【第3節レビュー】ファイナル常連の強者相手に連勝ならずも駒沢最多入場者数を更新

リコーブラックラムズ東京
チーム・協会

第3節はホストエリアの東京都世田谷区・駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で3位の埼玉パナソニックワイルドナイツと対戦。

リーグワン第2節を終えて1勝1敗、7位のリコーブラックラムズ東京(BR東京)。大ケガを経験し2023年3月以来の公式戦復帰となったFLファカタヴァ タラウ侍、初のメンバー入りを果たしたルーキー、CTB PJ・ラトゥなどを加えたラインナップで臨んだゲームは、互いに磨きあげた強固なディフェンスに挑んでいくハードな戦いに。BR東京は後半の中盤まで食らいついたが、終盤に点差を拡げられ、16-39(前半9-17)で敗れた。

前半3分にPGで先制。しかし11分、ゴール前に攻め込まれ逆サイドへのキックパスのこぼれ球を押さえられて逆転を許す。14分にも自陣でのスクラムペナルティからPGを決められた。だが、CTB池田悠希が再開のキックを直接キャッチしてゲイン。さらに反則を誘うと、17分にPGを決め6-10。敵陣に入りながらスコアできない時間が続いたが、32分に敵陣でスクラムペナルティを奪いPGで1点差に。前半の終盤は我慢の時間となったが、終了直前の39分にゴール前スクラムからの攻撃でトライを許し、9-17で試合を折り返す。

後半は5分にPGで点差を拡げられたが、7分にSH TJ・ペレナラのギャップ突破からCTB池田に繋ぎトライを奪い16-20。さらに追い上げたかったが、ラインアウトでのミスや埼玉WKのブレイクダウンへの圧力、巧みなキックなどに手を焼き、自陣でのプレーやディフェンスの場面が増えていく。15分に外のスペースを突かれてトライを許すと、28分、31分と連続でトライを奪われて突き放され、悔しい敗戦となった。第3節を終えて、通算成績は1勝2敗。勝ち点は5のままで、順位は8位となっている。

この日は世田谷パン祭りとのスペシャルコラボなどを実施し、8,403人がスタジアムへ駆けつけた。昨シーズン第2節の8,213人から約200人の増加となり、リーグワン2022以降のBR東京ホストゲームでの駒沢最多入場者数を更新。地道な地域活動が実を結んだ一日となった。

リーグワン2024-25 第3節 BR東京 16 - 39 埼玉WK 【リコーブラックラムズ東京】

試合経過

前半2分[BR東京]
右中間から展開、左サイドでキャリーを重ねると埼玉WKにノットロールアウェイ。SO中楠一期が、正面やや左からPG成功。3-0と先制。

前半7分[BR東京]
自陣ラインアウトから相手9番のランでゴール前に攻め込まれたが、冷静な守備。LOロトアヘアポヒヴァ大和が4番を倒すと、HO武井日向とNO8リアム・ギルがボールに仕掛けノットリリースザボール。ピンチを脱する。

前半11分[埼玉WK]
BR東京の自陣脱出を狙ったキックの距離が出ず、埼玉WKが22m付近のラインアウトからアタック。フェイズを重ね順目に左サイドまで運ぶと守るBR東京に反則。アドバンテージが出ると10番が逆サイドにキックパス。WTBヴァカヤリアが競ったが確保できず、インゴールに転がったボールを14番が押さえトライ。CVも成功し3-7。

前半12分[埼玉WK]
BR東京が自陣に飛んだキックの処理でノックオン。埼玉WKは22mエリア内のスクラムから出し裏にグラバーキック。14番が右隅を狙ったが、WTBヴァカヤリアが対応しノックオン。しかしスクラムの段階で反則があり、埼玉WKがPGに成功し3-10。

前半15分[BR東京]
リスタートキックをCTB池田悠希がキャッチ。右サイドを抜けてビッグゲイン。左に展開しWTBヴァカヤリアがゴールを狙う。届かなかったがNO8ギルがピックして接地。トライとされたが、映像判定を経て取り出した位置がラックの最後尾ではなかったためオフサイドに。

前半17分[BR東京]
池田のゲインからアタックに入る際、相手にオフサイドがあったとして戻ってPK獲得。SO中楠がPGに成功し6-10。

前半22分[BR東京
自陣浅めで粘り強く守りミスを誘っていく。スクラムを得ると1番側からめくりあげるように押し勝ち、PK獲得。

前半31分[BR東京]
敵陣スクラムから展開。パスが繋がらずノックオンとなったが、埼玉WKがスクラムを落とし反則。正面やや左のPGを決め9-10。

前半37分[BR東京]
相手10番にCTB礒田凌平が詰めパスが乱れる。フォローした14番をWTBシオペ・タヴォが倒す。ボールを奪いかけたが、惜しくもノックオン。

前半38分[BR東京]
負傷したLOジョシュ・グッドヒューをファカタヴァタラウ侍に一時交替。タラウ侍はFL、ストーバーグがLOへ。

前半39分[埼玉WK]
ゴール間近、正面のスクラムからアタック。左に振った後、戻して中央を攻め8番がトライ。CVも決まり9-17でハーフタイムに。

後半0分[BR東京]
NO8ギルを木原音弥に入れ替え後半へ。

後半3分[BR東京]
キックオフの蹴り返しで距離が出ず、自陣でのディフェンスに。粘り強く守り、22m付近でラックを越えターンオーバー。逆サイドまでボールを繋いで自陣脱出を狙うが、相手に捕まりノットリリースザボール。PGを決められ9-20。

後半5分[BR東京]
後半から復帰していたLOグッドヒューが脳しんとうの疑いで一時退出。タラウ侍が再び入る。(14分に正式に交替)

後半7分[BR東京]
再開直後、敵陣ラインアウトから攻める。FBルーカスが右サイドに繰り返し仕掛けたあと、中央のラックから持ち出したSHペレナラがギャップを抜ける。外をフォローしたCTB池田に繋ぎトライ。CVも成功し16-20。

後半10分[BR東京]

自陣のラインアウトでミス。ボールを奪われディフェンスになるが、PRパディー・ライアンとFL松橋の連携でジャッカル成功。このあと、HO武井を佐藤康に、PRライアンを大山祥平に入替。

後半14分[BR東京]
敵陣ラインアウトでミス。相手のキックを確保しハーフウェイ付近から攻めるが、相手8番にジャッカルを許し自陣に入られる。相手のミスで陣地を押し戻したが、ディフェンスに回るとオフフィート。再び自陣へ。CTB池田をPJ・ラトゥに入替。

後半15分[埼玉WK]
22m付近での激しい攻防。2人のダミーランナーにBR東京が引き寄せられる形となり、外に余った11番がスペースを得る。カバーに回ったディフェンスをステップでかわし左中間にトライ。CVも成功し16-27。

後半19分[BR東京]
勢いに乗って攻める埼玉WKが22mの内側へ。しかし、PR大山、SO中楠、CTBラトゥが相手のFW2人にプレッシャーをかけ落球を誘う。この攻防で負傷したFL木原がサミュエラ・ワカヴァカと交替。

後半24分[BR東京]
敵陣10m付近のラインアウトから攻め、右へ展開。CTBラトゥからFBルーカス、さらにWTBタヴォに繋いで右サイドをえぐりかけたが、相手15番に対応され阻まれる。相手のラインアウトになったところでFBルーカスを伊藤耕太郎に入替。

後半27分[BR東京]
ゴール間近のラインアウトをキープし、埼玉WKがピックゴーでゴールに迫る。SHペレナラ、LOストーバーグらが猛然とディフェンス。グラウンディングを阻む。

後半27分[埼玉WK]

BR東京がゴールラインドロップアウト。これを使って埼玉WKが攻める。10番が蹴り上げたキックを13番が捕球。そのまま前に抜け放すと、左に回し11番がトライ。CVも成功し16-34。

後半31分[埼玉WK]
埼玉WKはリスタートキックをキープし、ギャップを繰り返し抜けると、右の外に立っていた20番長谷川崚太に繋ぎノーホイッスルトライ。CVは不成功も16-39。

後半35分[BR東京]
11番にエッジを走られるが、WTBヴァカヤリアが止め決定機を阻む。ここまでピッチに残っていたPR西和磨を髙橋敏也に入替。第3列に入っていたワカヴァカがPR、髙橋がWTB、タヴォがCTB、ラトゥがFL。

後半40分[BR東京]
敵陣左サイドのスクラムから展開。FB伊藤が右隅のスペースにキック、髙橋が追う。埼玉WKは蹴り出すほかなく、ゴール前ラインアウトに。力を振り絞って最後のアタックを仕掛けたが、ホーン直後にボールがこぼれる。ノックオンでノーサイド。

試合後インタビュー

タンバイ・マットソンヘッドコーチ
今日はゲームのパーツについてはいいところが多くあった。エフォートやフィジカリティは一貫性を見せてほしいと言っていましたが、2つに関してはよくできてたかなと。パナソニックさんが見せてくれたパフォーマンスから、なぜ彼らがこれだけ成功してきたかというのがわかりました。自分たちがちょっとプレゼントするような形にもなってしまい、それをしっかりと点に繋げてきたなと思いました。どのチームも彼らにリベンジすることを目標にずっとやってきていると思います。私たちもここから学べることはたくさんあると思うので、そこをしっかりやりたいと思います。

— SO中楠一期を起用している。彼の最も評価している部分は?

10番は一貫性が重要。一期は若い選手なので、できるだけ安定してゲームタイムを与えたい。彼の誠実にラグビーに取り組む姿勢は素晴らしいですし、スキルも高い。まだ足りないのは経験。今年はすごく重要な年になる。サイドにTJ(SHペレナラ)がいて、外にはCTB池田がいる。シーズンが深まるにつれてどんどんよくなるだけだと思っています。ミルキー(FBルーカス)は15番の方が10番よりも合っているのかなと。ただ、プレイメーカーが2人いるのはいいこと。

— 反則を抑えることができている

特に、必要のない(判断で減らすことのできる)ペナルティを抑えてくれていると感じる。それは戦いに影響をもたらしていると思う。

HO 武井日向
ヘッドコーチと一緒で、ハードワークだったり、エフォートだったり、フィジカリティもそうですが、今シーズンはそこの一貫性が見えてきていて、チームとして成長できていると思います。また、パナソニックさんにチャンスを与えすぎてしまって、それはやっぱりものにされてしまったのは反省点だと思うので、そういう場面を減らす努力すべきだと思ってます。よくレビューしたいと思います。

— よく食らいついていたが、途中で離された。何かが足りなかったのだと思うが、実感としてはどうか

いろいろ要因はある。23人全員で同じラグビーをしないといけない。誰が入っても同じプレーができるようにチームとしてレベルを上げなければいけないのはある。まだ終わったところで試合を振り返ることができていないので、わからないことも多いですが、そういうところは1つの要因だと思う。

あとはマインドセットとして「パナソニックに食らいついていく。我慢する」というよりも、自分たちから倒しにいくというマインドセットを持とうと話して臨んでいた。それを80分間持ち続けることができていたか? というのはあります

PR 西和磨
いい流れで試合に勝っていきたいというのはあったので、敗戦は悔しい。自分たちのやりたかったことができなかったことも悔しいです。

— ラインアウトでやや安定感を欠いた

セットプレーは先週の試合から改善していこうという部分でしたが、ラインアウトは今日も苦しくなってしまった。うまく噛み合わなかったところはある。ナレッジであったりとかディテールであったり、自分たちのやるべきことができてなかった。そういうのをなくしていかないとこういうゲームはものにできない。改善はできる部分だと思う。

— ディフェンスは我慢強く、雑にならずによく守れているように映る

自陣に食い込まれたとき、粘り強くディフェンスできていた場面もあった。ただそもそも自陣に入れないというところが大事なのかなと。今日もいかに自陣深くに相手を入れないかをテーマにしていたが、前半からかなり食い込まれてしまった。

— ブレイクダウンはよくファイトしていて、クイックボールも出せている

ブレイクダウン周りは昨季から変えてきたことで、それが自分たちにフィットしていると思う。ボールを持っている選手も、サポートする選手も、より速く次のプレーに繋げようという姿勢はさらによくなっていると感じる。まだ3節目ですし、これからもっとよくできると思っています。

LO/FL マイケル・ストーバーグ

60分間はハードに戦えていたし、相手と競っていく姿勢もあった。ディフェンスはすごくよかったと思う。ただああいうチームに対して、たくさんのチャンスを与えてはいけない。20回チャンスを与えれば10回は決めてくるチームなので。

— 相手に流れが向かっていても、辛抱強く守る姿勢を感じた

ディフェンスはチームそのものが反映されるもの。お互いのためにハードワークする
とか、誰かがミスしても誰かがそれをカバーするとか、そういうことが大事になってくるので。そこは自分たちがプライドを持ってやっているところです。ラグビーでゲームに勝つときにはベースにはいいディフェンスが必ず存在する。ただ、ディフェンスに慣れてしまってはいけない。ディフェンスが続けば、どうしてもポイントを獲られてしまうので。

— ラインアウトでは少し苦しんだ

30、40分はよかったと思う。ただケガの影響もあり選手の入れ替わりが激しくなってリズムを崩してしまったのはある。ゲームにはすごく重要な時間帯があって、そういうタイミングでミスをしてしまったので、ゲームへの影響が出てしまった。自分たちにプレッシャーをかけてしまった。(小さなズレ?)そう。ほんの少しだけ集中力がパッと切れてしまった。

CTB 礒田凌平
60分ぐらいまでは自分たちのプレーができていたんですけど、ケガなども出てイレギュラーもあった中で、コネクトが切れてしまったかなというのはある。そこは改善しないといけない。今日は相手にゴール前のゾーンに入られる回数を9回以内に抑えることがテーマだった。オフサイドなどを減らしできるだけペナルティを出さないように戦っていたが、ノットロールアウェイがたくさん出ていた。タックルのあとの動きはもう少し改善しないといけないと思っています。前半でゴール前に7回くらい入られていたと思う。そこでよく我慢はできていたけれど、やっぱりしんどい試合になってしまう。

FB アイザック・ルーカス
最初の60分くらいは完璧ではありませんでしたけど、我慢強くファイトし続けていい位置につけていたので、終わり方は残念でした。今日はキックを使って、正しいエリアでプレーできるようにすることが重要だった。だから自分のやりたいプレーでチャンスをつくることはなかなかできなかったけど、チームとしてチャンスをクリエイトする機会はあった。そういう日もある。チームの中で自分の役割をしっかり果たしていきたい。

— 試合を追うごとに、アタックの形がスムーズにできるようになっているようにも

チームとしてはまだビルドしているところ。コンビネーション的にも。TJ(SHペレナラ)もまだ加わって間もないし、絶対的によくなっていると思います。いい感じにミックスされてきて、アタックでいいものを生み出せているのかなと。まだまだ改善できると思うので、さらに伸びると思います。

2023年3月18日以来の公式戦復帰となったファカタヴァ タラウ侍 【リコーブラックラムズ東京】

力強いプレーでデビューを飾ったPJ・ラトゥ 【リコーブラックラムズ東京】

リーグワン第4節はトヨタヴェルブリッツ(トヨタV)と対戦

第3節を終え10位のトヨタV)との対戦は、1月11日(土)14:40から、岐阜メモリアルセンター長良川競技場で開催されるビジターゲームとなる。この3試合、「必死に戦う姿勢」というぶれない軸を見る者に印象づけた。一方で、連携の精度や若手選手たちの成長など、チーム力の伸びしろへの期待もうかがわせている。強敵との試合が続くが、自信を持って立ち向かい、今季2勝目をつかみたい。

ここからはビジターゲームが続き、次回のホストゲームは2月8日(土)の第7節。初の福島・Jヴィレッジスタジアムに静岡ブルーレヴズを迎える。チケット販売情報などは公式HPや各種SNSから。公式ファンクラブ『RAMOVE』への入会も引き続き受付中。

引き続き応援よろしくお願いします! 【リコーブラックラムズ東京】


文:秋山 健一郎、リコーブラックラムズ東京
写真:川本 聖哉、リコーブラックラムズ東京
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