中京大中京と東邦が創立100周年の記念試合 往年の名選手も多数登場、長年のライバルが称えあう

尾関雄一朗

 第2試合【高校野球部】 中京大中京 6-0 東邦

現役の高校野球部を率いる高橋源一郎監督(中京大中京/写真左)と山田祐輔監督(東邦) 【筆者撮影】

 午後からの現役高校ナインによる対抗戦は、6対0で中京大中京が勝った。

 中京大中京は今年夏の大会も経験したエース左腕・中井遥次郎(2年)が5回2被安打と安定した投球を披露。2番手の193センチ右腕・宮内渉吾(1年)は球速145キロを叩き出し、2回1被安打と好投した。東邦は大型捕手の高柳大治(2年)が9回表にマウンドに上がり、2三振を奪った。球速は141キロをマークし、潜在能力の高さを感じさせた。

中京大中京ナイン。今秋県大会では3回戦で延長11回タイブレークの末にサヨナラ負け。なお相手の愛産大工の鈴木将吾監督も中京大中京の出身だ 【筆者撮影】

 中京大中京の注目スラッガー・山田頼旺(2年)は初回、左翼フェンス手前へ先制の2点タイムリー二塁打をかっ飛ばした。ここまで高校通算14本塁打の強打者が、中京の新たな歴史を刻みそうだ。

「バンテリンドームナゴヤは憧れのグラウンドだったので、初めて打席に立てて一つ夢が叶いました」と話し「高橋宏斗さんたちの世代の中京大中京が強くて、あのユニフォームで野球がしたいと思いました。100周年は入学前から意識していましたし、来年夏は必ず結果を出せるバッターになりたいです」と力を込めた。

東邦ナイン。今秋県大会では準々決勝で豊川に惜敗した。東邦を下して勢いがついた豊川はその後、東海大会を制覇している 【筆者撮影】

 閉会式では、両校の現役野球部生を代表して、まずは東邦の林里樹(2年)が「素晴らしい大会を開いていただきありがとうございました。両校が切磋琢磨しあい、愛知県の野球を盛り上げていきたいです」と立派にスピーチ。会場が凛とした空気に包まれた。

 さらに中京大中京の佐古響次朗(2年)が「小学4年のとき、家族に連れられて訪れた初めての甲子園で見た大逆転劇。それが東邦高校でした。中学のとき、神宮大会の優勝を見て、中京大中京への思いが日に日に強くなりました。野球少年憧れの2校が創立100周年にともに集い、熱い交流ができたことを嬉しく思います。100年後の未来にも憧れのチームとしていられるよう、伝統と歴史を汚さず、踏み出していきます」と誓った。

閉会式でスピーチする佐古響次朗(中京大中京2年) 【筆者撮影】

 目指すは来年夏の“深紅の大優勝旗”だ。春は全国最多(5回)の甲子園優勝がある東邦にとって、夏は初の偉業となる。夏7回の甲子園優勝を誇る中京大中京にとっては、その全国最多記録を自らの手で更新することになる。未来へ、両校の進化はとまらないはずだ。

2/2ページ

著者プロフィール

1984年生まれ、岐阜県出身。名古屋大を卒業後、新聞社記者を経て現在は東海地区の高校、大学、社会人野球をくまなく取材するスポーツライター。年間170試合ほどを球場で観戦・取材し、各種アマチュア野球雑誌や中日新聞ウェブサイトなどで記事を発表している。「隠し玉」的存在のドラフト候補の発掘も得意で、プロ球団スカウトとも交流が深い。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント