真価が問われる後半戦 FC町田ゼルビアの守護神、谷晃生が初のアジア、シャーレを掴みに行く
首位という初めての状況にも、冷静に対応できている谷 【©️FCMZ】
GKはキャリアが長く、経験とともにワインのように「熟成」していくポジション。谷はハイレベルでありつつ、発展途上の選手でもある。
「どこまでチャレンジするのか。自分の幅を広げていく部分は、まだまだ成長の過程です。リスクを排除するけれど、自分の幅は広げる作業を、今はすごく楽しくやれています」
逆にベルギー揉まれた経験が、活きている部分もある。
町田のセンターバック(CB)陣は元日本代表で主将の昌子源、コソボ代表のイブラヒム・ドレシェヴィッチ、韓国人のチャン・ミンギュが主力を担う多国籍な構成だ。谷はそんな仲間たちとコミュニケーションを取り、連携を構築しつつ結果を出している。
外国人としてプレーする難しさを知る谷は、守備陣にとって非常に大きな存在 【©️FCMZ】
5月下旬には、嬉しい知らせがあった。それは日本代表入りだ。
「代表は誰もが目指す場所です。僕自身も、前回のカタール大会に行きたい思いがあった中で、バックアップで終わりました。どうしても次のワールドカップを目指したい。昨シーズンは、なかなか自分の思い通りに行きませんでした。あと2年ある中で、どうこのシーズンを戦っていくか、どう代表に行くかを考えて、町田に来ました」
今回の日本代表には前川黛也(ヴィッセル神戸)、大迫敬介(サンフレッチェ広島)も含めて3人のGKが選出された。U-23代表の鈴木彩艶(シント=トロイデンVV)も有力な候補のひとりだ。谷は厳しい競争に対して、力むことなく、自然体で臨もうとしている。
「試合に出る出ないは、自分が決めることではありません。出たときに何ができるか、そのモチベーションはすごく高く持っています。9月からは最終予選もあって、ワールドカップに向けた戦いは続いていきます。そこに自分も入りたい、入っていかなければいけないと思っています」
J1の難しさを知っているからこそ、慢心している様子はない 【©️FCMZ】
谷も厳しい認識を持っている。
「1巡目は正直『初見殺し』みたいなところもあったと思います。町田とやって面食らったチームは多かったはずです。僕はJ2でやったことがないので、言っていいのか分からないですけども、J1の分析力、修正力はまったく違うはずです。そして全チームが(好成績を挙げている)町田に対して、強いモチベーションを持って臨んでくる。ここまでの積み上げ、前半戦以上のものをどこまで発揮できるかが問われます」
7月20日の第24節・横浜FM戦は聖地・国立でビッグクラブを迎え討つ大一番だ。6月15日のアウェイ戦を3-1で制しているとはいえ、AFCチャンピオンズリーグのファイナリストが難敵なことは間違いない。そしてこの試合が終わるとJ1は8月7日の第25節まで、17日の中断期間に入る。町田にとっては後半戦へ弾みをつけるためにも、結果が欲しい試合だ。
4月13日に国立で開催されたヴィッセル神戸戦には、クラブ史上最多となる39,080人が来場した 【©️FCMZ】
谷は芯の強さは秘めつつ、どちらかと言うとクールで、スマートなプレイヤーだ。しかし彼に後半戦へのコメントを求めると、ホットな言葉が帰ってきた。
「サポーターの方々の期待を、いい意味で裏切っていきたいです。最初に掲げた『5位以上』は達成しなければいけない目標ですが、今はそれ以上を見ている選手も多いと思います。町田はもう優勝、ACLを狙わなければいけないポジションにいて、それを目指す以外の選択肢はありません。チームとしても、もっと色々なサッカーのできるチームになっていけば、より面白く、より強くなれるはずです。ぜひ期待してください」
夏の連戦で勝ち点を積み上げられれば、ACLや優勝が近づいてくる 【©️FCMZ】