涙の初戦敗退から1年 世代最強ストライカー高岡伶颯が「ぶっちぎる」に込めた思い
世代最強ストライカー高岡伶颯が、最後の選手権に挑む 【Atsushi Tokumaru】
だから、目標を立てた。「ぶっちぎる」と。
あれから1年。サウサンプトン(プレミアリーグ/イングランド)加入内定を勝ち取った世代最強ストライカーは、どんな歩みを見せてきたのか。最後の選⼿権を前に、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』が高岡に迫った。
(取材日:2024年12月11日 聞き手:松尾 祐希)
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あの選手権で「俺は全然ダメだな」って
W杯直後の選手権では力を出し切れず、初戦敗退。高岡の目には涙があふれた 【Atsushi Tokumaru】
いま考えれば、すごく短かったですね。確かに途中で悔しい思いをたくさんして、場面、場面で、キツい状態を過ごして、時間が長く感じることもありました。でも最終的に、“やり切れた自分”がいるので、いまはあっという間だったなと感じます。
――その意味では、昨年度の選手権本大会は悔しい思いをしました
そうですね。自分は大会の直前にあった11月のU-17W杯でいい経験をさせてもらったので、それをチームに還元したいという思いが強くありました。W杯で4ゴールを奪えて、(周囲の)注目度も高まった中で、重圧を力に変えるつもりでいたんです。自分が(初戦の)PK戦で失敗してしまったことももちろん悔しかったのですが、それ以上に(80分間の試合の中で結果を出せずに)悔しさが残る大会でした。
――相当のプレッシャーがあったはずです。うまく消化できなかったところもあったのでしょうか
W杯の直後で注目度は高まっていたので、“楽しんでプレーして、よりいろいろな人に見てもらいたい”と考えていました。重圧を楽しむくらいのプラス思考でいました。でも、結局はプレーで表現することができませんでした。積み上げきたものは間違いなくあったんですけど、それを全国舞台で発揮できなくて…。本当に悔しかったです。
――想像以上だったと
“こんなに注目されるんだ”という驚きがありました。(W杯後は)想像以上の反響や反応があったので、そこはうれしかったですし、力に変えたいと素直に思えたんですよね。ただ、結果を出さないと、すぐに反応は変わる。いい声ばかりが上がるわけじゃないということを自覚しながら、責任感をもたなきゃいけないと感じさせられました。ゴールを決められずに敗退したので、あの選手権で『俺は全然ダメだな』と痛感しました。
一番のストライカーになりたい。あれは本心から出た言葉
最上級生となった今季は主将としてもチームをけん引。出場した試合ではゴールを量産した 【Yuki Matsuo】
自分にプレッシャーをかける意味合いもあるんですけど、いろいろな経験をさせてもらってきた中で、“ただうまい選手では面白くない”という気持ちがありました。それこそ昨年の選手権で自分のプレーを出せず、面白くないとも感じました。だからこそ、“ぶっちぎって、自分の限界も作らずに戦いたい”という意味を込めて言ったんです。高みを目指しているという意味でも『ぶっちぎる』と誓って、“一番のストライカーになりたい”という本心から出た言葉でした。
――その目標にはどれくらい到達できていると感じていますか
到達度はどうでしょうね。インターハイの前に左膝をケガした影響で、夏の全国舞台には立てませんでしたが、むしろ“絶対にやってやろう”という気持ちが強くなったので、今年の選手権ではケガしたことも忘れさせるようなプレーを見せたいですし、“自分の気持ちを表現するんだ”という思いがめちゃくちゃ強くあります。
――実際、得点力・決定力は“ぶっちぎった”ものがありました。今シーズンの公式戦でゴールを決められなかったのは、プリンスリーグ九州1部の第4節・ロアッソ熊本U-18戦だけだったと聞きました
それでももっとチャンスはあったので、それを決めないといけないです。ロアッソ戦もチャンスはあったのに、仕留めることができなかった。“絶対に決める”という意味で、もっともっとこだわらないといけないんです。