【週刊ドラフトレポート#18】198cmの超大型左腕、東海大相模・藤田琉生が急成長! 宇野真仁朗は名門・早稲田実を強打で引っ張る
今回はいよいよ開幕した夏の甲子園で高い注目を集めている投手と野手を紹介します。
(企画編集:Timely!編集部)
*現時点のレベルバロメーター:
★★★★★5:複数球団の1位入札濃厚
★★★★☆4:1位指名の可能性あり
★★★☆☆3:上位指名(2位以上)の可能性あり
★★☆☆☆2:支配下での指名濃厚
★☆☆☆☆1:育成であれば指名濃厚
「規格外のスケール!最後の夏に急成長を遂げた超大型左腕」
198cmの長身を使いこなし、スピード、コントロールなどで高い能力を見せる東海大相模・藤田 【写真提供:西尾典文】
【将来像】クリス・ジョンソン(元広島)
超大型でスピードもありながら変化球も多彩に操るスタイルはジョンソンと重なる
【指名オススメ球団】巨人
左投手で太い先発の柱となれる素材が必要
【現時点のドラフト評価】★★★★☆
1位指名の可能性あり
多くのドラフト候補が出場する夏の甲子園。投手では今朝丸裕喜(報徳学園)が本大会出場を逃した選手を含めてもナンバーワンという声が多いが、その今朝丸に並ぶ可能性があるのが藤田だ。中学は神奈川県内で屈指の強豪チームである湘南ボーイズでプレーしており、3年夏には全国大会で優勝を果たしている。バレーボール選手だった両親の影響もあってか、当時から190cmを超える長身で、ストレートも130キロ台中盤をマークしていた。
しかし高校入学後の藤田は決して順調だったわけではない。1年秋からベンチ入りしたものの、2年夏の神奈川大会ではベンチ外。秋の新チームでも背番号は二桁で、県大会でも準決勝の横浜戦で1回2/3を投げて5失点(自責点3)と打ち込まれている。筆者は県大会2回戦の金沢高校戦でのピッチングを現地で見たが、その時の最速は138キロと中学時代と大きく変わっていない。今年の春にようやく背番号1をつかむも、ストレートは140キロ前後が多く、進路も大学進学が濃厚と見られていた。
ようやくドラフト候補として浮上してきたのは夏の神奈川大会直前だ。東海大学の下級生との練習試合では140キロ台後半をマーク。担当スカウトからも「驚くほど成長しています。(高校から)プロもありますね」という話も聞かれた。198cmの長身で140キロ台後半のスピードとなれば確かにプロも放っておくわけはない。そんな藤田の成長を確かめるべく、7月20日に行われた日大藤沢戦に足を運んだ。
まず驚かされたのが試合前のウォーミングアップとキャッチボールだ。190cmを超えるような長身の選手はどうしても動きが鈍くなることが多いが、藤田は大きな体を見事に使いこなしており、軽々と側転などを決めていたのだ。塁間よりも少し長い距離でのキャッチボールでも軽く腕を振って投げたボールが全く落ちることなく一直線に相手に届いていた。これを見ただけで能力の高さは十分に感じられるだろう。
そして先発のマウンドに上がった藤田は、スカウトの評判通り春までとは別人の投球を見せる。立ち上がりからストレートは145キロ以上を連発。2回には筆者のスピードガンで最速150キロをマークし、149キロも3度計測したのだ。最近では150キロを投げる高校生も珍しくないが、これだけ大型のしかも左腕となると希少価値は極めて高い。さらにストレートのスピード以上に感心したのがピッチングの内容だ。力を入れて投げてもフォームのバランスが崩れることがなく、右打者だけでなく左打者の内角にも狙って速いボールを投げることができる。また変化球もカーブ、スライダー、チェンジアップ、スプリットと一通り操り、どのボールも高校生としては十分高いレベルにあった。中盤以降、暑さと疲れもあってか、少し抜けるボールも目立ったものの、走者を許しても落ち着いており、牽制やフィールディングなど投げる以外のプレーも上手い。結局7回1/3を投げて被安打わずかに3、6奪三振で無失点と相手打線をほぼ完璧に抑え込んで見せた。
過去を振り返ってみても、これだけ大型でスピード、コントロール、変化球、投げる以外のプレーが揃った高校生左腕はいなかったのではないだろうか。連投となった神奈川大会決勝の横浜高校戦では6回を投げて4失点を喫し、スタミナ面などはまだ疑問が残るが、それでも長所の方が圧倒的に目につくのは間違いない。甲子園の大舞台で快投を見せれば、一躍今年の目玉の1人となることも十分に考えられるだろう。