渡邊雄太不在のピンチを救う千葉Jのベンチメンバーたち 田代直希が「地元」で思い、表現していること
開幕戦は出番のなかった田代(中央)が6日の試合では大きな貢献を見せた 【(C)B.LEAGUE】
「NBA通算6シーズン、213試合に出場した206センチのオールラウンダー」「左利きでスキルが高く、3PシュートもNBA通算37%と高確率で決めている29歳」というスペックは、外国籍選手だったとしてもこのリーグでは超大物だ。千葉Jは外国籍枠を割かずにその渡邊をコートに立たせられるのだから、優勝候補の筆頭に挙げられているのも当然だろう。ただ、そんな大黒柱が開始早々にコートから姿を消してしまった。
ベンチメンバーが作った流れ
最終スコアは80-61。渡邊が不在の中で第2クォーターにリードを広げ、後半もリードを保って試合を終えた。トレヴァー・グリーソンヘッドコーチ(HC)はこう試合を振り返る。
「金近やスミス、田代、西村(文男)や荒尾がいい流れを作ってくれた。ウチの強みはベンチメンバーが戦えることで、そこはとても誇りに思います。アクシデント、ファウルトラブルがある中で勝ち切れて良かった」
田代は188センチ・85キロのウイングプレイヤー。琉球ゴールデンキングスで9シーズンプレーし、今季から千葉Jに移った新戦力だ。5日のプレータイムはゼロだったため、10月6日が「デビュー戦」だった。
グリーソンHCは田代のプレーについてこう述べる。
「プレシーズンはコンディションが整わず、なかなか彼がどういうプレーヤーかを見出せていませんでした。しかし今日はホームゲームで素晴らしいプレーを作っていた。自分のリズムを作り出せて、ディフェンス面も頼れますし、良いシューターです。ローテーションの中に上手く組み込めたらいいのかなと思っています」
富樫が語る田代効果と金近の成長
お互いの健闘を称える田代(左)と富樫(右) 【(C)B.LEAGUE】
「3年連続でファイナルに進出した『勝ち方』を知っている選手が加わることで、またさらにチームは良くなると思います。(西村)文男さんと(荒尾)岳さんと田代の3人は常にベンチから出てきて、シーズンを通してチームの大きな助けになるはずです」
富樫はもうひとり、金近の成長と貢献も強調していた。金近は渡邊と同じスモールフォワード(SF)で、スクリメージ(いわゆる紅白戦)は頻繁にマッチアップする同士だ。21歳とまだ若く、日本代表の未来を担う人材だが、元NBAプレイヤーと対峙する中で守備力が短期間で向上しているという。
「練習では金近選手が毎日のように(渡邊と)マッチアップをしていて、成長をすごく感じます。去年の彼はシュートが入る日はいいけど、入らない日は他の活躍をそこまで感じられなかったかもしれません。今年はシュートが入る、入らない関係なく、彼の存在を大きく感じます。雄太の怪我の状況は分からないですけど、間違いなく金近はその穴を埋めてくれると思います」(富樫)
金近(左)はDF力の向上が目覚ましい 【写真は共同】