【ボクシング】世界バンタム級3位の堤聖也はどう見る? 「4大世界戦プラス1」(5.6東京ドーム&5.4大阪)
阿久井が強くした桑原との楽しみな再戦
王者 ユーリ阿久井政悟(倉敷守安/28歳、19勝11KO2敗1分)
3位 桑原拓(大橋/29歳、13勝8KO1敗)
構図としては前回と変わらないと思うんですよ。阿久井はプレス、プレスで、拓はスピードでさばく。変わったのは拓のフィジカル面、パワー面が強くなってること。接近戦でも勝負できるようになってると思うから、どう出るのか。
前の拓はスピードと足だけで、まだひ弱なイメージがあったんですけど、あれから、ほとんどKOで勝ってますよね?(5勝4KO) 阿久井との試合で拓に足りないなって、思ってた部分が払しょくされて、ほんとに強い選手になったなって、僕は思ってるから。阿久井が拓を強くしたと思うし、そこで世界でもう1回やるんで。楽しみですね。
阿久井は全体的にレベルが高いですよね。プレスも洗練されてるし、ジャブとか技術も高い。で、あの右ストレートの当て勘。拓は今回、相当警戒すると思うんです。だから、阿久井は右のフェイントとかは有効に使えそうですね。でも、拓のスタイル的には警戒し過ぎるぐらいでいいかもしれない。僕みたいなの(攻めるタイプ)が警戒し過ぎて、行ききれなくなると悪いほうに働くけど(笑)。
ポイントは拓のパワフルさが増したところが中で生きるのか、どこまで通じるのか。要所要所で前に出て、阿久井を止めて、また足を使ってってできたらいいけど。ただ、阿久井はブロックの印象もいいじゃないですか。ずっと受けてても、打たせてる印象を持たせるのがすごく巧いし、メンタル的にもブレないんで。そこを拓が崩せたら、印象を持っていけると思いますけど。
予想ですか? 判定まではいきそうですけどね……。友だち同士だし、現実に結果が出るまで言えないし、言いたくないです(笑)。
【第1戦プレーバック】
両者は阿久井が日本王者時代の2021年7月、後楽園ホールで対戦。初回に阿久井が得意の右カウンターで桑原を倒し、いきなり試合を動かす。以降は阿久井がプレスをかけ、桑原が持ち前のスピード全開でさばくという展開が続いた。最終10回、阿久井の右カウンターが再び炸裂。桑原は前のめりに崩れ落ち、レフェリーが即ストップする壮絶な幕切れとなった。
西田は中・長距離での駆け引きで上回れるかがカギ
王者 エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ/31歳、22勝13KO2敗1無効試合)
1位 西田凌佑(六島/27歳、8勝1KO無敗)※サウスポー
IBFは僕が狙いやすい位置(3位)にいるタイトルなので、結果は気になるところです。西田選手はサウスポーのやりづらいアウトボクサーで、僕の中では強い選手という印象はないんですけど、勝ちづらいボクシングをする非常に嫌なタイプですね。
ロドリゲスはタッパがあるけど(身長168cm)、しっかりプレスをかけられて、手数も多い。バン、バン、バンって、一発一発、コンパクトに力強く打ってきますね。で、技術レベルも高いし、合わせる左フックとかタイミングも分かりづらくて、ほんとに高性能なボクサーという印象です。
西田選手は体格的に(自身より)小さい相手とやることが多かったと思うので、自分の距離(中・長距離)で駆け引きするにしても体格のアドバンテージ(同170cm)が有利に働いていたところがあったと思う。それがなくなるとどうなるか。
西田選手としては自分の距離での駆け引き、技術戦で上回ることが、まず大前提になるので、そこでどこまで戦えるか。ロドリゲスは巧いし、見た感じサウスポーに対する立ち位置もよくて、苦にしなさそうなので。厳しい戦いにはなると思います。
展開としてはプレスをかけていくロドリゲス、一発当てて、回って、距離をキープしたい西田選手になると思います。西田選手はクリンチでカットする(流れを切る)のも巧いから、自分の距離じゃなくなったらカットして、カットして、ロドリゲスのフラストレーションを溜めていく。そうやって崩していくしかないですね。
予想はロドリゲスです。徐々にプレスが強まって、終盤に追いつめて。10ラウンドぐらいで止めそうかな、と思いますけど。