陸上「男子100m」人類最速の栄冠は誰に!? 金メダル候補擁する新競技「ブレイキン」にも注目【パリ五輪・後半どうなる?】

柴山高宏(スリーライト)

世界トップランカーを擁するブレイキン

Shigekix(半井重幸) 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 パリ五輪の新競技「ブレイキン」。1970年代のニューヨーク・サウスブロンクス地区で産声をあげたカルチャー「Hip-Hop」の4要素(グラフィティ、DJ、MC)のひとつで、DJが流す曲に合わせて対戦相手に即興で踊りを見せ合うダンスバトルだ。

 日本は金メダルを視野に入れる、男女2人の世界トップランカーを擁する。Shigekix(半井重幸/第一生命保険)とAMI(湯浅亜実)だ。Shigekixは2018年、アルゼンチンのブエノスアイレスで行われたユース五輪で銅メダルを獲得。20年には世界最高峰の大会「Red Bull BC One World Final」で最年少優勝(18歳)を果たした。

 AMIは2018年に「Red Bull BC One World Final」の初代女王に輝いた実力者。昨年には再度、同大会で優勝している。さらに19年、22年の世界選手権を制するなど、抜群の実績を誇る。

 現在の両者の世界ランキングは1位。金メダルの有力候補者としてのプレッシャーを跳ね除け、自分のスタイルを大事にしたダンスを披露し、はじめてブレイキンに接する観客を魅了してもらいたい。

 スケートボードは8月6日、7日にパークが行われる。この種目では、東京五輪で金メダルを獲得した四十住さくら(第一生命保険)、東京五輪で銀メダルを獲得し、2023年の世界選手権を制した開心那(WHYDAH GROUP)と2位の草木ひなの(スターツ)の女子3選手が有望。7月27日に行われる男子ストリート同様、メダルラッシュが期待される。

 スポーツクライミングは複合(ボルダー&リード)に出場する森秋彩(茨城県山岳連盟)と安楽宙斗(JSOL)、2人の初出場選手がメダルの有力候補と目されている。

 リードを得意とする森は2022年、同種目でワールドカップ初優勝。昨年の世界選手権ではリードで日本勢初の金メダルを、複合でも銅メダルを獲得している。今年7月14日に行われたワールドカップでは、リードで今季初優勝し、パリ五輪に向けて弾みをつけた。

 安楽は昨年、はじめてワールドカップに出場すると、リードとボルダーの両種目で年間総合優勝を成し遂げるという快挙を達成。一躍して両種目の中心選手となった。

 東京五輪でメダル候補とされながら4位にとどまった楢崎智亜、銀メダリストの野中生萌にもメダル獲得に期待がかかる。

バレーボール男子、52年ぶりのメダル獲得なるか

バレーボール男子日本代表の石川祐希 【写真は共同】

 サッカーは8月2日から、バスケットボールは8月6日から決勝ラウンドに突入。8月4日までにシングルス、混合ダブルスが終了する卓球は、8月5日から団体戦に突入するなど、球技が大詰めを迎える。最注目は、8月5日に決勝ラウンドがスタートするバレーボール男子だ。

 かつて男子日本代表は1968年のメキシコ五輪で銀メダル、72年のミュンヘン五輪で金メダルを獲得するなど、強豪の一角だった。その後、長い低迷期に突入。96年のアトランタ五輪から3大会連続で、2012年のロンドン五輪から2大会連続で五輪出場を逃すなど、どん底を味わった。

 復活の契機となったのは、2017年に指導実績が豊富な現監督のフィリップ・ブラン氏をコーチとして招へいしたこと。19年のワールドカップで4位、東京五輪でベスト8入りを果たすと、22年に男子日本代表の監督に就任。世界最高峰のイタリア1部リーグでプレーする、主将の石川祐希(ペルージャ)、髙橋藍(サントリー)らが中心となって、昨年のネーションズリーグ(NL)ではイタリアを破って3位になり、パリ五輪の予選も突破。今年のNLでは過去最高位の2位になるなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。

 復活の狼煙を上げたバレーボール男子日本代表。52年ぶりのメダル獲得へ、さらなる飛躍に期待したい。

 大会終盤の8月5日から行われるレスリングは、東京五輪で金メダルを獲得した、女子フリースタイル50kg級の須崎優衣(キッツ)を筆頭に、東京五輪で銀メダルを獲得した、男子グレコローマンスタイル60kg級の文田健一郎(ミキハウス)、2021年と23年の世界選手権を制し、公式戦133連勝中の女子フリースタイル53kg級・藤波朱理(日体大)、東京五輪金メダリストの乙黒拓斗(自衛隊)を昨年の全日本選手権で破り、初の代表入りとなった清岡幸大郎(三恵海運)ら、有力選手がひしめき合う。

 東京五輪では金メダル5個、銀メダル1個、銅メダル1個とメダルを量産。パリ五輪でも同等か、それ以上の記録を残すことができるか。期待しよう。

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