陸上5000m・唐澤剣也、世界記録を更新も“2度目の銀” 3年間で埋まった「距離」とロスへの伸びしろ

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金メダルへの距離は縮まったパリでの走り

練習の成果を発揮し、東京大会からの積み上げを確実に見せた 【写真は共同】

 3位に終わった世界選手権ではラストで粘り切れず、「ちょっと苦しくなったところで粘り切れず、(ペースを)落としてしまったのが敗因」と話していた唐澤。パリ大会に向けて「ラスト勝負を意識した練習」に取り組んできたという。

 小林ガイドも練習の成果が「発揮できた」と振り返るように、金メダルには届かなかったが、世界選手権でペースを落とした残り2000mでも先頭に離されることなくレースを走り切った。

 東京大会から3年。唐澤は2022年4月からSUBARU陸上競技部に所属したことで「練習環境もガラッと変わって、競技に集中できた」という。東京大会でもガイドを務めた小林さんもこの3年で「走りの特徴や性格、練習の苦手な部分、得意な部分も分かってきたので良い意味で、お互い理解し合って、より一緒にここまで積み上げてきたって意識がある」と話した。

 3年間の積み上げで、同じ“銀メダル”を獲得した東京大会と比較しても、着実に金メダルとの距離は縮めたと言えるだろう。東京では1位のジャックスと4秒50差であったが、パリでは2秒63差とタイムを縮め、唐澤も金メダルへの距離についてこう話した。

「東京大会では 最後に結構離されてしまったが、今日はちょっと詰められたので、そこは自分自身もレベルアップしている。まだまだ世界は高いなっていう中でも、(金メダルに)近付いてきているのかなとは思っています」

4度出場の和田も、後輩の活躍に期待を寄せる

4度目の5000m出場の和田(左)も4位と力走した 【写真は共同】

 今回のパラリンピックで4度目の5000m出場となった和田が「(記録が)一体どこまで行くのかな」と話したように、5月の世界選手権で当時唐澤が持っていた世界記録を更新したジャックス、パリでのアグリピノドスサントスと、次々と世界記録が塗り替えられている。金メダルのタイムを東京大会とパリ大会で比較すると、その差は20秒以上だ。

 レース後の取材、冒頭から唐澤は「次の大会に向けて、もっともっと対策と強化が必要」と、早くも“次”を見据えていた。

 小林ガイドは強化ポイントについて「競技歴もまだ7年ぐらいで、体も本当に仕上がりきるところに対して、もう1個伸びしろを残している。(タイムは)14分35秒ぐらいのところまでは、彼はいけるとは思います」と語った。

 お互いに切磋琢磨してきた和田も後輩の唐澤に「5000m、1500mを担っていってほしい」とエールを送った。

 ロスまでの4年間、“伸びしろ”を埋めた唐澤の3度目の正直を期待したい。

(取材・文:山田遼/スポーツナビ)

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