ウェルター級で期待度ナンバー1の強打者・佐々木尽が復帰【5月のボクシング注目試合】

船橋真二郎

東西で期待のホープが登場

5月18日、タイトル獲得に向けたテストマッチに臨む辰吉寿以輝 【写真:ボクシングビート】

 5月18日は大阪、東京で近い将来のタイトル獲得に期待がかかるホープが登場。また捲土重来を期す日本1位の心機一転の復帰戦も行われる。

 大阪・エディオンアリーナ大阪第2競技場では、今年1月に那須川天心(帝拳)のボクシングデビュー戦の相手を務め、注目を浴びた与那覇勇気(真正)を判定で下し、現在は日本スーパーバンタム級12位にランクされる辰吉寿以輝(大阪帝拳/27歳、15勝10KO 1分)が、キャリア豊富なサウスポーのチャイワット・ブアトクラトック(タイ/32歳、41勝27KO9敗)と戦う。

 年内のタイトル獲得を熱望する辰吉には試金石の一戦となる。チャイワットは一昨年10月、現・東洋太平洋スーパーバンタム級王者の中嶋一輝(大橋)に8回TKO負けも、2度のダウンを奪うなど、見せ場をつくった。辰吉がタイトルを見据えるスーパーバンタム級、バンタム級にはサウスポーの有力選手が多く、格好のテストマッチになる。

 1990年代に絶大なる人気を誇った偉大な元WBC世界バンタム級王者、辰吉丈一郎の遺伝子を受け継ぐ寿以輝はタイトル挑戦をアピールできるか。

5月18日、「日中タイ友好親善試合」に出場する玉山将弥、中野幹士、矢代博斗 【写真:船橋真二郎】

 後楽園ホールでは「日中タイ友好親善試合」と銘打ったイベントが開催され、帝拳ジムの日本ランカー3人が出場する。

 9戦全勝8KOの強打を誇り、“鉄の拳”の異名をとる日本フェザー級7位の中野幹士(帝拳/28歳)は日本未公認ながらアジアのタイトルを持つサタポーン・サアット(タイ/20歳、13勝8KO1敗)と激突。「メインに相応しい、見応えのある試合をしたい」と誓う。

 高校で3冠、東京農大時代は国体で2度優勝し、鳴り物入りでプロ転向したサウスポーはケガなどで思うようにキャリアが進まない時期もあったが、焦ることなく「決まった試合に最高の形で勝っていくことが一番のタイトルマッチにつながる道」と目の前の一戦に集中。タフで好戦的と評価する相手に対し、「自分からどんどん仕掛けて、いい形で倒して勝ちたい」と意気込む。

 日中対抗戦として行われる5番勝負のトリを務める日本バンタム級13位の矢代博斗(帝拳/27歳、5勝5KO)。昨年5月、同門の山口臣馬(帝拳)に判定負けも、苦闘を強いた相手のザオ・ジュン(中国/31歳、13勝10KO4敗2分)を会場で直に見ており、「とても気持ちが強くて、タフな選手」と気を引き締める。

 花咲徳栄高ではベスト8の壁を突破できず、平成国際大では国体3位が最高成績でタイトルとは無縁だったが、関東大学リーグ戦(2部)では4年間全勝を達成し、MVPにも2度選出された。ここ2戦、左構えからの強烈な右フックで鮮やかにフィニッシュしている。「じわじわと崩して、必ず倒して勝ちたい」と力を込める。

 日中対抗戦の副将格、日本スーパーウェルター級1位の玉山将弥(帝拳/30歳、14勝8KO4敗)はチャン・フエン(中国/28歳、6勝4KO1敗)を迎える。2021年12月のタイトル初挑戦で、当時の日本ウェルター級王者・小原佳太に5回TKOで敗れてから連敗中で、ケガなどで約1年半ぶりの実戦に「何が何でも勝つという気持ち」と語る。

 昨年5月にリングネームを将也から将弥に変え、元世界王者の浜田剛史代表には「帝拳ジムで名前を変えたのは俺しかいない(剛から剛史に)。その意味は分かるな」とハッパをかけられた。7月には左ヒジを手術し、態勢を整えた。勝利が可能性をつなぐ一戦。「判定でも、倒してでも、絶対に勝つ」と繰り返した。

 そのほか日中対抗戦は6回戦が2試合、4回戦が1試合の合計5試合で争われる。「日中タイ友好親善試合」の模様は「U-NEXT」でライブ配信される。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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