【ウインターカップ特別企画】河村勇輝の高校時代…指揮官&ライバルの証言から“新スター誕生”を紐解く
優勝メダルを手に笑顔を見せる河村勇輝 【(C)須田康暉】
そんな彼が多くのバスケットボールファンに知られるようになったのは、高校時代のウインターカップまで遡る。2017年大会で1年生ながら福岡第一高校(福岡県)の先発ポイントガードに抜擢され、翌年から大会連覇を達成。当時から突出したスキルとスター性を持ち合わせていた河村は、かつての指導者やライバルにどのように映っていたのだろうか。当時の河村を知る福岡第一の井手口孝コーチと、何度もマッチアップを繰り広げた中部大学第一高校(愛知県)OBの中村拓人(広島ドラゴンフライズ)に話を聞いた。
ライバルとして「すごく意識していた」
「自分の中では河村選手のことをすごく意識していました。ウインターカップ、国体も含めて河村選手にやられたという感覚でした。1回も勝てませんでしたから」
中村が河村を意識し始めたのは、「高校2年次のウインターカップ」だという。中部大第一と福岡第一は準々決勝で顔を合わせ、2人は先発ポイントガードとして対峙した。試合はわずか3点差で福岡第一に軍配。翌年、中村は背番号4を背負う絶対的司令塔として中部大第一をウインターカップ決勝まで導いた。優勝をかけた相手は、1年前に敗北を喫した福岡第一。中村はチーム最多の15得点をマークしたが、再びマッチアップを繰り広げた河村に16得点7アシストの活躍を許し、42−85の大差で高校最後の試合を終えた。
河村とマッチアップする中村 【(C)大澤智子】
同じポジションかつ世代トップの選手である中村から見ても、河村のスピードとパスセンスは当時からずば抜けていたという。
「まずは『とにかく速い』というイメージが強かったです。ディフェンスからの切り替えの速さが彼の一番の持ち味だと思っていました。加えて周りの選手も走力がありました。パスに関しては何度も試合をしていたので、どこに出すかある程度わかっていたつもりでした。でも、河村選手はそれ以上のパフォーマンスを見せてくるすごいプレーヤーでした」