといろいろな条件を加えたり、視野を広げてより多くを想定したりしていました。「そういう考え方までするのか」と驚くことも多く、自分にはない部分で勉強になりました。あとは、本当にみんなでいろいろ苦労して、話し合って、助け合ってという中で、良い関係性を築くことができたのは良かったと思っています。

「お互いのサッカー観を理解することができた」(永井さん)と講習会で得た仲間との絆も感じている 【©JFA/PR】

指導者としてのレベルアップは常に求めていきたい

――ヨーロッパのエッセンスを取り入れるべく、UEFAテクニカルエキスパートであるダニー・ライザーさんも講師として加わりました。

永井 講義で指導者として必要な要素に触れていて「熱意」が大事だと、それはヨーロッパでもどこでも同じことだと感じました。また、直接コミュニケーションを取らせていただき、ヨーロッパでは実際どんなことを重視して取り組んでいるのかなども聞きました。ヨーロッパのプロライセンスコースはもっと細かいという言い方もされていたので、海外に行く際は、現地の指導者がどんな指導をしているのかなど深く学びたいと思うきっかけになりました。

――多様な学びを今後にどうつなげていきたいですか。

永井 さまざまな考え方を吸収し、自分の理想像をつくり上げるための情報を収集することができました。また、Jクラブでの講習で、監督を雇う側、評価する側の話を聞くことができ、Jクラブの監督に求められるものについても理解できました。実用的な情報をかなり多く学ぶことができたので、それを今後に生かしていきたいです。

――指導者として高めていきたいことや目標があれば教えてください。

永井 この先のことはまだ決まっていないですが、指導者としてのレベルアップは常に求めていきたいと思っています。社会人リーグのチームを指導し、必ずしも自分の理想とするチームをつくれるとは限らないと実感しました。目の前のチームで最適解と思われるサッカーを見極められる力をつけていきたいですし、そのサッカーに対してより多くのものを詰め込むことができる指導者として、引き続き知識やスキルを身につけていきたいと考えています。

「すごく勝ちにこだわる、そうしたモチベーションを強く持っているようなチームで指導したい」と先を見据える 【©JFA/PR】

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著者プロフィール

日本サッカー協会(JFA)は、日本サッカー界を統括し代表する団体として、サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の発達と社会の発展に貢献することを目的に活動しています。 JFA公式Webサイトでは、日本代表からグラスルーツまで幅広いサッカーの現場の話題をお届けします。

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