箱根駅伝「選手ランキング」

記事

 2025年1月2日、3日に行われる第101回箱根駅伝に出場する有力選手について、項目別の充実度を10点満点で分析し、ランキング化した。気になる選手をチェック!
(文:田中葵、企画構成:スリーライト)

※項目は横にスクロールします。スポーツナビアプリでは寸評で全ランキングが見れ、項目ごとに並び替えができます。

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解説

【評価項目】40点満点

第100回箱根駅伝で2区を激走。3区の太田蒼生にたすきをつないだ、青山学院大の黒田朝日(右)。首位の駒澤大学との差を22秒差まで詰める、値千金の走りを見せた【写真は共同】

スピード:5000m、10000mの自己ベストにその他種目含むトラック実績を加味して評価
スタミナ:フルマラソン、ハーフマラソンの自己ベスト、過去のロードレース実績を加味して評価
勝負強さ::個人レース、駅伝でのレース運びや実績を加味して評価
今季の充実度:今シーズンの成長度や、故障度合い、個人レース、駅伝実績を加味して評価
※合計ポイントが同点の場合、過去の学生三大駅伝での実績をポイント化して順位付け(出雲駅伝、全日本大学駅伝は区間1位3点、2位2点、3位1点。箱根駅伝は区間1位5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点)

1位 黒田朝日(青山学院大3年)38点

 昨年度の駅伝シーズンに、青山学院大の新エースとして一気にブレイクした黒田。今季、トラックでは5000m13分29秒56、10000m27分49秒60と自己新を連発し、その進化は止まらない。

 前回の箱根駅伝では2区で歴代4位の1時間6分07秒、2024年11月の全日本大学駅伝は4区で区間新記録(33分01秒)を樹立。過去5度の出走で区間賞3回、2位1位、3位1回と抜群の実績を誇る、まさに「駅伝男」。

 集団走、単独走どちらの展開でも、周りに影響されることなく、自分のペースを貫く冷静沈着な走りが持ち味で、これほど計算が立って、信頼のおけるランナーはいないだろう。

 2度目の2区出走が有力される今回。前回、あと10秒と迫った日本人歴代最高記録(1時間5分57秒)、そして区間記録(1時間5分49秒)を目指して、最大の難所であるラスト3㎞の「戸塚の壁」を激走する再現が見られそうだ。

2位 平林清澄(國學院大4年)37点

國學院大の平林清澄(左)【写真:アフロ】

 史上6校目の学生駅伝三冠を目指すチームの絶対的エース。24年2月の大阪マラソンで初マラソン日本最高記録と学生記録となる2時間6分18秒をマークし、マラソン界のニュースターへと駆け上がった。

 出雲駅伝では駒澤大・篠原倖太朗とのアンカー対決を制して、優勝のゴールテープを切ると、全日本大学駅伝でも7区で青山学院大・太田蒼生と熾烈なデットヒートを演じて、最終区での逆転劇へと導いている。

 過去2度出走した2区は区間7位、3位と好走するも、いずれも下位から追いかける展開で突っ込み気味で入っているだけに、好位置でたすきを受けられれば、本来の走りで区間賞争いを演じるはずだ。

 1年時から学生三大駅伝で主将区間を担ってきた「ミスター國學院」が、箱根駅伝で初の総合優勝と三冠を置き土産に、マラソンで世界を目指す。

3位 鶴川正也(青山学院大4年)37点

度重なる故障に泣いた青山学院大の鶴川正也。今季はトラック、駅伝の双方で勝負強さを発揮。鶴川にとって最初で最後の箱根駅伝で、有終の美を飾ることはできるか(写真は今季の関東インカレ)【写真:松尾/アフロスポーツ】

 フレッシュグリーンが誇るスピードスターの完全復活。チーム関係者、そして駅伝ファンの誰もが待ちわびた瞬間に違いない。

 3年目まで度重なる故障に苦しんだが、今季はここまで大きな故障はなく、5000mでは6月の日本選手権で13分18秒51をマークして4位に入ると、10000mでも11月に日本人学生歴代7位の27分43秒33をマーク。駅伝でも出雲駅伝1区、全日本大学駅伝2区で区間賞を獲得。駅伝個人三冠にも王手をかける。

 今季出走したレースで、日本人選手に負けなしという無類の勝負強さが際立つ。単独走など経験値の部分で未知数の声も上がるが、ようやくつかんだ初の箱根駅伝。誰よりも渇望した舞台で、その走りはさらに凄みを増すことだろう。

4位 篠原倖太朗(駒澤大4年)36点

駒澤大の篠原倖太朗(左)【写真は共同】

 9月に5000mで屋外日本人学生最高の13分15秒70をマーク。そこに合わせた影響もあってか、出雲駅伝では平林(國學院大)とのアンカー対決で敗れたものの、全日本大学駅伝では7区で区間歴代3位の50分07秒の好タイムをマーク。平林、太田蒼生(青山学院大)とのエース対決を制している。

 スピードはもちろん、ハーフマラソンでも日本人学生最高記録を持つ篠原は、どんな区間、レース展開でも対応できる。その能力は学生トップクラスだ。

 駒澤大のエースとして挑む箱根ラストラン。その舞台は2区か、3区か。いずれにしても篠原の走りが、チームの命運を大きく左右することは間違いないだろう。

5位 太田蒼生(青学大4年)

青山学院大・太田蒼生【写真:アフロ】

 1年時からファンを魅了してきた「箱根駅伝の申し子」。特に、前回3区で日本人初の「59分台」をマークし、駒澤大の佐藤圭汰を振り切った衝撃は、100回目の箱根駅伝を彩るハイライトとなった

 今季は出雲駅伝6区で3位タイ、全日本大学駅伝でも7区2位タイと好走。なかでも全日本で國學院大の平林を相手に見せた逃げ切り策や、追いつかれてからのラスト勝負は、改めて太田蒼生というランナーの類まれなるレース勘、勝負強さを感じさせるものだった。

 今季はトラックでの記録更新はなく、「スピード」項目のポイントで上位4人を下回ったが、スイッチが入ったときの期待値はダントツの1位。予想をはるかに超える走りを見せても「太田なら……」と納得してしまう。そんな想いを抱かせる、唯一無二の存在だ。

6位 吉田響(創価大4年)35点

吉田響(創価大)は、「4代目・山の神」候補として臨んだ第100回箱根駅伝で区間9位。次こそ「クライミングモンスター」の本領発揮なるか【写真:アフロ】

 間違いなく、今季の学生駅伝で大きなインパクトを残した選手の1人だろう。出雲駅伝は5.8㎞と1番短い2区で、9人抜きの区間賞。全日本大学駅伝は2区で先頭集団をハイペースでけん引し、青山学院大の鶴川と中継所まで壮絶なデットヒートを繰り広げた。

「4代目・山の神」候補として挑んだ前回の箱根駅伝では、雨と寒さに苦慮し区間9位に終わったが、「1時間8分台」で山を攻略するだけの能力は十分に有する。強力なゲームチェンジャーで、他校にとっては脅威となるだろう。

 山上りに期待が集まる一方で、走力のベースも確実に上がっており、2区で各校のエースと渡り合う姿を見てみたいと思わせるランナーだ。

7位 山川拓馬(駒澤大3年)34点

 前回の箱根駅伝は故障の影響で4区6位に終わった雪辱を誓う、駒澤大の次世代エース。今季の出雲駅伝では3区2位(日本人1位)。全日本大学駅伝では、8区で日本人歴代2位となる57分09秒で区間賞を獲得。スタート時、優勝した國學院大と2分33秒あった差を38秒まで詰める快走を見せた。

 ロード、そして距離が長くなるほど、力を発揮できるタイプ。出番は1年時に区間4位と好走している5区か、終盤に厳しい上り坂が続く2区も適性は十分だ。

 箱根で味わった悔しさを箱根で返し、駒澤大の新エースへと階段を駆け上がれるか。

8位 ヴィクター・キムタイ(城西大4年)33点

 今大会にエントリーしている9人の留学生のなかで、駅伝での実績は間違いなくナンバーワンだろう。出雲駅伝、全日本大学駅伝ではいずれも2年連続3区区間賞。前回の箱根駅伝では3区を走り、青山学院大・太田、駒澤大・佐藤に次いで、区間3位に入っている。

 今回も3区での出走が有力視されるが、12月10日に行われた「第101回箱根駅伝トークバトル」では、櫛部静二監督が「1区起用」も匂わせる。過去2回2区を走った斎藤将也が5区に回れば、満を持して2区登場もありそうだ。

9位 佐藤圭汰(駒澤大3年)33点

 初出場となった前回の箱根駅伝は、青山学院大・太田に敗れたものの3区歴代3位となる1時間0分13秒と好タイムをマーク。ハーフマラソンを超える距離でも高いポテンシャルを見せている。

 24年1月に5000mで13分09秒45の日本歴代2位をマーク。だが、9月には恥骨を痛めた影響で出雲、全日本の両駅伝を回避しており、回復状況だけが気がかりだ。

 トラックでは学生長距離界で、最も世界に近いランナーであることは間違いないだけに、万全な状態で2度目の箱根路に登場することを期待したい。

10位 リチャード・エティーリ(東京国際大2年)33点

 入学して間もなく10000mで27分06秒88の日本学生記録を出して周囲を驚かすと、5月には5000mで13分00秒17をマーク。24年2月の丸亀ハーフマラソンでは59分32秒で優勝して、5000m、10000m、20km、ハーフマラソンの4種目で学生記録保持者となった。

 一方、箱根駅伝の予選会では1年時に転倒があって個人12位。24年も腹痛の影響で11位と本来の走りを見せられず、全日本大学駅伝でも2年連続で同期のアモス・ベットに出走を譲っている。

 本調子なら2区を1時間5分台で走る能力は秘めており、レース序盤を大きくかき回す可能性を持つ存在。「最速」だけでなく、「最強」の称号をもつかめるか。

 11〜20位には、第101回箱根駅伝の予選会で個人総合トップのシャドラック・キップケメイ(日本大2年)や、同日本人1位の吉田礼志(中央学院大4年)、前回2区で1時間6分台をマークしている山口智規(早稲田大3年)ら、トップ10の選手たちに引けをとらない各校のエースが揃う。

 三冠を狙う國學院大からは13位に青木瑠郁(3年)、16位に野中恒亨(2年)、17位に上原琉翔(3年)がランクイン。平林に次ぐ存在として主要区間を担う。斎藤将也(城西大3年)、工藤慎作(早稲田大2年)、若林宏樹(青山学院大4年)は、5区でしのぎを削る「山の神」候補生たちだ。

 21〜30位の選手では、前回2区5位のスティーブン・ムチーニ(創価大2年)、同6位の梅崎蓮(東洋大4年)が再びエース区間に挑む可能性が高い。10000m27分46秒60の記録を持つ本間颯(中央大2年)、全日本大学駅伝7区4位でチームをシード権に導いた馬場賢人(立教大3年)も好調だ。

 ルーキー勢では、12月の熊本・甲佐10マイルロードレースで国内の部優勝を果たした玉目陸(順天堂大)、8月のU20世界選手権5000m出場の松井海斗(東洋大)、出雲と全日本の両駅伝に出走した桑田駿介(駒澤大)、10000mで1年生の今季最速タイムを持つ岡田開成(中央大)ら、未来のエース候補生たちの箱根デビュー戦に注目だ。