慶大の4番・清原正吾を広澤克実が徹底分析「神宮で衝撃的なアーチを打って巨人入団が理想」

平尾類

3年までは通算9打数1安打だったが、今春は4番・一塁に定着してベストナインに選ばれた。大学野球の総決算となる今秋リーグ戦。清原はどんなプレーを見せるのか 【写真は共同】

 東京六大学野球・秋季リーグで注目される選手のひとりが、かつての大スター・清原和博氏の長男である慶応大4年の清原正吾だ。今春のリーグ戦で4番に抜擢され、52打数14安打で打率.269、0本塁打、7打点の成績を残し、一塁手のベストナインに選出された。成長著しい清原は、はたしてプロの目にどう映っているのか。

 ご登場願ったのは広澤克実氏。ヤクルト、巨人、阪神の3球団で通算306本塁打をマークした強打者は、明治大時代には首位打者に2度輝き、4試合連続アーチのリーグ新記録を樹立した。東京六大学野球の解説者も務める同氏に、清原の打撃の魅力、課題、目指すべき方向性などを多角的に解説してもらった。

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慶大野球部では異色中の異色

 周知のとおり、清原正吾は異例の経歴を持つ。小学3年時に少年野球チーム「オール麻布」で野球を始めたが、中学の慶応義塾普通部ではバレーボール部、慶応義塾高ではアメリカンフットボール部で活動した。6年間のブランクを経て慶大の野球部に入部した際は話題になった。

 広澤克実氏は中学時代に柔道部に所属していたが、「僕は中学の時に地域の野球チームで活動していましたし、野球から離れた時期がない。慶大の野球部に入ってくる選手たちのなかに、正吾君のような初心者に近い子はなかなかいない。異色中の異色でしょう」と強調する。

 強豪の中学、高校で野球に打ち込んで主力として活躍したものの、部員が約100人の慶大に進学してベンチ入りできずに4年間を終える選手は珍しくない。そのなかで清原は野球から6年離れていたにもかかわらず、目を見張る成長曲線で頭角を現した。

 2年秋の早稲田大戦でリーグ戦初出場を果たすと、3年春は7番・一塁で開幕スタメンをつかみ、法政大3回戦で初安打を放った。3年秋はベンチ入りメンバーから外れたが、1学年上の主力選手たちが抜けた今春のリーグ戦で4番に抜擢されると、ベストナインに選ばれた。

プルヒッターとして技術を高めてほしい

3年春から清原を見てきた広澤氏。この1年あまりで大きく成長したと評価しながらも、「気になったことがある」と指摘したのは…… 【平尾類】

 本人の努力はもちろん、高い身体能力を持ち合わせていることは間違いない。広澤氏はこう語る。

「3年生の春に初めて見た時から、1年間で非常に伸びていると思います。スイングが鋭くなっていますし、一塁の守備でハンドリングが非常に良いことも印象に残っています」と評価したうえで、「課題はまだまだ多いですが、プロ入りを目指すことを考えた時に弱点を克服することより、長所を伸ばすことに磨きをかけたほうがいいと思います」と助言を送る。

 広澤氏は今春の試合前に清原のフリー打撃を見て気になったことがあるという。

「たった数分間なので判断できない部分がありますが、外角の変化球を逆方向に打つ練習に時間を割いていたのが気になりました。自分の弱点は自分が一番分かっています。彼は外角に逃げるスライダーを空振りしたり、引っかけて内野ゴロにするケースが多かったので、課題を克服する目的で右打ちの練習をしていたと思うんですが、彼の長所を考えると引っ張るほうが得意で、力強い打球が大きな魅力です。外角の球に意識を置きすぎるあまり、甘い球を引っ張れなくなっている。

 今の六大学リーグで外角いっぱいにきっちり投げられるのは、外丸(東眞)君(慶大3年)ぐらいです。チームメイトだから対戦しないですよね(笑)。4年春のリーグ戦でも引っ張ったら本塁打になる球がありました。恵まれた体格でパワーがあるので、2ストライクに追い込まれるまでは引っ張ることができる球を待つというシンプルな考えでいいんじゃないでしょうか。

 課題の克服はプロ、あるいは社会人野球と次のステージに上がってから取り組んでも遅くない。周りからいろんなことを言われるでしょうけど、右打ちや当てにいく打撃は1、2番でも下位でもできる。4番に求められるのは長打ですし、プルヒッターとして技術を高めてほしいです」

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著者プロフィール

1980年4月10日、神奈川県横浜市生まれ。スポーツ新聞に勤務していた当時はDeNA、巨人、ヤクルト、西武の担当記者を歴任。現在はライター、アスリートのマネジメント業などの活動をしている。

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