U18年代が憧れる大会とスター輩出へ大きな一歩 日本バスケットボール協会が仕掛ける高校バスケ年間PR強化大作戦

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地元の高校を応援する、それぞれの地域に根付く大会に

U18日清食品リーグの情報を積極的に発信し、女子の京都精華学園が「高校三冠」と取り上げられることで全国的な権威付けをすることもできた 【(c)U18日清食品リーグ】

――年間PR強化をやってきた中で、これからの将来に向けてこの部分をもっと改善してきたいということなどがありましたら教えてください。

石田 私の観点で言うと、もっと地域に根付く大会にしたいなと思っています。将来的には、それぞれの地域で地元の高校が大会関係なく応援されるような世界観を作れるといいなと思っています。そのための足掛かりとしてローカルの露出を増やすことから始めました。さらにこれからは、地元の高校を応援するためにどういう露出が作れるかということを、それぞれの地域のメディアの皆様と一緒に検討させていただけるような座組を考えていきたいです。まだまだ課題はたくさんありますが、そのようなことを長期的な視点で考えています。

新出 石田が今話したことと共通するのですが、ナショナルとローカルの両立が重要と思っています。先ほどから一貫して言っているように、この大会自体に憧れてもらいたい。例えば甲子園を通ってプロ野球選手になり、さらにメジャーリーガーになるのと同じで、僕らの大会もきっと登竜門的な存在になると思っています。ここからB.LEAGUEやWリーグの選手、日本代表選手になり、世界に羽ばたいていく選手がどれだけ増えていくか……というのはまだ分かりませんが、この大会があったから成長できたんだと思ってもらえる選手がたくさん出てきてくれると、すごくいいなと思っています。

ローカルに関しては日本代表、B.LEAGUEというコンテンツがバスケの中でもある中で、高校バスケ以上に上位カテゴリがニュースになることら自明です。そのことを重々理解した上で、地元のチームが全国大会に出るというニュースは、その地域にとっては一大ニュースになるものだと思うんです。今は積極的なアプローチのもと、メディアに取り上げていただくことを日清食品様、ソフトバンク様とご一緒しているのですが、ゆくゆくはそれを地元のメディアの方たちに自発的にお取り上げいただけるようなバリューを発揮していけるようになれば、バスケ界にとってより良い未来になると思っています。

「するスポーツ」「見られるスポーツ」のナンバーワンを目指して

高校バスケがますます発展し、10代からスター選手が登場する未来はきっと近い 【(c)U18日清食品リーグ】

――バスケでも全国各地の高校生が取り上げられ、そこからすごいスターが現れることで盛り上がり、それがまたB.LEAGUEや世界にも繋がっていく。そうした流れができていくのを楽しみにしています。それでは最後にお二人から、今回の施策を通して何か伝えておきたいことなどがありましたらよろしくお願いします。

石田 今回、こんなに良い関係でパートナーの皆様と大会運営をしていくことは非常に恵まれていると感じています。皆様やはりスポーツを愛して、バスケットを愛してくださっているので、皆様から感じるその愛を、私達はエネルギーに変えて頑張っています。今後も支えてくださる皆様の想いを大事にすべきだなと思いますし、それを参加する高校生の皆様にも還元していくことができればと思っています。

新出 加えて、サステナブルにできるかどうかというのも、すごく重要だと思いますね。大会をどんどん発展させ、継承していく際に、しっかりと先回りをして継続的に大会を開催できる土壌を作りながら拡大させていかないといけないと思います。

――今まではバスケの露出がそんなになかったから子どもがやっていても親世代はあまりハマれなかったけど、今は露出が多いので親世代もハマり出したという話を周りからもよく聞きます。

新出 そうなんですね。今の学生の親世代は30代、40代、50代ぐらいの人が多いと思うのですが、50代前半ぐらいの人たちが僕たちにとってはすごく重要なセグメントになっていると考えています。なぜならば、これまでの歴史を振り返った時に重要になるのはやっぱり1990年代。マイケル・ジョーダンなどNBAスーパースターや92年のバルセロナオリンピックでのドリームチームに魅了された世代であったり、『SLAM DUNK』のリアルタイムの連載期を経験している人たちなんです。それゆえにこれからの10年は、バスケを今まで以上に応援してもらえる環境になると考えています。

子どもの親世代にバスケを好きな人が多くなってくるこの10年。田臥勇太選手が能代工高で9冠を達成したということが記憶にある人たちが親世代になっているので、だからこそこの10年間をチャンスにしていくことで、我々JBAが指針に定めている「するスポーツ」のナンバーワン、「見られるスポーツ」のナンバーワンになるというところに繋げていかなければならないと、常に危機意識を持って臨んでいます。

――はい、今回は高校バスケ年間PR強化策からバスケ界の未来まで、貴重なお話をたっぷりと聞かせていただきありがとうございました。

新出&石田 ありがとうございました。

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