ファーム成績から見るパ・リーグ「有望株」 まだいる伸び盛り若鷹、水谷に続く日本ハム新星は?

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楽天は安田と黒川の成長に期待

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 楽天の投手では、ドラフト1位ルーキーの古謝樹が好成績をマーク。3、4月度のファーム月間MVPを受賞するなど、被打率.125を記録している決め球のスライダーを武器にここまで防御率1.78と安定したピッチングを続けている。5月25日の一軍初先発では6回2失点と上々のデビューを果たしているだけに、主戦場を一軍に移す日も近いだろう。

 3年目の松井友飛も、一軍ローテーションの座を狙う1人。二軍では与四球率が改善の傾向にあり、防御率も2.48と好成績を記録。一軍では6月1日のヤクルト戦で6回1失点の好投を見せ、今季初勝利をマークしている。

 このほか先発投手では、入団6年目を迎えた育成左腕の王彦程が成長を見せている。ストレートの奪空振り率が前年から約8%上がるなど、奪三振率が大きく上昇。待望の支配下登録へ向けてアピールを重ねている。リリーバーで存在感を示しているのが、ドラフト3位ルーキーの日當直喜だ。キレのあるストレートと鋭く落ちるフォークを武器に、ここまで被打率.151、防御率1.72と好成績をマーク。2セーブを挙げるなど、目標とする守護神への歩みを着実に進めている。

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 野手では、安田悠馬が打率.296、4本塁打、OPS.815の好成績を記録。昨季は第3捕手として一軍に帯同していたため出場機会が限定的だったが、今季はここまで二軍で多くの出番を与えられて鍛錬を積んでいる。一軍の捕手では石原彪の台頭や、太田光もまずまずな活躍を見せている。そうしたチーム事情を踏まえると、安田は捕手としてだけでなく、高い打力を生かすべく一塁手やDHとして、一軍で出番を増やす可能性もありそうだ。

 続いて、5年目を迎えた黒川史陽を取り上げる。昨季はリーグの規定打席到達者でトップの打率.307を記録したが、今季はやや伸び悩んでいる印象だ。それでも、三振割合や四球割合は非常に優秀で、選球眼とバットコントロールの良さを持ち味としている。守備では内野の複数ポジションをこなす器用さも備えており、打撃でアピールできれば一軍昇格も見えてくるだろう。

 ルーキーでは、ドラフト6位入団の中島大輔がリーグ平均レベルの打撃成績を残している。チームトップの9盗塁を記録しているほか、センターの守備得点でリーグ上位の数値をマークするなど、走塁と守備で光るものを示している。今後は走攻守3拍子そろった外野手として成長が期待される新人だ。

ソフトバンクには注目の若手がズラリ

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 ソフトバンクには、ルーキーを含めて好成績を残している若手投手が充実している。注目のドラフト1位ルーキー・前田悠伍はここまで4試合に登板し、防御率0.57と好成績をマーク。6月6日にみずほPayPayで行われた二軍戦では6回3安打無失点と好投し、大器の片りんを見せた。

 このほかルーキーでは、ドラフト6位の大山凌が先発投手として安定した投球を披露。6月9日にはリリーフとして一軍デビューを果たすなど、順調なステップを歩んでいる。リリーフ投手では、ドラフト2位の岩井俊介と同5位の澤柳亮太郎がスピードボールを武器に、高い奪三振率を記録。ともに与四球率は1点台を切っており、完成度の高いピッチングを披露している。すでに一軍のマウンドも経験済みで、今後は強力なブルペン陣に割って入ってきてもおかしくない。

 そして、彼ら新人に負けじと結果を残しているのが、前田純と三浦瑞樹の両育成左腕だ。両者はウエスタンの防御率ランキングでトップ2に位置しており、支配下登録の枠をかけてしのぎを削っている。ともにコントロールや緩急を使った投球術に優れ、技巧派サウスポーとしての共通点も多い。今後は球威が向上してくると支配下登録、および一軍昇格が見えてくるだろう。

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 若手野手陣も投手同様に、魅力的な選手が数多く在籍している。今回取り上げる5名の中で最年長の佐藤直樹は、2019年のドラフトで1位入団するも結果を残せず、今季は育成選手として開幕を迎えた。もともと高い身体能力を誇っていたが、打率.340、OPS.961とバットでアピールに成功。5月末に柳田悠岐が全治4カ月の故障で離脱となったこともあり、6月に支配下登録されてからは一軍でプレーしている。

 佐藤直と同じく右打ちの外野手では、3年目の正木智也がリーグトップタイの5本塁打を記録。高い長打力だけでなく、四球割合が三振割合を上回るなど、ストライクゾーンの管理能力でも高いスキルを示している。正木は左投手に対してOPS1.041を記録しており、まずは得意の左腕から結果を残して一軍定着を狙いたい。

 内野手では、ドラフト3位ルーキーの廣瀨隆太が二塁手としてまずまずな打撃成績を残している。牧原大成と三森大貴が故障で離脱する中、5月末に一軍昇格して多くのスタメン出場の機会を得ている。このほか、2020年のドラフト1位である井上朋也が打率.288の好成績をマーク。井上は三塁の守備で開幕から28試合連続で無失策を続けており、三塁の守備得点ではリーグトップを記録している。今後は長打力が身についてくれば、長年チームを攻守でけん引した松田宣浩氏のような選手となれるかもしれない。

 最後に、出場機会は限定的ながらインパクトを残しているのが、育成選手の石塚綜一郎だ。ここまで40打数で3本塁打を放っており、本塁打割合はリーグで30打席以上の選手で最も優れた値を記録している。自慢のパワーだけでなく、四球割合でも優れた数値を残しており、今後は右のスラッガーとして活躍が期待される選手である。

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