進化を続けるアルバルク東京の司令塔テーブス海 三遠との強豪対決へ「みんな戦いだと思って入る、それくらい大事な試合」

鈴木栄一

「次のステップへ行くために強豪相手に2連勝する」

テーブス海は司令塔として好調・A東京を引っ張っている 【(c)ALVARK TOKYO】

 アルバルク東京はFIBAアジアカップ2025予選による代表活動のブレイク前、シーズン序盤戦を12勝2敗で終えた。悲願の王座奪還へ、順調なスタートを切ったA東京だが、所属する中地区は好成績のチームが揃うリーグ1の激戦区となっている。

 そんな中、12月18日の水曜ゲームは、ホームの代々木第一体育館でシーズン前からA東京と共に優勝候補に挙げられ、ここまで同じ12勝2敗の三遠ネオフェニックスとの直接対決が行われる。すでに両チームは10月19日、20日とA東京にとってアウェーで対戦。19日は66-59で勝利したが、20日は90-82で敗れ1勝1敗で終えている。もちろん三遠戦の前にもタフな試合が続くが、その中でも三遠戦は地区優勝に向けても大きな意味を持つ一戦となってくるのは間違いない。

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テーブスは「2連勝」の重要性を強調する 【(c)ALVARK TOKYO】

 テーブス海はカナダ出身の父を持ち、バスケ一家に育った26歳の司令塔で、8月のパリ五輪は日本代表として世界の大舞台を経験した。A東京でも昨季から中心メンバーの1人としてチームを牽引している。

 彼はまずここまでの戦いぶりについて次のように手応えを語る。

「昨シーズンと同じようなスタートで勝率はほぼ一緒(1年前はバイウィーク前で13勝1敗)で、プレーの内容はほとんどメンバーが変わっていないことで、遂行力が増しています。また、タイムシェアに現れているように、ベンチから出てくるメンバーもそれぞれの良さを出してくれていると思います」

 ここまでA東京の2敗は三遠戦と、同じくアウェーでシーホース三河に喫した敗戦だ。三遠、三河ともにリーグ上位の強豪で、テーブスも「普通に見たら特にアウェーでの1勝1敗は全然、頭を下げるような結果ではないです」と語るように及第点と言える戦績だ。

 しかし、A東京の目指しているのはリーグ優勝のみ。それを考えると1勝1敗で「良し」とはならない。

「ただ、僕たちは大事にしているのは強豪相手に2連勝することです。昨シーズンはそれができず、チャンピオンシップでも2戦先勝の中で、2連勝できずに敗れてしまいました。今シーズンは特に同一カードの連戦で2勝するチャレンジを大事にしています。三遠戦、三河戦ともに1試合目に勝って、2試合目に負けています。このチームが次のステップへ行くためにはアウェーでもホームでも強豪相手に2連勝する。それができないと、優勝は難しいとみんな考えています」

昨シーズンまで在籍した吉井裕鷹の凱旋

吉井裕鷹(左)は元チームメイトで、パリ五輪も共に戦った 【(c)ALVARK TOKYO】

 18日の三遠戦についての意気込みを聞く前、テーブスはまず今シーズンの初対決をこのように振り返る。

「昨シーズンは三遠のペースにすごくびっくりしたというか、やってみて想像以上に速いところがありました。今回はある程度、速さを分かった上で、相手のやりたいバスケを理解し、抑えるところもはっきりしていたので、間違いなく手応えを感じました。2試合目に負けたのは、完全に自分たちで落としてしまった感覚です。第3クォーター途中に14点をリードしていたのにひっくり返されたのでもったいないという認識です」

 そしてシーズン中盤とはいえ、今回の一戦を「みんな戦いだと思って入る、それくらい大事です。こういった試合はインテンシティがすごく上がります。誰一人、ここで負けても大丈夫というマインドで臨むことはできないです。直接対決で、得失点差を含めて相手を上回ることはすごく重要です」と特別視する。さらに「この時期に大事な試合ができるのは大きな経験になると思います」と、プレッシャーがかかることを歓迎する。

 また、ホームでの三遠戦と言えば、昨シーズンまでA東京に在籍していた吉井裕鷹の凱旋試合としても注目が集まる。今シーズン、ここまで1試合平均12.4得点、3.3リバウンドと三遠の中心メンバーとなっている吉井の飛躍について、「いや、もうまぐれだと思っています(笑)」とテーブスは冗談を言いつつ、かつての盟友への敬意を示す。

「もちろんシュート力、パワー、スピードを備えた選手で、どのチームにいてもオフェンス、ディフェンスの両方で貢献できると思っていました。でも、ここまでフィットするとは思っていなくて、スタッツの伸びはえげつないです。彼に関してはイージーな得点、キャッチ&シュート、ドライブを必ず抑えないといけない。彼に気持ちよく点を取らせたら、勝ち負けに大きな影響を及ぼすことになると思います」

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著者プロフィール

1977年、山梨県生まれ。アメリカ・オレゴン大学ジャーナリズム学部在学中に「NBA新世紀」(ベースボールマガジン社)でライター活動を開始し、現在に到る。毎年、秋から冬にかけて母校オレゴン・ダックスの成績に一喜一憂している。

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