チーム自慢は「元気と笑顔」 被災した日本航空石川、一丸となって挑む春
センバツ出場が決まり喜ぶ日本航空石川の選手たち 【藤井達也撮影】
主将が見せたい不屈の姿
日本航空石川は、航空業界に多く人材を輩出しており、今のチームにもキャビンアテンダントを目指すマネジャーがいる。スポーツも盛んで、ラグビー部も同じく今春、埼玉県で開幕する全国高校選抜ラグビーへの出場を決め、女子バスケットボール部は昨冬のウインターカップに初出場した。
野球部は4年ぶり3回目のセンバツだが、前回の2020年は新型コロナウイルス感染拡大のため、大会は中止。さまざまな思いが重なった今回の出場決定を、今までの人生で一番感動したシーンとして挙げた選手は、宝田主将をはじめ多い。
野球から学んだことを聞く設問で、宝田主将はこう答えた。「野球は試合が終わるまで何が起きるか分からない。何事にも最後まであきらめずに取り組むことを後輩に伝えたい」。逆境から臨むセンバツ。不屈の姿は後輩たちだけでなく、多くの人々の胸を打つはずだ。
感謝の心を胸に 甲子園で星稜と「石川対決」を熱望
大会前に主催者が日本航空石川の選手31人に実施した「将来の夢」(複数回答あり)のアンケート調査結果 【毎日新聞】
「対戦したい学校や選手とその理由」の質問に回答した31人のうち最多の9人が星稜を挙げた。昨秋の石川県大会の決勝で対戦。九回裏に日本航空石川が2点差を追いつく大熱戦となったものの、延長十一回タイブレークの末、惜敗した。勢いづいた星稜はその後も白星を重ね、北信越大会と明治神宮大会を制し、秋の全国王者となった。「リベンジしたい」「県勢のライバルとして絶対に勝ちたい」などと、次に戦う機会に向けた気合に満ちていた。
「将来の夢」(複数回答あり)を尋ねると、9人で最多だったプロ野球選手以外に、「人の役に立つ」「人に必要とされる人になる」といった社会から求められる人材を目指す回答が目を引いた。宝田主将もこう記した一人で、好きな言葉で「恩返し」と記した。被災後、多くの温かいサポートを受けており、好きな言葉として「ありがとう」や「感謝」を挙げる選手は多い。