【福西崇史のスコア予想】ラウンド16・バーレーン戦 引いた守備ブロックを崩すためのキーマンは?
グループステージで予想以上の苦戦を強いられた日本代表。インドネシア戦の後半に見せたようなコンビネーションによる崩しが少なかったと、福西氏は指摘する 【写真:ロイター/アフロ】
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各駅停車のパス交換では崩せない
森保(一)監督が選手を入れ替えながら戦っていたので、パフォーマンスが安定感を欠いたのも、ある程度は仕方がなかったのかなと思います。ただ、前線にフィジカルの強いストライカーを置いて、そこを目がけてロングボールを蹴ってくるチームへの対応ができなかったこと、ボールは持てても最終局面でのコンビネーションプレーが少なく、相手の守備ブロックを崩し切れなかったことは、やはり反省材料でしょうね。
止めてパス、止めてパスの各駅停車のパス交換では、相手の陣形を揺さぶれるはずがない。インドネシア戦の後半くらいのリズムで、もっとワンタッチでテンポよくボールを動かしていかないといけないんですが、選手同士がイメージを共有できた崩しのシーンが、グループステージの3戦を通じてほとんど見られなかった印象です。
もちろん、いろんな選手を使いながら、ユニットとしての出来をチェックしている部分はあると思いますが、それにしてもゲームの中でのメリハリがあまりに少ない。先制されたから攻めに行こうとか、逆に先制できたからゆっくり回そうではなく、もっと自分たちが主導権を持ってギアチェンジをしていかないと。スペースがない中で、チームとしてどこをどう崩していくのかという意図が、もう少し伝わってくるようなサッカーをしてほしいですね。
イラク戦の教訓は生かされている
1メートル94センチの大型FWユスフ・ヘラル(中央)を擁するバーレーン。イラクと同じくロングボールを蹴り込んできそうだが、その分かりやすい狙いにどう対応するか 【写真:ロイター/アフロ】
現在のバーレーンにも、190センチを超える長身ストライカー(アブドゥラー・ユスフ・ヘラル)や、スピードのあるドリブラーの8番(モハメド・マルフーン)など力のあるタレントがそろっていますし、僕らが戦った時代とは違って、組織の完成度も高い。
中東開催ということもあって、もしかしたら韓国以上に厄介な相手になるかもしれません。おそらくイラクと同じようにカウンターを狙ってロングボールを蹴ってくるでしょうが、そうした狙いが分かっている中で、日本がどう対応するかでしょうね。
ただ、イラク戦は前線で相手にボールをキープされ、ずるずるとラインが下がってしまいましたが、インドネシア戦ではそこで得た教訓をしっかりと生かせていました。選手同士の距離感が良くなったので、裏抜けを狙う相手のフォワードも、ボランチとセンターバックで上手く挟み込めていましたからね。
イラク戦の敗北を経験して、前の選手を(プレスに)行かせるか、行かせないかの判断基準も明確になったと思います。確かにカウンターは怖いですが、それでもリスクを取らなければ、こちらも点は取れません。だからこそ、奪いどころをどこに定めるか、チームとしてしっかりと共有しておきたい。そうすれば、前からハメに行ってハマらず、ロングボールを蹴られてラインを下げるといった、イラク戦のような悪循環に陥ることはないと思います。