スポーツナビの「公式情報」活用でPV爆増、全日本スキー連盟の新たなメディア戦略

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スキー、スノーボードを通して表現したかったことに近い施策

現場のコーチは選手のサポートの傍ら、さまざまに工夫を凝らした記事・動画コンテンツも作成している 【提供:全日本スキー連盟】

――今回の取り組みに関して、スキー連盟さん内での反響というものはどうでしょうか。

山田 我々としては当初、今シーズンで2000万PVを獲得しようという目標を立てていたのですが、それがもう11月の時点で達成してしまい、今はもう1億PVに届こうかというぐらいまで行くことができました。その数字を理事会で報告したところ、これだけの露出ができているんだったら、もっと取り組んでいきましょうという評価を役員の方からもいただいたので、連盟内でもすごくポジティブな評価をもらえていると思っています。

あと、やっぱり現場のコーチの方たちからもそうしたPV数がツールを通して自分たちも直接確認できるということで、手応えを感じていらっしゃるようですし、すごくポジティブに取り組んでいただいているのかなと感じていますね。

――失礼な言い方になるかもしれませんが、ウィンタースポーツと言いますとどうしても 冬場にしか興味が集まらないというところもあるかと思います。たくさんのニュース、コンテンツを配信することでそうした状況を変えて、オールシーズンで注目してもらおうという意図や目的もあるのでしょうか。

山田 そこに関しては、まだ我々は11月からの3カ月間しかやっていないので、今後どのような数字が出てくるのかは正直、まだ分かっていない部分ではあります。ですが、今おっしゃられたことは往々にして想定できることでもありますので、逆にそこが今後の課題になってくるのかなと思っています。ただ、夏場だからコンテンツが少ないというチームももちろんあると思うのですが、逆に、例えば稲村のチームとかは夏場にも大きな大会が南半球の方であったりしますので、それはそれで日本の通常のテレビとかでは見られないようなコンテンツを出せる有用性というのも出てくると思っています。その辺をうまく活用して発信していければ、 夏だから・冬だからという部分はなくなってくるんじゃないかなと思ってはいます。

――先ほど目標以上の凄いPV数がすでに出ているというお話もありましたが、スポーツナビの「公式情報」ではPV数が増えたからといって例えば広告収入などがスキー連盟さんに入る仕組みではありません。それでもモチベーション高く取り組まれている理由はどういったところにあるのでしょうか?

山田 まず一番大きいのは“オフィシャル”であるということだと思うんですよね。全日本スキー連盟が民間企業で独自でやっているとかであれば、それこそソーシャルメディアを使えば良いと思うんですけれども、やはりオフィシャルな団体ですので、それなりに統制をとってやらなければならない。なので、オフィシャルな場として、オフィシャルなコンテンツを配信していくという考え方をすると、やはりソーシャルメディアよりもオウンドメディアになってくるのかなと思います。そこが一番大きなところじゃないかなと思います。

――現場の稲村さんとしては投稿・配信する上でのモチベーションだったり、原動力みたいなものは何かありますか?

稲村 そうですね、山田さんが今おっしゃったことが全てかなとは思っていますが、僕個人の考えとしてはモチベーションという大層なものではないのですが、やっぱりスキー、スノーボードってなかなかメディアに取り上げてもらえないというところが僕の中では根本にあるんです。そういったところでスポナビさんのプラットフォームを使わせていただくことで、僕たちが投稿したスキーやスノーボードのニュースがヤフーのトップページに載ったりとか……今回すごくびっくりしたのは、例えばこの大会にこの選手が出ますというニュースを試験的に投稿してみたんですよね。そうしたら、もうその投稿自体がヤフーのトップページに掲載されていることもありました。そういったところから、その大会に足を運んでくれる記者さんだったり、見に来てくれるファンの方だったりに繋がっていくのかなと思っています。

ウィンタースポーツは他のスポーツと比べて発展しにくい部分が確実にあると僕は思っているのですが、それでも僕たちはウィンタースポーツってこんなに面白くて、すごい魅力的で、すごい価値があるコンテンツだなと思っています。だから、これをもっと広めたいという思いがやっぱり根本にあるので、オウンドメディアでの取り組みを行うことでヤフーやスポーツナビのトップに載ったりとか、より多くの人の目に触れるというところにすごくモチベーションと言いますか……それって本来自分たちがスキー、スノーボードを通して表現したかったことに近いのかなというふうに思っています。もうその一心、その気持ちしかないという感じですね。

タッチポイントを今以上に広げて

今後も全日本スキー連盟が現場から届けてくれるニュース、動画を期待したい 【提供:全日本スキー連盟】

――例えばスポーツの競技団体に限らず、どの企業さんでも新しい製品・サービスを出しました、こんなイベントをやりますというリリースを報道各社に送ったところで、報道メディアが取り上げなければあまり人の目に触れられずに終わってしまいます。それがスポナビの「公式情報」を活用すれば、競技団体やチームが伝えたいことをそのままストレートに伝えることができ、スポーツファンのみならず今までスキー・スノーボードにあまり興味がなかった人の目にも届く可能性がある。それがオウンドメディアのいいところですよね。これまでの質問と少し重複するかもしれませんが、この取り組みをやって本当に良かったなと思った出来事などありましたら教えてください。

稲村 これは僕だけなのかもしれないのですが、僕が見ている範囲の中では圧倒的にヤフーのトップのニュースに載ることが多かったんです。ここまで取り上げていただくというのはすごく印象に残っていて、やっぱり、これを続けてきて良かったなっていうのは思いました。実際、現場で記事を上げて、撮影して、選手をサポートしてというのはすごく大変なところもあるんですけど、そういったところで自分の中でのモチベーションに繋がったりとか、本当にやってきて良かったなと、ヤフーのトップに載った時にすごく実感します。

――PVの伸びなど数字を自分で確認できるというのも嬉しいことですよね。

稲村 そうですね。もう数字が明らかに目に見えるというところと、ヤフーのトップに載った時の数字の跳ね上がり方も全然違いますし、あれこそがモチベに繋がってるというところはちょっとありますね。

――では最後になりますが、この「公式情報」を通して今後はこんなことをやってみたいなどプランや展望などありましたら教えてください。

山田 正直、この取り組みを実行し始めてからまだ3カ月目ですので、まずは今シーズンの数値を見て、今後はどうするかというところなのですが、結構できすぎている数字が出てきています。我々の目標値をかなり超えていくような数字になっているのですが、これをここでとどめることなく、来年、再来年といかにウィンタースポーツを発展させていくかということが大事なんじゃないかなと思っています。そのためには、やはり一般の方たちの目に止まるタイミングと、タッチポイントを増やしていくことが大事だなと思っています。そこをどれだけ今以上に広げていけるか、ということが重要だなと考えています。

稲村 今の取り組みはマスの層に当てているもので、自分たちのことをより知ってもらうとか、より広く届ける活動だと思っています。その一方で、自分たちのファン、より自分たちに興味を持ってもらえる人たちを増やさなきゃいけないということが別の課題としてもあります。

今回の取り組みで記事のPV数など数値という面では今までより大幅にアップしましたが、次のハードルがありますので、ゆくゆくは例えば僕たちの代表チームが大会に出場した時にすごくたくさんの人が集まったりとか、一般のユーザーの方たちがスキー場により多く足を運んでくれるきっかけになったり、最終的にはそういったところまで影響力のあるものにしていきたいなという思いがありますね。山田さんが言ったようにまだ3カ月目なので、道半ばもいいところだと思っていますので(笑)。

山田 あともう一つ付け加えるなら、ここで作った露出を今後どうやってマネタイズ収入につなげていくかということも考えていきたいところですね。例えば、これだけの露出があるからもっとスポンサーを増やそうとか、そういうところにも注力できるような体制を作れたらいいのかなと考えています。

――ありがとうございました。今後もスポナビ「公式情報」のモデルケースとしてスキー、スノーボードの楽しさや面白さ、選手の魅力を発信して、ウィンタースポーツを盛り上げていただきたいなと思います。

山田&稲村 ありがとうございました。

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スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

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