さらなる躍進に期待のかかる広島 「ベテランと若手の融合」が今季のキーポイント

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坂倉将吾が攻守の中心としてチームをけん引

【データスタジアム株式会社】

 2022年は主に三塁手を務めていた坂倉が昨季は捕手として102試合にスタメン出場。規定打席に到達してリーグ13位のOPS.757の好成績を残した。広島の捕手の得点貢献度がプラスを記録したのは、坂倉のバットでの活躍によるところが非常に大きい。盗塁阻止率が3割を切るなどディフェンス面には成長の余地を残しているほか、打撃で21年のキャリアハイに匹敵する活躍を見せることができれば、さらなる上積みも望める状況といえるだろう。

 2番手にはベテランの會澤翼が控える。昨季は打率.172、1本塁打と思うような結果を残せなかったが、18年目を迎える今季は健在ぶりを示せるか注目したい。第3捕手の席は競争が激しく、経験豊富な磯村嘉孝を若手が追う形となっている。オープン戦では高卒3年目の高木翔斗が攻守にアピールを見せており、今後の成長が楽しみだ。

チームの浮沈を占う新助っ人の打棒

昨季の課題だった一・三塁には、シャイナー(写真)とレイノルズの2人を獲得。両者ともに長打力に期待がかかる 【写真は共同】

 内野はショート以外のポジションで得点貢献度がマイナスを記録しており、今季は改善が求められる状況だ。特に大きなマイナスを記録したのがファーストとサードで、マクブルームとデビッドソンの両助っ人の不振を他の選手でカバーしきることができなかった。これを受けて、チームは助っ人コンビを自由契約とし、新たにシャイナーとレイノルズの両名を獲得した。シャイナーは昨季マイナーで30発を放ったパワーが魅力で、ファーストでの起用が見込まれ、レイノルズはマイナー通算74発のパンチ力に加え、内野の全ポジションをこなすなどユーティリティー性も備える。この両ポジションは若手選手の層も薄くなっており、両助っ人の成績がチームの浮沈に与える影響は大きいだろう。

同じく貢献度でマイナスとなったセカンドは菊池涼介が長年レギュラーを張っているポジション。世代交代を考える時期にきているが、羽月隆太郎や矢野雅哉、韮澤雄也などの候補は、いずれも打撃に課題を残しており、レギュラー奪取にはさらなる成長が求められる。内野で得点貢献度が唯一プラスだったショートは、小園海斗が後半戦に打率.320を記録するなどし、攻撃面でアドバンテージとなっている。今季は年間を通した活躍を見せ、中心選手としてチームを引っ張りたい。

西川龍馬に代わる新レギュラーの台頭は

 昨季は西川、秋山翔吾、野間峻祥の3選手が主力として外野陣を支え、特に両翼は得点貢献度でもしっかりとプラスを生み出していた。今季は西川がFAでオリックスに移籍したため、その穴を埋めるレギュラーの台頭が待たれるところ。最も注目される存在は、高卒3年目を迎える田村俊介だろう。一軍での実績もない中、今月行われた欧州代表の試合で日本代表に選出されるなど、侍ジャパンの井端弘和監督からも大きな期待を受けている。オープン戦では、ここまで3割を超える打率を残しており、3月14日には2打席連続アーチとブレークの気配を漂わせている。

 また、末包昇大も6月からの出場で2ケタ本塁打を記録するなどし、レギュラーの有力候補である。この春は左膝の故障で出遅れているが、すでにトレーニングを再開しており、4月中の一軍復帰を目指している。今季から外野手登録に変更となった7年目の中村奨成も、二軍では好成績を残し続けているだけに、そろそろ殻を破りたいところ。外野手は次世代のレギュラー候補が芽を出しつつあり、西川の抜けた穴を最小限に抑えられる可能性も十分秘めているだろう。

6年ぶりの頂点へ、新井監督の手腕に期待

 昨季は新井貴浩監督のもと、クライマックスシリーズ進出を果たした広島。16年からの3連覇以来となるリーグ優勝を狙う今季は、内野手がどれだけ活躍できるかがカギを握っている。新戦力のシャイナーとレイノルズにかかる期待は大きいとともに、両助っ人がともに苦戦するようだとチームの低迷に直結しかけない状況ともいえる。チームの課題は決して少なくないが、昨季の2位フィニッシュが開幕前の下馬評を覆す見事な戦いぶりだったことを考えれば、今季のさらなる躍進にも期待が高まる。若手とベテランの力を融合させ、今季は6年ぶりの頂点を目指す。

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