高校サッカーが生んだ「平成の怪物」平山が仙台大監督に就任、令和の怪物育成へ
今年から仙台大学サッカー部の監督に就任する平山(写真は筑波大コーチ時代) 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】
「目標は、一番高くしたい」
大学サッカーでは、夏に行われる総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント、冬に行われる全日本大学選手権が日本一決定戦だが、仙台大は、どちらも過去最高成績は3位。23年の夏は16強、冬は8強だった。トレンドの戦術を採用したり、AIカメラを導入してデータ解析で選手の成長を促すなど先進的な取り組みの多いチームで、19年の天皇杯出場時には、クラウドファンディングを実施。22年10月には部活動・教育機関によるトークン発行を日本で初めて行うなど、他に先駆けた挑戦を多く行っている組織で、部活動の地域移行への貢献なども進めている。興味深い取り組みを行う地方の強豪という立場だが、平山の監督就任で全国大会のさらに上位に食い込めるか、注目される。
平山自身を「反面教師」に
2017年に現役を終えた自身のキャリアについて、平山は「幼少期はワールドカップ出場を信じて疑わなかったのに、プロ生活が始まると、レギュラーになる、出場する、得点するといったことばかりにフォーカスしてしまい、ワールドカップという夢がだんだん薄まってしまった」と振り返る。自身が指導する大学生には「選手には目標を持ってほしい。選手の意思がすごく重要。それは、現役時代の自分に足りなかった部分だから」と反面教師として捉え、夢にまい進することを求める姿勢を示した。
当初はプロの世界の監督を目指していたが……
指導者の道を歩み始めた当初は、プロの世界で監督として活躍することを考えていたが、長く大学生と接する中で「自分が育成年代の頃は、指導者から言われたことをやる傾向が強く、当時は何の疑問も持てなかった。でも、大学生は、子どもでもないし、大人でもない。自分の意見を言ってくる選手もいて面白い。彼らの成長に携わることで、自分自身も(指導者として)成長できると感じた」と大学生カテゴリーの指導を目指す方針に切り替え、今回の仙台大監督就任に至った。
平山が監督に就任する仙台大は、東北で唯一の体育大学だ。サッカー部は、全国大会の常連。13年連続でプロ選手を輩出しており、23年シーズンの4年生は、過去最多5人がプロ入りする強豪だ。2010年の監督就任からチームに携わり続け、現在は総監督として、個の育成を重視するチーム作りを推し進める吉井秀邦総監督は「体育大として指導者を育成する目的も持っている組織なので、学生として入ってきた平山君が、指導者として戻って来ることは、大学が社会に対する使命を達成できた部分もあり、嬉しく思っている。まずは、トップチームのみを見る形になるが、将来的には、今の私の立場を担ってほしい」と6チーム編成の大所帯を束ね、方向性を決め、新しい取り組みに挑戦し続ける組織のまとめ役への成長に期待をかけた。
素材感抜群の選手として期待された一方で、期待に応えるような飛躍を目指す過程で苦しんだキャリアを持つ平山は、どんなチームを作り、どんな選手を育てるのか、注目される。
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