東京六大学2024春季リーグ展望 慶大、明大の牙城を崩すチームは現れるか?

高木遊

早大の小宮山監督がエースとして期待をかける伊藤

優勝から6季遠ざかっている早大。野手陣では主将を務める捕手の印出(写真)や副将の吉納がキーマンだ 【YOJI-GEN】

 昨年は春4位、秋3位の早稲田大は、高校や大学下級生時代から経験と実績を積んでいる選手たちの活躍が鍵となりそうだ。

 エースとしての働きが望まれるのが伊藤樹(3年/仙台育英)。小宮山悟監督も「ちょっとやそっとでは動じない大黒柱になってほしい」と期待をかけており、2年間で30試合のマウンドに上がってきた経験値や、平均球速の向上に取り組んだ冬場のトレーニングの成果を示し、チームに多くの白星をもたらしたい。

 伊藤の他には内部進学や一般入部から着実に力をつけてきた投手に加え、宮城誇南(2年/浦和学院)、香西一希(2年/九州国際大付)、越井颯一郎(2年/木更津総合)、髙橋煌稀(1年/仙台育英)、安田虎汰郎(1年/日大三)と、甲子園や国際舞台で活躍した投手が揃っている。

 野手ではともに2年春からレギュラーで、ドラフト候補に挙がる外野手・吉納翼(4年/東邦)と捕手・印出太一(4年/中京大中京)に期待。吉納は広角に長打を飛ばせることに加え、3割超えが過去4季中2季あるように確実性が高い。印出は強打の捕手として高校時代から鳴らし、2年春には打率.349を記録した。相手校のマークも厳しくなったのか、昨年は春秋ともに2割台と低調に終わったが、力強い打撃の復活と投手陣を好リードし、攻守でチームを牽引したい。

 昨年は春秋ともに5位に沈んだ立教大は、コーチから昇格した木村泰雄監督の下、再出発。前述の4校と比べると大柄な選手が少ないが、昨秋に打率4位(.342)の桑垣秀野(3年/中京大中京)、同8位タイ(.324)の菅谷真之介(4年/市立船橋)ら経験者が多く残る野手陣が一体となって攻守を盛り立てる。

 投手陣は侍ジャパンU-15代表入りや甲子園準優勝を果たしてきた小畠一心(3年/智辯学園)、最速149キロ右腕の吉野蓮(3年/仙台育英)、一浪の末に入部した塩野目慎士(4年/足利)、ダイエー(現ソフトバンク)の外野手として活躍した大越基氏(早鞆高監督)を父に持つ大越怜(3年/東筑)と、実績豊富な投手と叩き上げの投手たちが切磋琢磨しており、結果として強力な投手陣となる可能性を秘めている。

東大は2021年秋以来となる勝ち点を挙げることが当面の目標。エース格の平田はもちろん、希少なアンダースローとして飛躍が期待される渡辺(写真)らを含めた投手陣がどれだけ踏ん張れるかがポイントだ 【写真は共同】

 53季ぶりの最下位脱出を目指す東京大は、昨秋に打率.316を記録し侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿にも招集された酒井捷(3年/仙台二)が2月に左膝の靭帯を痛めて離脱。春季リーグ出場が絶望的な状況なだけに、大型右腕・平田康二郎(4年/都立西)、外野手との二刀流右腕・鈴木太陽(4年/国立)、ロッテで活躍した父・渡辺俊介を彷彿とさせるアンダースロー右腕・渡辺向輝(3年/海城)ら投手陣が失点を最小限に抑え、少ないチャンスで得点を挙げていきたい。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。

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