【福西崇史のスコア予想】ラウンド16・バーレーン戦 引いた守備ブロックを崩すためのキーマンは?

吉田治良

森保監督は最後まで彩艶を使うはず

何かと批判を浴びているGKの鈴木だが、福西氏は「良い経験をしている」とポジティブな見解。苦い経験を今後のプレーにどう生かしていくのか、注目したい 【写真:REX/アフロ】

 日本のスタメンですが、僕は現状のベストメンバーを組んでくると思います。以前から言っているように、トーナメントの初戦というのは、大会の初戦と同じくらい難しいんです。だからこそ原点というか、立ち戻るべきところに戻り、まずは(戦い方の)ベースを安定させた方がいい。

 スタメン予想をするなら、ゴールキーパーは(鈴木)彩艶、4バックは左から伊藤洋輝、冨安(健洋)、板倉(滉)、毎熊(晟矢)、中盤センターは遠藤(航)と守田(英正)、2列目が左に中村敬斗、右に伊東純也、トップ下に久保(建英)、そして1トップが上田(綺世)になります。

 2列目の右はインドネシア戦で毎熊と良いコンビネーションを見せた堂安(律)でもいいんですが、いずれにしてもこれまでのレギュラー陣でベースを作って、早め早めの交代策でフレッシュな選手をどんどん入れていくんじゃないかと見ています。ただ三笘(薫)に関しては、まだ無理はさせたくない。少なくともスタメンで使うことはないと予想しています。

 ゴールキーパーの彩艶についてはいろいろと批判もあるようですが、僕は「とても良い経験をしているな」と、ポジティブな見方をしています。

 あのスピードと高さのクロスボールはどこに弾けば良かったのか、あの状況であの立ち位置は正しかったのか、失点を防ぐためには味方のディフェンダーをどう動かしておけば良かったのか──。そういったことは経験からしか学べないし、あとはこの貴重な経験を今後の成長にどう繋げていくかでしょう。森保監督は次のワールドカップも見据えて、今大会は最後まで彩艶に正ゴールキーパーを任せるんじゃないかと思います。

世界でベスト8以上を目指しているなら

強固な守備ブロックを築いてくるであろうバーレーンを崩すには、トップ下を務める久保のパフォーマンスが重要な鍵を握りそう。そろそろゴールも欲しいはずだ 【写真:ロイター/アフロ】

 バーレーン戦のキープレーヤーには、久保の名前を挙げておきます。

 身体のキレもあるし、自分がなんとかしようという意思もプレーから伝わってきますが、ここまでは思うように結果が付いてきていません。ただアジアの戦いでは、相手がブロックを固めてくる最終ラインの中央部分を崩せなければ、なかなかゴールは奪えませんからね。だからこそ、トップ下の久保の動きが重要になってくる。彼がどこでボールをもらい、いかに周りの選手と連動しながら崩し、シュートまで持っていけるかでしょうね。

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 スコア予想は、2-0で日本の勝利。久保と上田が1点ずつ取ってくれると期待しています。堂安や中村敬斗も含め、前線の選手たちはみんなフィニッシュの局面で良いポジションにいるので、あとは決め切れるかどうかでしょう。

 優勝までを考えれば、ここをシャットアウトできれいに勝つぐらいじゃないと、チームに勢いは出てきません。そのためにも、守備ではカウンターに加えてセットプレーにも気を付けたいですね。多少の不運はあるにしても、今のチームはセットプレーの守備が脆すぎます。インドネシア戦もせっかく良いゲームをしていたのに、後半アディショナルタイムにロングスローから失点。あの試合が無失点で終わっていれば、気持ち良く次のバーレーン戦に目を向けられたのに、失点したことでまた反省からスタートしなくてはならなくなってしまった。

 とはいえ、幸いバーレーン戦までは中6日ありますからね。グループステージでの課題を洗い出し、軌道修正をする時間は十分にあります。難しいトーナメントの初戦に向けて、ここで今一度、チームをガチっと1つにまとめてほしいですね。

 ここまでの3試合を見てきても分かるように、アジアの対戦相手は日本のことを本当によく研究しています。ただそれも、日本が強くなった証拠。世界でベスト8以上を目指しているのなら、こんなところでつまずいていられないでしょっていうのが、僕の本音です。

福西崇史(ふくにし・たかし)

1976年9月1日生まれ、愛媛県出身。新居浜工を卒業後、95年にジュビロ磐田に加入。激しいプレーを身上にボランチの定位置を掴み、チームの黄金時代を支えるとともに、自身も4度(99年、2001年、02年、03年)のJリーグベストイレブンに輝いた。その後、FC東京、東京ヴェルディを経て09年1月に現役を引退。18年には東京都社会人サッカーリーグの南葛SCで現役復帰を果たし、同年11月から約1年間は同クラブの監督を務めた。日本代表としては02年日韓大会と08年ドイツ大会の2度のW杯に出場。通算成績は64試合・7得点。現在は主に解説者として活躍中だ。

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著者プロフィール

1967年、京都府生まれ。法政大学を卒業後、ファッション誌の編集者を経て、『サッカーダイジェスト』編集部へ。その後、94年創刊の『ワールドサッカーダイジェスト』の立ち上げメンバーとなり、2000年から約10年にわたって同誌の編集長を務める。『サッカーダイジェスト』、NBA専門誌『ダンクシュート』の編集長などを歴任し、17年に独立。現在はサッカーを中心にスポーツライター/編集者として活動中だ。

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