慶應高校野球部―「まかせる力」が人を育てる―

慶應高野球部の厳しい“通過儀礼”と練習中の強烈な“圧” 真の試練はその先の「考える」ことにあり

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【写真は共同】

「高校野球の常識を覆す!」を合言葉に、慶應高校野球部は107年ぶりに全国制覇を成し遂げた。彼らの「常識を覆す」チーム作りとは、どんなものなのか? なぜ選手たちは「自ら考えて動く」ことができるのか? 選手、OB、ライバル校の監督等、関係者に徹底取材。見えてきたのは、1世紀前に遡る「エンジョイ・ベースボール」の系譜と、歴代チームの蹉跌、そして、森林貴彦監督の「まかせて伸ばす」指導法だった。

 歓喜に湧いた全国制覇から1年、慶應高の歴史に迫った書籍『慶應高校野球部:「まかせる力」が人を育てる』(加藤弘士著)から一部を抜粋して掲載します。

覚悟を問われる「新人トレ」

 慶應高校野球部は決してユートピアではない。

「エンジョイ・ベースボール」の表面だけをなぞれば、髪型が自由で上下関係も厳しくなく、和気あいあいとした楽園のような組織に一見思われがちだ。しかし現実は日本一を目指して激しい競争を繰り広げる集団である。

 入部を希望する1年生には基礎体力作りと3年間やり抜く覚悟を決めてもらうために、4月から約2か月にわたって厳しいトレーニングが課される。「新人トレ」と呼ばれる。

 すでに選手を退いた3年生が新人監督となり、責任を持って1年生を指導し、学生コーチが補佐する。4年間にわたって学生コーチを務めた杉岡壮将が解説してくれた。

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著者プロフィール

1974年4月7日、茨城県水戸市生まれ。水戸一高、慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、1997年に報知新聞社入社。2003年からアマチュア野球担当としてシダックス監督時代の野村克也氏を取材。2009年にはプロ野球楽天担当として再度、野村氏を取材。その後、アマチュア野球キャップ、巨人、西武などの担当記者、野球デスクを経て、2022年3月現在はスポーツ報知デジタル編集デスク。スポーツ報知公式YouTube「報知プロ野球チャンネル」のメインMCも務める。

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