【週刊ドラフトレポート#26】貴重な打てる捕手!NTT東日本・野口泰司 東京ガス・中尾勇介は小柄もパンチ力抜群
「小柄でもパンチ力は抜群!社会人を代表する俊足強打の外野手」
東京ガス・中尾勇介はスピードだけでなく外野手としての総合力が高い 【写真提供:西尾典文】
【将来像】桑原将志(DeNA)
パンチ力のあるバッティングと脚力を生かしたプレースタイルは桑原と重なる
【指名オススメ球団】広島
センターを守れてパンチ力のある右打者は補強ポイントとマッチする
【現時点のドラフト評価】★★☆☆☆
支配下での指名濃厚
今年の社会人野手は昨年の度会隆輝(ENEOS→DeNA1位)のような目玉選手は不在で、全体的にも有力候補が少ないと見られているが、その中で今年評価を一気に上げてきた印象を受けるのが東京ガスの中尾勇介だ。山梨学院では2年夏、3年夏に甲子園出場。3年夏には満塁ホームランも放っているが、体がそれほど大きくないということもあって、当時はエースの垣越建伸(現・中日)や主砲の野村健太に比べると目立たない存在だった。日本大でも早くからリーグ戦に出場していたものの、下級生の頃は調子の波が大きく、目立った成績は残していない。ようやく才能が開花したのは4年になってからで、春のシーズンでは打率.350、2本塁打という見事な成績を残した。しかし本格化したのが遅かったこともあって、大学卒業時にはプロ志望届を提出することなく、東京ガスへと進んでいる。
社会人1年目はなかなか結果を残すことができず、都市対抗でも代走での出場に終わったが、秋以降ようやく力を発揮してセンターのレギュラーを獲得。2年目の今年は主に1番と3番を任されるようになり、4月に行われたJABA静岡大会では4試合で15打数7安打、ホームラン2本と見事な成績を残した。
直近でプレーを見ることができたのは8月26日と27日に行われた関東選抜リーグというローカル大会である。26日のJR東日本戦では1番、センターでフル出場しツーベースを含む2安打。27日の日立製作所戦では2打席で交代となったものの、第1打席でいきなりレフト線へツーベースを放って先制点を演出して見せた。社会人で大きく成長したのがバッティングである。大学時代も芯でとらえた時の打球は目立つものがありながらも、崩されやすく確実性には乏しいという印象が強かったが、現在はタイミングをとる動きに無駄がなくなり、ボールを長く見られるようになったため、ミスショットは確実に減っているのだ。チーム関係者の話ではベンチプレスで160kgをあげるまでにパワーアップしているという。フィジカル的な進化が直接プレーに繋がるわけではないが、明らかに打席の中で余裕が生まれており、それが打撃の安定感に繋がっている部分はあるのではないだろうか。体格も明らかにたくましくなっており、軽々と外野の頭を超えるパワーがあるのも魅力である。
また元々の持ち味であるスピードも落ちることはなく、都市対抗準決勝の三菱重工East戦では1試合で3盗塁も記録している。センターの守備でも落下点に入るスピード、速くて正確なスローイングもレベルの高い社会人でも目立ち、外野手としての総合力が高いというのも大きなプラス要因だ。今年の外野手は大学生の西川史礁(青山学院大)と渡部聖弥(大阪商業大)が高い評価を得ているが、それに続く有力選手は多くない。またパワーもある右打者というのも希少価値が高いポイントである。センターのレギュラー候補が欲しい球団にとっては狙い目の選手であることは間違いないだろう。