三浦佳生単独インタビュー 五輪プレシーズン、目指すのは“じっくり見せるスケート”と“安定感”

沢田聡子

今季は「コンスタントに結果を残していきたい」

「空気感は異様なものがありました」と、三浦は初出場の世界選手権を振り返った 【Photo by Minas Panagiotakis/Getty Images】

――7月の今季初戦、プリンスアイスカップのフリーで200点超えを果たしました。4回転ループも決めましたが、試合の前からいけそうな感じはあったのでしょうか?

 いや、全然なくて。シーズンが始まったばかりでもあったので、とりあえず今の自分がどれだけ力があるのかというところと、(4回転)ループは練習でも全然降りられていなかったので、チャレンジ程度の気持ちで跳びました。そうしたら、自分でもびっくりするぐらいの演技をしちゃって、驚きが勝っていましたね。

 1本降りるごとに、驚きが増していくっていう。「練習では、こんなにスタミナ持っていなかったし」と思いながら……。本番のアドレナリンの力だと思うんですけど、それに頼りすぎてしまうと、シーズンに入ってから痛い目に合うので。今は「これぐらいできる力はあるけど、これをベースにしていけるように頑張ろう」という取り組み方をしています。

――200点台は、大きな一歩ですよね。

「自分が取り組んできたことは間違いではなかった」というところでは、スケーターとしての位は上がったような感じはします。ただやはり、たとえばワールド(世界選手権)のトップ3に挑んでいくとなると、そこからさらに安定感が必要になってくるので。どの試合でも200点を出せるスケーターになるためには、まだまだ練習が必要だと思います。

――ループは“元カノ”だと言っていましたが、よりは戻せた感じですか?

 いや全然、本番だけです。これは僕のよくないところですけど、練習で跳べないものが、本番や6分間練習、海外に行ってからの公式練習で跳べるようになったりすることがけっこう多いので。普段できないことが本番でできちゃうというのは、すごくよくないですね。これに頼りすぎると、やっぱりワールドの時みたいに痛い目に合うので、練習でもちゃんと跳べるようにしたいな、というのがあります。

――今季は構成に4回転ループを追加される予定ですか?

 フリップも練習していますけど、ループの方が感触がいいので、ループでいこうと思っています。

――チャレンジャーシリーズのロンバルディア杯(9月13日~、イタリア・ベルガモ)には、どんな目標を持って臨みますか?

 まずは、自分の今の状態を知る。グランプリ(GP)シリーズに照準を合わせていきたいので、ロンバルディア杯はそのための課題を見つける試合にしたいと思っています。

――オリンピックのプレシーズンになる今季、どんな目標を持って臨みますか?

 オリンピックは考えちゃうとダメなタイプなので、考えずに1シーズン1シーズンとらえる考え方をしているんですけど……オリンピックに一番いい状態をもっていきたいので、そのための練習はしています。ただ成績という意味では、やはりまず1シーズン1シーズンというところで、今シーズンは一個一個の試合をまず大事にこなしていこうと思っています。

――具体的な目標はありますか?

 やはり、ワールドでリベンジしたいというのはあるので、そのためにシーズンを大事に過ごさないと。全日本ももちろん大事ですが、全日本だけで結果を残しても、代表の座はつかめないので。GPシリーズから、コツコツとコンスタントに結果を残していきたいと思っています。

――GPファイナルにも2回出ている三浦選手でも、ワールドは何か雰囲気が違うのでしょうか?

 いつもと同じ試合と思って臨みましたけど、やはり空気感は異様なものがありました。GPで見た時よりもみんな状態がよくて、「やっぱり世界選手権だな」と思いました。コンスタントに結果を出していければ来シーズンにもつながってくると思うので、そのためにも、今シーズンを大事にしていきたいと思います。

三浦佳生(みうら・かお)

2005年6月8日生まれ。東京都出身。オリエンタルバイオ/明治大学所属。昨季はグランプリシリーズ・フィンランド大会優勝、グランプリファイナル5位、全日本選手権4位、世界選手権8位。今春、明治大学政治経済学部に進学。秋学期履修修正を検討中。リフレッシュ法は野球観戦と、友人との食事

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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