陸上「男子100m」人類最速の栄冠は誰に!? 金メダル候補擁する新競技「ブレイキン」にも注目【パリ五輪・後半どうなる?】
【画像制作:スリーライト】
今大会の最右翼は、昨年、ブタペストで行われた世界選手権で9秒83の自己ベストをマークして金メダルを獲得した、米国のノア・ライルズだ。ユニークな性格の持ち主で、レース後に『ドラゴンボール』のかめはめ波のポーズを披露したり、『遊☆戯☆王』のカードを競技場内に持ち込むなどのパフォーマンスを行うことでも知られるが、その実力は本物。ウサイン・ボルトが2009年のベルリン世界選手権でマークした世界記録9秒58を超えることができるか。
ノア・ライルズ 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
男子4×100mリレーには、上記の3選手に加え栁田大輝(東洋大)、桐生祥秀(日本生命)、鵜澤飛羽(筑波大)、上山紘輝(住友電工)、飯塚翔太(ミズノ)が選出。東京五輪では、決勝での痛恨のバトンミスで途中棄権となった「リレー侍」。雪辱を果たし、2大会ぶりのメダルを獲得できるか。
中・長距離種目は女子1500mと5000mに出場する田中希実(ニューバランス)と、男子3000m障害に出場する三浦龍司(SUBARU)に注目したい。
田中は前大会1500m準決勝で3分59秒19の日本記録をマークすると、決勝では8位入賞を果たした。この種目での入賞は、日本選手初の快挙だ。2023年にはダイヤモンドリーグで5000mの日本記録を更新(14分29秒18)。今年6月の日本選手権では1500m、5000mの両種目で圧勝するなど、もはや国内では敵なしの状態だ。
箱根駅伝のファンにもおなじみの三浦は、順天堂大学在学時に東京五輪3000m障害に出場。予選で日本記録(8分09秒92)をマークし、決勝では7位入賞を果たした。この種目での入賞も前述の田中同様、日本選手初の快挙であり、三浦の活躍が他の種目の影に隠れがちだった3000m障害の知名度を一気に押し上げたと言っても過言ではないだろう。
三浦は2023年には自身がマークした日本記録を更新(8分09秒91)。今年7月17日には、東京五輪でも本番前の最終レースとして選んだ、縁起の良いホクレン・ディスタンスチャレンジ深川大会5000mで、13分31秒61の好走を見せた。2度目の五輪となる三浦と田中には、前大会以上の結果に期待したい。
快進撃が続く北口榛花
北口榛花 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
男子110mハードルの泉谷駿介(住友電工)は、23年6月の日本選手権で自身の持つ日本記録を更新(13秒04)すると、同月末に行われたダイヤモンドリーグで優勝。同年8月の世界選手権では、日本勢初となる決勝に進出し、5位入賞の快挙を成し遂げた。その泉谷の順天堂大学時代の後輩にあたる村竹ラシッド(JAL)は、同年9月の日本インカレで13秒04をマーク。2人の若きハードラーの活躍に期待したい。
東京五輪で銀メダルを獲得した男子20km競歩の池田向希(旭化成)は、2度目の五輪で金メダルの獲得をめざす。池田は今年2月の日本選手権で、1時間16分51秒の自己ベストをマーク。2015年に鈴木雄介(富士通)が樹立した世界記録(1時間16分36秒)まで、15秒と迫った。
男女2選手がペアになり、42.195kmを交互に2度歩く新種目・競歩混合リレーには、東京五輪男子50km競歩で6位入賞を果たした川野将虎(旭化成)、3大会連続での五輪出場となる岡田久美子(富士通)ら4選手が出場。こちらも期待したい。
マラソンはし烈な選考レースを勝ち抜いた6人が出走。男子は、昨年10月に行われたMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)を制した小山直城(Honda)、2位通過でスピードに定評がある赤﨑暁(九電工)、東京五輪で6位入賞を果たしたベテランの大迫傑(Nike)と、バランスの良い布陣になっている。
女子はMGCトップ通過で五輪初出場となる鈴木優花(第一生命グループ)、東京五輪8位入賞の一山麻緒(資生堂)、今年1月の大阪国際女子マラソンで2時間18分59秒の日本記録を樹立した前田穂南(天満屋)が走る。
ベルサイユ宮殿やエッフェル塔などの有名な観光名所を通るコースは、過酷なアップダウンが続くことから、五輪史上最難関と言われる。日本勢は、この美しくも過酷なコースを攻略して、上位入賞を果たすことができるか。