関東学連106年の歴史の中でわずか3人!「3年生幹事長」が語る、箱根駅伝と予選会にかける思い

柴山高宏(スリーライト)

一般社団法人関東学生陸上競技連盟の次呂久直子幹事長(左)と金子帆夏常任幹事 【撮影:熊谷仁男】

 箱根駅伝とその予選会は、学生自治団体の一般社団法人関東学生陸上競技連盟(以下、関東学連)が主催している。106年の歴史を持つ関東学連に3人しかいない「3年生幹事長」になった次呂久直子(じろく・なおこ)と、先輩の金子帆夏(かねこ・ほのか/4年)常任幹事に、関東学連の業務内容を伺うとともに、箱根駅伝とその予選会にかける思いを聞いた。
 箱根駅伝のチームエントリーの発表が済んだ12月中旬。渋谷区・千駄ヶ谷にある関東学連の事務所を訪ねると、学生たちが集まって、本や雑誌の制作過程で誤字・脱字などの最終チェックを行うために出力する「ゲラ」に目を通していた。

「明日は『第101回箱根駅伝公式プログラム』の校了日なので、みんなで最後の校正をしています。ミスがあってはいけないので、学連幹事が分担して2回校正。印刷担当が校正し、幹事長の私がチェックして、校了になります」

 この日、取材に応じた関東学連の次呂久直子幹事長と、金子帆夏常任幹事が説明してくれた。

取材に応じる関東学連の次呂久直子幹事長 【撮影:熊谷仁男】

 関東学連は、日本の陸上競技界で最も古い歴史を有する連盟組織だ。箱根駅伝が産声をあげる1年前の1919年に創立され、箱根駅伝とその予選会を中心に、関東インカレ、全日本大学駅伝の関東地区選考会、トワイライト・ゲームス、10000m記録挑戦競技会、関東大学女子駅伝など、年間で10の大会を主催している

 現在、39人いる学連幹事は、「印刷」「会計」「記録」「審判」「登録」「物品」「報道」の7つの業務のいずれかの担当となって、上記の大会の運営などに携わることになる。ちなみに、冒頭で述べた『第101回箱根駅伝公式プログラム』は「印刷」の担当者が中心になって行っている。

学連幹事には、関東学連加盟校の学生であれば誰でも志願できる。学連幹事は全員、加盟校の陸上競技部に所属していて、在学する大学陸上競技部から派遣されている。

「私は中学、高校の6年間、陸上競技部で短距離とハードルに取り組んできました。選手としては高校でやりきったという思いがあったので、大学では違う形で陸上競技に携わることができたらいいなと考えていました。そのとき、大学の陸上競技部でマネージャーを務めている高校時代の先輩から、学連幹事のことを教えてもらい、運営という立場で箱根駅伝をはじめとする大会の運営を行うことに興味を持ちました」(次呂久)

「私は高校までバレーボールをやっていたのですが、大学では新しい世界で、何か一生懸命に打ち込めることを探していました。そんなときに観た箱根駅伝で、コース沿いに立っている黄色のウェアを着た走路員のことが気になって調べてみたことを機に、学連幹事のことを知りました」(金子)

 次呂久と金子は、関東学連の学連幹事になった経緯を語った。

取材に応じる金子帆夏常任幹事 【撮影:熊谷仁男】

 筆者は、かつて取材した関東学連のOGが、好きな選手と思い出に残っている大会をテーマに、実に饒舌に語ってくれたことを思い出した。次呂久と金子にもきっとそういう対象があって、豊富な知識でもって箱根駅伝をディープに語ってくれるのではないか――。そんな期待を抱いて尋ねてみたところ、予想外の答えが返ってきた。

「確かに、学連幹事の中にはそういう話をスラスラできる人もいますが、私にはそこまで熱心な“推し”はいないんです(笑)。それよりも、私は箱根駅伝という大会自体が大好きで、大学に入学する前は箱根の近くに住んでいたこともあって、家族で毎年のように観に行っていました」

 そう言って、次呂久は笑った。

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