プロ野球「新人王レース2024」最前線レポート

「川上憲伸×高橋由伸」大学時代&ルーキーイヤーを語りつくす! ドラフト、直接対決、球宴、新人王争い…あふれる至極のエピソード

オグマナオト

伝説の新人王争い…ライバル、恩師の思い

球史に残る大混戦の新人王レースを制した川上氏。その渦中、ライバル高橋氏と険悪なムードになりかけたというが、事の真相は? 【写真は共同】

 激動のルーキーイヤーも、夏から終盤戦へ。新人時代の二人が作った伝説には、オールスターにまつわる物語もある。

 高橋さんは「新人史上最多得票」で選出され、期待に応えて優秀選手賞を獲得。一方の川上さんは、「新人でオールスター先発」という大役を務めただけでなく、「史上3人目(投手初)の新人MVP」を獲得してしまう。

 その快挙達成の裏にあった野村克也セ・リーグ監督(ヤクルト)の演出の妙、さらに「思い出すのはイチローさん」とそろって口にする、野球少年のような二人の語らいも新鮮だ。

 そして、シーズンが深まるにつれ、激しさを増す新人王争い。この1998年のセ・リーグは「史上稀に見る激戦新人王レース」と言われ、4選手がしのぎを削った。

■川上憲伸(中日):26試合登板、14勝6敗、防御率2.57
■高橋由伸(巨人):126試合出場、打率.300、19本塁打、75打点
■坪井智哉(阪神):123試合出場、打率.327、2本塁打、21打点
■小林幹英(広島):54試合登板、9勝6敗18セーブ、防御率2.87


 結果として、川上さんが新人王を獲得したのはご存じの通り。川上さんは新人王獲得の一報を受けた際、「真っ先に頭に浮かんだのは由伸のことだった」と当時を振り返る。究極のライバル同士だからこそ語りあえる特別な思い。さらには、星野仙一監督や長嶋茂雄監督という恩師からかけてもらった親心とも言えるメッセージは必見だ。

 最後はこの「平成最強新人」の二人から、今のルーキーたちへのメッセージも。同世代だけが実現できるライバル対決の意義、楽しさ、醍醐味が令和のプロ野球にどのように託されるのか。受け継がれる物語もまた、プロ野球ならではの奥深さと言える。
(企画構成:株式会社スリーライト)

川上憲伸(かわかみ・けんしん)

1975年6月22日生まれ。徳島商高から明治大へ進学。東京六大学リーグ通算28勝をあげ4年時にはエース兼主将として活躍した。1997年ドラフト1位で中日に入団。1年目から14勝をあげ新人王を獲得。2002年8月1日、プロ野球史上70人目のノーヒットノーランを達成。2004年には最多勝(17勝)でリーグ優勝に貢献し沢村賞・MVPを受賞。2006年にも17勝で最多勝に輝きチームを優勝に導いた。2009年、MLB(ブレーブス)に移籍し7勝をマーク。2012年中日に復帰し、2014年には球団最多となる7度目の開幕投手を務めた。2017年3月に現役引退を表明。引退後は野球評論家として活動。YouTubeチャンネルを開設するなど活躍の場を広げている。

高橋由伸(たかはし・よしのぶ)

1975年4月3日生まれ。桐蔭学園高から慶応大へ進学。4年時に主将としてチームをけん引し春季リーグ優勝を達成。リーグ通算23本塁打は今も破られていない東京六大学記録。1997年ドラフト1位で巨人に入団。1年目の開幕からスタメンを勝ち取り、セ・リーグ新人としては長嶋茂雄以来の打率3割を記録。し烈な新人王争いを繰り広げ新人特別賞を受賞した。以降7年連続で100安打以上、うち6シーズンは3割超えと打線の中核として活躍。2004年にはアテネ五輪に出場し銅メダルを獲得。2015年限りで現役引退と同時に読売巨人軍第18代監督に就任し3シーズン指揮を執った。現在は巨人の特別顧問を務める傍ら野球評論家としても活躍を続ける。

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著者プロフィール

昭和52年、福島県生まれ。『ざっくり甲子園100年100ネタ』や『大人も知らない! ? スポーツの実は…』、『スポーツ伝説超百科』シリーズ、『Leo the footballのしゃべくりサッカー部』シリーズなど、スポーツ書籍の執筆や構成を務める。また、『週プレ』『昭和40年男』『野球太郎』等の雑誌での記事執筆やインタビュー、テレビ朝日『報道ステーション・スポーツコーナー』やニッポン放送『スポーツ伝説』などテレビ・ラジオ・YouTubeのスポーツ番組での構成作家も担当。水島新司漫画研究家としてもメディア出演多数。

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