「Youにとって有名な日本のアスリートは?」 パリ五輪に集った世界の記者らに聞く

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フランス人弁護士が口にしたのは「日本サッカー海外進出の先駆者」

フランス人弁護士の方が挙げたのは、日本サッカー海外進出のパイオニアとなった選手だ 【スポーツナビ】

 ビーチバレーボールの会場であるエッフェル塔スタジアムでは、席の隣に座っていたフランス人の方に話を聞いた。この方は40歳で弁護士をしている。

「あなたの国で有名な日本のアスリートは?」。そう質問すると、じっくりと考えた後に、彼は「Hidetoshi Nakata!」と答えた。中田英寿さんは言わずと知れた日本サッカーのパイオニア。今でこそ日本の選手が欧州クラブでプレーすることは当たり前となっているが、その礎を築いたのが中田さんであることは衆目の一致するところだろう。その名が世界で広く知れ渡っていることをあらためて実感した。特に中田さんがセリエAのASローマなどで活躍したことが印象に残っているようだ。

 また現役アスリートでは、テニスの大坂なおみの名前が挙がった。フランスで行われる全仏オープンこそまだ制していないが、4大大会で4度の優勝を誇っており、その強さが鮮烈な印象として記憶に焼き付いているのだろう。

 彼は10年前、日本に旅行で来て、東京と長野に1週間ほど滞在したそうだ。日本の文化や料理、自然などを絶賛していた。日本人の礼儀正しさに感銘を受け、「アリガトウゴザイマス」「スミマセン」と流暢に話していた。

中国人記者が挙げたのはやはり……

中国のChuyun記者が口にしたのは、やはりと言うべきか卓球の選手だった 【スポーツナビ】

 ホテルの朝食会場では中国人記者のChuyunさんと知り合った。彼女は北京に本社を置く総合ニュースメディアの記者で、五輪期間以外はケニア支社で働いているというユニークな方だ。

「あなたの国で有名な日本のアスリートは?」と聞いたところ、真っ先に出てきたのが卓球の張本智和だった。張本はパリ五輪の男子シングルス準々決勝で、中国の樊振東と死闘を演じた。惜しくもフルゲームの末に敗れたが、その強さは卓球王国の中国も認めるところ。次に挙がったのは同じく卓球の伊藤美誠。今大会には出場していないが、中国では「大魔王」と恐れられるだけに、やはりと言うべきか。卓球以外では野球の大谷翔平の名前も出てきた。中国でも大谷の活躍は報じられているようだ。

「スポーツ以外で日本と言えば」と聞くと、アニメ・漫画の『ONE PIECE』や『BLEACH』が挙がった。日本のサブカルチャーが中国でも浸透していて嬉しい。

中国のLiu記者が挙げたのは、自身の仕事柄もあってかNBAでプレーするあの選手だ 【スポーツナビ】

 また同じくホテルの朝食会場で出会った中国人記者Liuさんにも話を聞いてみた。彼は中国でも有名な総合メディアカンパニーに勤めていて、主にスポーツ関連の記者をしている。

「あなたにとって最も有名な日本のアスリートは?」。そう聞いてみると、バスケの八村塁の名前が挙がった。彼はNBAのニュースを扱っており、今大会は1次リーグ第3戦を前に無念の負傷離脱となってしまったが、八村の活躍をよく目にしているそうだ。また、先日の体操男子団体で中国と日本は激闘を繰り広げたが、日本の体操に対してリスペクトを抱いているとのこと。

 スポーツとは離れるが、日本人の印象としてハードワーキングで勤勉なことに感銘を受けたとも話してくれた。
 世界各国の記者たちと対話を重ねるうちに、日本のアスリートが世界に与える影響の大きさをあらためて実感した。柔道や卓球といった伝統的な強みを持つ競技はもちろん、サッカーやバスケなど、かつては日本が後塵を拝していた競技でも、世界に通用する選手が次々と現れている。そして、それは単に競技力の向上だけでなく、日本選手たちの努力や精神性、そして礼儀正しさといった日本文化の特質までもが、世界中の人々の心に響いているのだと感じた。パリ五輪を通じて、スポーツが国境を越えて人々をつなぐ力を持つことを、身をもって体験できたことは私にとって大きな財産となった。これからも、日本のアスリートたちの活躍が、世界中の人々に勇気と感動を与え続けることを願っている。

(取材・文:瀬尾充矢/スポーツナビ)

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