【週刊ドラフトレポート#18】198cmの超大型左腕、東海大相模・藤田琉生が急成長! 宇野真仁朗は名門・早稲田実を強打で引っ張る
「木製バットで本塁打量産!名門引っ張る右の強打者」
木製バットでホームラン量産し、一気に注目度を上げた早稲田実・宇野真仁朗 【写真提供:西尾典文】
【将来像】浅村栄斗(楽天)
鋭く体を回転させて長打を放つスタイルは浅村とイメージが近い
【指名オススメ球団】西武
野手が大きな課題で、若手に有望株が少ないチーム事情から
【現時点のドラフト評価】★★☆☆☆
支配下での指名濃厚
夏の甲子園に出場する野手では石塚裕惺(花咲徳栄・遊撃手)、箱山遥人(健大高崎・捕手)、正林輝大(神村学園・外野手)の3人が4月に行われたU-18侍ジャパンの強化合宿にも選ばれており全国的な知名度も高いが、もう1人プロのスカウト陣から熱い視線を集めているのが宇野だ。小学校時代から読売ジャイアンツジュニア、U-12侍ジャパンにも選ばれており、中学時代もリトルシニアの日本代表としてプレー。早稲田実でも入学早々にレギュラーを獲得している。ただ早稲田実の選手はその多くが早稲田大に進学するということもあって、昨年秋まではスカウト陣からその名前が聞かれることは少なかった。
そんな宇野に注目が集まることになったきっかけは、今年春から導入された新基準の金属バットである。選抜高校野球でもホームラン、長打が昨年までと比べて激減したことで話題となったが、宇野はこのタイミングで金属バットではなく木製バットを使用することを選択。春の東京都大会では3試合連続ホームランを放って見せたのだ。U-18侍ジャパンの強化合宿でも国際大会に合わせて野手は木製バットを使用していたが、打撃練習から苦労している選手は多かった。それだけ宇野のミートする技術と、遠くへ飛ばす力が飛び抜けていることが分かるだろう。
春の活躍もあってか、高校からのプロ入りも検討しているという話が聞かれるようになり、プロのスカウト陣の注目度も一気に上昇。夏の大会前に行われた練習試合でも多くの球団の幹部クラスが視察に訪れていたという。
そして迎えた夏の西東京大会。宇野は最初の2試合でノーヒットに終わり、チームも初戦の明大八王子戦ではいきなり延長10回タイブレークを経験するなど苦しいスタートを切る。しかし5回戦の日本学園戦で待望の一発が飛び出すと、14対13という死闘となった準々決勝の国学院久我山戦でも満塁ホームランを放つなど完全に復調。決勝の日大三戦でも先制のタイムリーツーベースを放ち、残りの4打席は全て四球を選んで出塁し、チームの勝利に大きく貢献した。
筆者がこの夏、実際にプレーを見たのは準決勝の日大二戦だ。第1打席は四球、第2打席はレフトフライで少し相手の技巧派投手にタイミングが合っていないように見えたが、第3打席ではしっかり修正してセンターへのタイムリーツーベースを放っている。ヒットはこの1本だったが、他の打席でも追い込まれてからしっかりフルスイングすることができており、パワーだけでなく対応力の高さも十分感じさせた。
また、そのバットに注目が集まるが、宇野は決して打つだけの選手ではない。日大二戦でも四球で出塁した後にすかさず盗塁を決め、後続のタイムリーで一気にホームへ生還している。過去の試合では12.00秒を切れば俊足と言われるスリーベースの三塁到達で11.40秒をマークするなど、高い脚力も備えている。プロのスカウト陣からはもう少しスローイングの強さが欲しいという声も聞かれるが、守備のフットワーク、ハンドリングも高校生では十分上位であり、内野ならどこでも守れるという点も魅力だ。
最終的に西東京大会では最初の2試合のノーヒットが響いて打率.273という数字に終わったが、5回戦以降の4試合で6安打を放ち、そのうちホームランが2本、ツーベースが3本とさすがの長打力を見せている。また8四死球、4盗塁という数字も見事だ。この夏が最初で最後の甲子園となるが、大舞台で大きくアピールすることができれば、一気に上位候補となる可能性もあるだろう。