宇都宮が見せている「リバウンドメンタリティ」 佐々HCの“脱皮”はなぜ起こっているのか?
ホーバスHCからの学びも糧に
「僕は沖縄でHCをスタートさせてもらって、あのときも必死に頑張ってやっていましたけど5、6年前の自分は本当に甘かったと思います。一応まだ30代で、成長していかなければいけませんが、去年の自分とは違う自覚を持っています。ただ桶さん(桶谷大HC)とか、大野(篤史)さんとか、自分よりもっと素晴らしいコーチもいます。今日は勝ちましたけど彼らへ追いつけるように、僕も若いコーチとして頑張って、これからも成長していきたい」
佐々HCは琉球から宇都宮、22-23シーズンから23-24シーズンと、一歩一歩階段を登っている。昨夏はあの名将から学びを得た。
「沖縄の地で、幸運にも(アシスタントコーチとして)W杯を経験させてもらいました。オリンピックを決めるようなチームに関わって、トム・ホーバスの下で学んだこともあります。色々ありすぎますけど、組織作りみたい部分は(ホーバスHCの手法を)意識してやっています。単純に言うと一人一人の役割、リーダーシップの重要性をチームに伝えていっています」
苦しいゲームをモノにする宇都宮
指揮官はチームの成長についてこう胸を張る。
「7点差ビハインドになったときの選手たちの目の強さと、喋る様子が『この地で勝つぞ』『諦めないぞ』という気持ちが伝わってきて、今年のチームはそこが本当にすごいと感じます。僕らもゲームプランはありますけど、意志を持っている選手たちがいる。それが苦しいゲームでも勝てている一つの要因だと思っています」
どんなスポーツでも連敗しない、勝負どころで最大値を発揮できるのは「いいチーム」だ。今季の宇都宮にはそのような逞しさ、しぶとさがある。
「『広い心』が身についた」
「良い奥さんをもらって、子どもができて、何かすごい世界が広がっている感じがします。すごく、優しくなりましたよね。人に優しくなって、一緒に飲んでいても楽しい。チームをまとめるに当たって、そういうのは結構重要なのかなと思っています。相手のコーチに僕が偉そうに言うことじゃないですけど、彼は『広い心』が身についてきました。僕はすごく彼を尊敬していますけど、そういうのが見えてきています」
今季の宇都宮はD.J・ニュービル、エドワーズといった新加入選手がいたとはいえ、顔ぶれは昨季からそれほど変わっているわけではない。そのような状況下で戦績、試合内容が改善している理由の一つは、間違いなく指揮官の脱皮だろう。出番は少なくともベンチで仲間を盛り上げている田臥勇太や渡邉裕規、チームの苦境を救った竹内公輔といったベテランの存在も大きい。今季の宇都宮は比江島慎を筆頭とした選手たちの「本来の能力」が引き出されているグッドチームだ。