全米OP予選落ちも圧倒的存在感のタイガー・ウッズ! 米国ファンが語るその魅力

北村収

タイガー・ウッズと大勢のギャラリー 【Photo by Alex Slitz/Getty Images】

 現在開催中の全米オープンで初日と2日目、圧倒的に多くのギャラリーを集めたのは予選落ちしたタイガー・ウッズだった。予選ラウンドには世界ランキングトップ3のスコッティ・シェフラー、ザンダー・シャウフェレ、ロリー・マキロイが同組で回った。筆者はタイガーの組と、世界ランクトップ3の組の両方についたが、ギャラリー数はタイガーの組の方が圧倒的に多かった。

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タイガー・ウッズに示す米国ファンの尊敬と称賛

 全米オープンの会場でタイガーについて熱心に見学するアメリカ人ギャラリーに話を聞くと、皆が口を揃えてタイガーへの尊敬と称賛を語る。トーナメントに何度も足を運んでタイガーを応援してきたという米国人ギャラリーは、「アマチュアのときから覚えている。プロになったとき、全てを変えてくれた。他の誰よりもボールを遠くに飛ばしたし、誰も試そうとしないショットを打った。アーノルド・パーマー、ジャック・ニクラウスが引退した後の時代、彼は自信を持って才能を発揮した。右足の大怪我をして、48歳になった彼がプレーをしていることは、ファンにとってもゴルフ界にとっても意味があると思う。プレーを続けることで、他の選手にもインスパイアを与えてくれるからだ」と熱く語った。

歩いているときも常に、「タイガー!」とギャラリーから声がかかる 【Photo by Tracy Wilcox/PGA TOUR via Getty Images】

ゴルフに対してポジティブだからみんなタイガーについていきたくなる

 20年間トーナメントのボランティアをしているという方に話を聞くと、「タイガーはゴルフに対してポジティブなんだ。だからあなたが今見ているように、みんな(大人数のギャラリー)は彼についていくのが好きなんだ。タイガーは以前よりショットが正確じゃなくなったし、歩くことが簡単ではなくなった。以前ほど多くのトーナメントに出場していないけど、みんな彼が好きなんだ。タイガーは人々にとても親切で、ゴルフの発展に大きく貢献している。だから多くのギャラリーが彼についていくんだ」と、タイガーが大ギャラリーを引き連れる理由を説明した。

唯一無二の存在であることがタイガーのカリスマ性の源

 では米国のゴルフジャーナリストは現在のタイガーのことをどのように見ているのか? アメリカ人ベテラン記者のポール・ロジャー氏に話を聞いたところ、「2019年のマスターズでのあり得ないような優勝を成し遂げたのを見た多くの人を含め、アメリカのゴルフファンからいまだに尊敬されている。タイガーは今、キャリアの黄昏時にあると見られている。彼がレギュラーツアーで再び優勝できると信じている人はほとんどいない。48歳の彼にとって、ショットを打ったりパットを決めたりすることよりも、4日間コースを歩き続けることの方が大きな挑戦のように思える」と語った。

 さらにポール氏は、「アメリカでのゴルフ人気は、彼が表舞台から去った後、まだ回復していない。このような超越的なゴルファーは二度と現れないかもしれない。彼の技術、仕事への姿勢、勝利への限りない欲望、そして混血というバックグラウンドは、同時代の他の誰とも一線を画していた」とも語り、タイガーはアメリカ人にとって唯一無二の存在であることが、カリスマ性の源だと述べた。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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