井上尚弥の世界タイトル初挑戦 王者・エルナンデスがリングで受けた“サプライズ”と8年半後に知った真実
2013年4月、井上尚弥のプロ3戦目の相手を務めた佐野友樹はそう叫んだ。
それからわずか1年半、世界王座を計27度防衛し続けてきたアルゼンチンの英雄オマール・ナルバエスは、プロアマ通じて150戦目で初めてダウンを喫し2ラウンドで敗れた。「井上と私の間に大きな差を感じたんだよ……」。
2016年、井上戦を決意した元世界王者・河野公平の妻は「井上君だけはやめて!」と夫に懇願した。
WBSS決勝でフルラウンドの死闘の末に敗れたドネアは「次は勝てる」と言って臨んだ3年後の再戦で、2ラウンドKOされて散った。
バンタム級とスーパーバンタム級で2階級4団体統一を果たし、2024年5月6日に東京ドームでルイス・ネリ戦を控えた「モンスター」の歩みを、拳を交えたボクサーたちが自らの人生を振り返りながら語る。第34回ミズノスポーツライター賞最優秀賞に輝いたスポーツノンフィクション『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』から2014年4月6日に開催された井上尚弥vs.アドリアン・エルナンデスの戦いを一部抜粋して公開します。
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【写真:アフロスポーツ】
(メキシコ)
2014年4月6日 東京・大田区総合体育館 6ラウンド 2分54秒 TKO
WBC世界ライトフライ級王座獲得
井上の戦績 6戦全勝5KO
サプライズ
試合を生中継するフジテレビは、日本選手最短での世界王座を狙う井上のために米ラスベガス仕様の照明をセットした。カクテル光線が交差する中、両者が入場すると、尚弥コールが沸き起こる。観衆は4300人。会場の大田区総合体育館は異様な盛り上がりをみせていた。
試合開始のゴングが鳴った。
井上の鋭い左ジャブが次々飛んでくる。接近戦を目論むエルナンデスは頭を振って、中に飛び込めるか気配を窺った。
開始1分、試合が動いた。
左ジャブがあごをめがけてきたと思い、それに意識を奪われた。次の瞬間、何が起こったのか分からなかった。何のパンチが飛んできたのか、一切見えなかった。エルナンデスは気が付いたら右のボディーストレートを鳩尾(みぞ・おち)に食らっていた。足がもつれ、一瞬よろける。
「あれはサプライズだった」
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