【ボクシング】世界バンタム級3位の堤聖也はどう見る? 「4大世界戦プラス1」(5.6東京ドーム&5.4大阪)

船橋真二郎

ボクシングが詰まった、目の離せない試合

元K-1王者の武居由樹(左)が東京ドームでモロニー(右)に挑む 【Photo by Kelly Defina/Getty Images / 写真:松尾/アフロスポーツ】

◆5.6 東京ドーム WBO世界バンタム級タイトルマッチ
王者 ジェーソン・モロニー(豪/33歳、27勝19KO2敗)
5位 武居由樹(大橋/27歳、8勝8KO無敗)※サウスポー


 ジェーソンは万能型で、(ボクシングが)キレイですね。速いし、パンチも鋭くて、タイミングがめちゃくちゃいいし、キレがあるから、効かせる、倒せるパンチは持ってますね。武居選手はパンチが強い分、モーションもあるので、同時打ちした場合はジェーソンのパンチが先に当たると思います。

 ただ武居選手、まあまあリズムが違うところがあるじゃないですか。で、速いだろうし、タイミングも独特だと思うから、一発という面では武居選手にはチャンスが絶対にあると思います。それをジェーソンがどれだけカバーできるか。ボクシングの能力ではジェーソンが上回ってると思うので。

 ポイントは序盤じゃないですか。体格のアドバンテージは武居選手にあるので、ブロックの上からでもパンチを受けたときにジェーソンがどう感じるのか。あとは武居選手がどう出るかですね。プレスをかけていくのか、距離を取って組み立てていくのか、それ次第で展開も変わる。

 構図としては技術のジェーソン、パワーの武居。で、タイミングのズレ、一瞬の勝負で流れが変わるので目が離せない。武居選手が一発効かせて優位な中で、ジェーソンが鋭いカウンターで倒す、そういう技術の美しいシーンが見られるかもしれないし、ジェーソンがポイントでリードしてる展開で、武居選手が一発で逆転する劇的KOもあるかもしれない。僕は6-4で武居優位かな、と思ってるんですけど、とにかくボクシングが詰まった、いい試合になると思います。

井上拓の抜群の距離感と石田のジャブの勝負

◆5.6 東京ドーム WBA世界バンタム級タイトルマッチ
王者 井上拓真(大橋/28歳、19勝5KO1敗)
1位 石田匠(井岡/32歳、34勝17KO3敗)


 拓真は前回の試合で株を上げましたよね(元IBF世界スーパーフライ級王者のジェルウィン・アンカハス(比)に9回KO勝ち)。僕は6-4でアンカハスだと思ってたんで。勝ち方もすごくよかったし、ほんとにすごいなと思って。感動しました。体格で言うと僕とほとんど変わらないのに(身長164cm)、あの距離感。多分、近い距離に感じるのに「当たらない」みたいなズレが生まれると思うんですよね。そのズレにハマって、拓真ペースになっていくっていうのがあると思うんですけど。

 石田選手、デカいじゃないですか(同173cm)。で、ジャブがめちゃくちゃ巧いし、長いですよね。あのジャブと向かい合って、拓真の距離感がどう生きるのか。あの感じで石田選手が遠い、当たらないって感じるなら、拓真の距離感は相当すごいということなので。そこが僕は気になりますし、最初のジャブの差し合いに注目すると面白いと思います。

 で、その次の展開ですよね。石田選手はジャブが生きれば、ワンツーもキレるし、結構、前傾で重心が前にあるから、プレスをかけていくんでしょうけど。拓真は差し合いに勝てば、パッと中に入って打ったり、遠くで駆け引きしたり、どんどん出入りして、メリハリのあるボクシングをしていくと思います。

 ただ、差し負けても次のカードをめっちゃ持ってそうなのは拓真ですよね。有利に進めててもカードをどんどん切って、展開を変えていくと思うし。僕の予想は拓真が中差の判定勝ちですね。石田選手もほんとにレベルが高いと思うので、小差もあるかな。まあ、僕がいちばんやりたいのは拓真なので(笑)、拓真に勝ってもらって。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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