【福西崇史のスコア予想】ラウンド16・バーレーン戦 引いた守備ブロックを崩すためのキーマンは?

吉田治良

グループステージで予想以上の苦戦を強いられた日本代表。インドネシア戦の後半に見せたようなコンビネーションによる崩しが少なかったと、福西氏は指摘する 【写真:ロイター/アフロ】

 グループステージを苦しみながらも2勝1敗の2位で突破した森保ジャパン。1月31日に行われる決勝トーナメント1回戦の相手は、逆転でグループEを首位通過したバーレーンだ。ここでは元日本代表の福西崇史氏に、グループステージの日本の戦いぶりを総括し、負ければ終わりのバーレーン戦を展望していただく。試合展開は? スタメンは? キーマンは? さらにはスコアまでを福西氏が大胆予想する。

各駅停車のパス交換では崩せない

 グループステージの日本代表は、予想以上に苦労しましたね。

 森保(一)監督が選手を入れ替えながら戦っていたので、パフォーマンスが安定感を欠いたのも、ある程度は仕方がなかったのかなと思います。ただ、前線にフィジカルの強いストライカーを置いて、そこを目がけてロングボールを蹴ってくるチームへの対応ができなかったこと、ボールは持てても最終局面でのコンビネーションプレーが少なく、相手の守備ブロックを崩し切れなかったことは、やはり反省材料でしょうね。

 止めてパス、止めてパスの各駅停車のパス交換では、相手の陣形を揺さぶれるはずがない。インドネシア戦の後半くらいのリズムで、もっとワンタッチでテンポよくボールを動かしていかないといけないんですが、選手同士がイメージを共有できた崩しのシーンが、グループステージの3戦を通じてほとんど見られなかった印象です。

 もちろん、いろんな選手を使いながら、ユニットとしての出来をチェックしている部分はあると思いますが、それにしてもゲームの中でのメリハリがあまりに少ない。先制されたから攻めに行こうとか、逆に先制できたからゆっくり回そうではなく、もっと自分たちが主導権を持ってギアチェンジをしていかないと。スペースがない中で、チームとしてどこをどう崩していくのかという意図が、もう少し伝わってくるようなサッカーをしてほしいですね。

イラク戦の教訓は生かされている

1メートル94センチの大型FWユスフ・ヘラル(中央)を擁するバーレーン。イラクと同じくロングボールを蹴り込んできそうだが、その分かりやすい狙いにどう対応するか 【写真:ロイター/アフロ】

 決勝トーナメント1回戦の相手は、バーレーンに決まりました。僕自身も2004年のアジアカップ準決勝で対戦して苦しめられた経験がありますが(延長の末に日本が4-3で勝利)、当時から選手個々の能力が高くて、一発の怖さを持ったチームでしたね。

 現在のバーレーンにも、190センチを超える長身ストライカー(アブドゥラー・ユスフ・ヘラル)や、スピードのあるドリブラーの8番(モハメド・マルフーン)など力のあるタレントがそろっていますし、僕らが戦った時代とは違って、組織の完成度も高い。

 中東開催ということもあって、もしかしたら韓国以上に厄介な相手になるかもしれません。おそらくイラクと同じようにカウンターを狙ってロングボールを蹴ってくるでしょうが、そうした狙いが分かっている中で、日本がどう対応するかでしょうね。

 ただ、イラク戦は前線で相手にボールをキープされ、ずるずるとラインが下がってしまいましたが、インドネシア戦ではそこで得た教訓をしっかりと生かせていました。選手同士の距離感が良くなったので、裏抜けを狙う相手のフォワードも、ボランチとセンターバックで上手く挟み込めていましたからね。

 イラク戦の敗北を経験して、前の選手を(プレスに)行かせるか、行かせないかの判断基準も明確になったと思います。確かにカウンターは怖いですが、それでもリスクを取らなければ、こちらも点は取れません。だからこそ、奪いどころをどこに定めるか、チームとしてしっかりと共有しておきたい。そうすれば、前からハメに行ってハマらず、ロングボールを蹴られてラインを下げるといった、イラク戦のような悪循環に陥ることはないと思います。

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著者プロフィール

1967年、京都府生まれ。法政大学を卒業後、ファッション誌の編集者を経て、『サッカーダイジェスト』編集部へ。その後、94年創刊の『ワールドサッカーダイジェスト』の立ち上げメンバーとなり、2000年から約10年にわたって同誌の編集長を務める。『サッカーダイジェスト』、NBA専門誌『ダンクシュート』の編集長などを歴任し、17年に独立。現在はサッカーを中心にスポーツライター/編集者として活動中だ。

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