2点差で今季初黒星、ワイルドナイツとの一戦で得た確かな手応えと大きな学び

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キャプテンのファウルア・マキシ選手は前後半を通じて鬼気迫るパフォーマンスを見せた。今季キャプテン就任時のコメントの通り、まさにプレーでチームを牽引した 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

我慢比べの前半から一転、後半3連続トライで猛攻を仕掛ける

12月28日(土)に第2節となる埼玉パナソニックワイルドナイツと対戦したスピアーズは、24対26の僅差で敗れた。

試合は立ち上がりから、張りつめた緊張感が途切れない攻防の連続だった。
ワイルドナイツボールでキックオフした前半は、互いの22mの内側でエリアを奪い合う攻防が続く。

前半10分にワイルドナイツがペナルティゴールで先制を奪うと、5分後にスピアーズが同じくペナルティゴールで同点に追いつく。19分に再度ペナルティゴールでワイルドナイツが勝ち越しても、互いに我慢比べの拮抗した時間が続いた。

ミスも少なく、ブレイクダウンのボールの奪い合いは熾烈、ロースコアの展開ながらボールも良く動く、見る者に息つく暇を与えない展開が続く。

だが、この我慢比べに負けたのはスピアーズだった。濃い雲が空を覆い、雨が降り始めた前半25分、ワイルドナイツは動きに出る。スピアーズ陣でペナルティを奪うと、ゴールを狙わずタッチキックを選択しトライを狙いに行く。ここでのディフェンスでスピアーズは反則を繰り返したとしてシンビンが出て一人少ない状況を余儀なくされる。この間にワイルドナイツにトライ&ゴールを奪われ、点差が10点に。

そこからもスピアーズは、一人少ない状況かつ風下の中、ボールを保持して前に出ようと試みるがワイルドナイツのディフェンスによりチャンスを作ることはできない。

劣勢の中で反則も増え、前半のペナルティ数はワイルドナイツの3つに対してスピアーズは9つ。立ち上がりこそ拮抗していただけに、前半の途中からはやや自滅とも言える展開になってしまう。
前半終了間際には、再びスピアーズにシンビンの判定が出るとともに、その原因となった反則により認定トライの判断が下り、3対20で前半を折り返した。

ボールに奪いにくベテランのデーヴィッド選手と、新加入メルヴェ選手と江良選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

17点を追う後半は、3分に相手選手がシンビンにより一時退場。このタイミングでスピアーズは、前節でもインパクトプレイヤーとして大活躍を見せたマルコム選手、オペティ選手といったリザーブ陣5人を投入。

徐々に勢いを取り返すスピアーズは、敵陣ゴール前での相手の反則から、タッチキックやスクラムを選択せずスクラムハーフのリスタートからデーヴィッド選手にパスしてモールを形成する変則的なプレーでトライを奪う。

13分にはワイルドナイツに3点を返されるもの、後半はスピアーズペース。

23分にはモールから近場の突進でマキシ選手が、31分にはこの試合度々見せていたスクラムハーフのパスからのモール攻撃をきっかけにハラトア選手がトライを奪い、後半3連続トライを決める。
この後のライン際からのコンバージョンゴールも、フォーリー選手は確実に決めて24対23と逆転。この日初めてワイルドナイツをリードする。

だがそのリードは最後まで守ることはできなかった。リードを相手に譲るきっかけは、前半も苦しんだペナルティ。34分にスピアーズはこの日3枚目のシンビンをもらってしまう。

この間にワイルドナイツはペナルティゴールを決めて再逆転。38分にはスピアーズもゴールを狙うが決めることはできず、そのまま逃げ切られて敗戦となった。

後半5分の早い時間帯での投入となった山田響選手。前節の後半26分の出場から大幅にプレー時間を増やした 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

ワイルドナイツ相手だから得られた、確かな手応えと大きな学び

試合後、記者会見でフランヘッドコーチは
「前半は前に出られず追いかける展開だったが、選手たちがハーフタイム中に修正してポジティブな内容の後半となった。後半はどちらに転ぶかわからない展開だった。長いシーズン、ここでの学びは大きい」
と振り返る。


リーグワンが始まって以来、決勝に進出し続けている常勝軍団ワイルドナイツ。一昨年のシーズンこそ決勝で勝利しているものの、昨シーズンは22対55と完敗している。
その相手に対し、ビジターゲームで勝ち点1を獲得できたことは、敗戦こそしたものの良い収穫とも言える。特に2番 江良選手や3番 為房選手、バックスでは12番 廣瀬選手、そしてリザーブからインパクトプレイヤーとして投入された山田選手といったニューフェイスたちが、この舞台で活躍できたことは大きい。

試合内容を見ても、試合時間の約25分以上を14人で戦ってこの成果を生んだことは、次戦の伸びしろとも言える。

こうした確かな手応えを感じることができた一方、相手の隙の無い実力を目の当たりにした場面もあった。それは前半30分付近の3点の取り合いからトライを狙うことに切り替えてペースを奪われてしまったことであったり、試合時間残り2分でのスピアーズアタックを押し返したディフェンスであったりといった場面だ。

試合後、相手チームのキャプテンは「後半残り5分での相手選手のシンビン判定の間に、チーム内でいいコミュケーションをとることができた。それが後のディフェンスに繋がった」と振り返る。

こうした試合巧者ぶりが発揮された隙の無い姿勢、そして勝負に拘り勝ち切る実力を体感できたことは、若いチームにとって大きな学びとなる。

ワイルドナイツとの次戦は、約4か月後の5月3日。
この試合で得た確かな手応えと大きな学びを糧に、次戦に挑む。

プロップで出場の為房選手。安定したスクラムはもちろん、ディフェンスでも低いタックルで相手を止めた 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

ワールドクラスの相手センターとのマッチアップも、堂々としたプレーを見せた廣瀬選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

後半5分に投入された藤原選手とマルコム選手。どのタイミングでこのインパクトプレイヤーたちが投入されるかも今季の見所のひとつ 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

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文:クボタスピアーズ船橋・東京ベイ広報担当 岩爪航
写真:チームフォトグラファー 福島宏治
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著者プロフィール

〈クボタスピアーズ船橋・東京ベイについて〉 1978年創部。1990年、クボタ創業100周年を機にカンパニースポーツと定め、千葉県船橋市のクボタ京葉工場内にグランドとクラブハウスを整備。2003年、ジャパンラグビートップリーグ発足時からトップリーグの常連として戦ってきた。 「Proud Billboard」のビジョンの元、強く、愛されるチームを目指し、ステークホルダーの「誇りの広告塔」となるべくチーム強化を図っている。NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23では、創部以来初の決勝に進出。激戦の末に勝利し、優勝という結果でシーズンを終えた。 また、チーム強化だけでなく、SDGsの推進やラグビーを通じた普及・育成活動などといった社会貢献活動を積極的に推進している。スピアーズではファンのことを「共にオレンジを着て戦う仲間」という意図から「オレンジアーミー」と呼んでいる。

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