広島・秋山翔吾が振り返る「悪夢の9月」と懺悔の思い カープ打線の長打力不足の要因を独自分析
日本球界復帰3年目だった広島・秋山はリーグ3位となる158安打の好成績を残したが、チームの急失速を悔やむ 【写真は共同】
視聴者もリアルタイムにコメント参加できた中、フリーアナウンサーの袴田彩会さんをMCに、プロ野球OBの井口資仁氏、五十嵐亮太氏が豪華ダブル解説。さらに西武時代の2015年にプロ野球史上最多のシーズン216安打を記録し、MLB挑戦を経て広島に加入、今季は自身5年ぶり7度目のゴールデン・グラブ賞を受賞した“天才打者”秋山翔吾選手がゲスト出演した。
ベテランだからこその“悔い”
そこでトークの中心となったのが、日本球界3年目のシーズンを終えた秋山だった。自身としては138試合に出場してリーグ3位の158安打を放って打率.289をマークする充実のシーズンだった。だが、チームは9月上旬まで首位の座にいながら最終的に4位となってCS進出も逃した。その歴史的急失速に、秋山は開口一番、「情けない」と発し、その理由を続けた。
「チームというよりも、個人的に“なんとかできんかったかな”と…。若い頃なら自分(の成績)がどうこうってところですけど、ベテランになってこのチームにいる意味を考えると、勝たないといる意味がない。すごく重く受け止めないといけない」
5勝20敗に終わった9月を投打別の数字で振り返ると、リーグワーストの月間防御率4.29だった投手陣の乱調が失速の要因となる。だが、秋山は「9月だけ切り抜くとそうなんですけど」として、自戒の念を込めて語る。
「逆に8月まであれだけ抑えていた状況の中で、野手が頑張って拾える試合がもっと多ければ、ここまで借金が増えることもなかったですし、もっと余裕を持って戦えたんじゃないかなと思う。僕からすれば、野手として1年間、“ホンマすんませんでした”ですね」
月間20敗はリーグワーストタイの記録。カープファンにとっては思い出したくない“悪夢の9月”となった。秋山は「全体的に感情のコントロールもできなかった」「(不振を)打破するには力が足りない、体力が足りないっていうチーム状況だった」と悔やみながら振り返った。
リーグワーストの本塁打数
この数字が持つ意味を、多くの試合でリードオフマンを務めた秋山も当然、理解しており、「それが優勝を逃した要因の間違いないことだった。その中心にいた人間としては、もう本当に…。来年なんとかしなきゃいけない、その準備をしなきゃいけないなと思います」と言葉をつなげながら決意を語った。
そして「やっぱり長打が出ないとフォアボールも取れない」とした上で、課題である“長打力不足”の原因を、秋山は独自の視点で解説した。
「(マツダスタジアムで)バッティング練習していて思う。通常のスイングで東京ドームとか神宮、横浜スタジアムではホームランになるんですけど、マツダスタジアムだと多少オーバースイングをしないと(フェンスを)越えなかったり、芯を食っても外野のフェンスの手前ぐらいっていう打球が個人的にも結構多い。それだったら(本塁打を狙わずに)低く打ち出そうってなる」
本塁打の打ちやすさ、打ちにくさは、単純に球場の広さだけでなく、形状、マウンドの高さ、打席からの見え方など、様々な要因があるという。その中で打球がスタンドまで届かないならば、打者心理としてはヒットを狙いに行くことになる。「打率」と「本塁打」のどちらを優先するのか、どちらを狙うべきなのかは、考え方や試合状況によって異なるが、秋山は現状の広島打線について、良くも悪くも「ちょっと加減して打てる、テクニカルな選手が多い」と語る。