東洋大・酒井監督のクリエイティブな指導 柏原が抜けた5区に意外な起用、その根拠は?

生島淳
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【写真は共同】

 正月の風物詩・箱根駅伝では、100年の歴史の中で数々の名勝負が繰り広げられ、瀬古利彦(早稲田大)、渡辺康幸(同)、柏原竜二(東洋大)らスター選手、澤木啓祐(順天堂大)、大八木弘明(駒澤大)、原晋(青学大)ら名監督が生まれてきた。

 今やテレビ中継の世帯視聴率が30%前後を誇る国民的行事となっている。なぜここまで惹きつけられるのか――。45年以上追い続けてきた著者・生島淳がその魅力を丹念に紐解く「読む箱根駅伝」。生島淳著『箱根駅伝に魅せられて』から、一部抜粋して公開します。

32歳の〝あんちゃん〞が監督に就任

 酒井俊幸監督は、2009年の春に福島県の学法石川高校の先生から、東洋大学の監督に転身した。私がインタビューした際に、当時のことをこう振り返っている。
「母校から監督の話をもらったのは、本当にありがたいことでした。監督を引き受ける前、2009年の箱根駅伝で初優勝したレースも見に行ってたんですよ。やっぱり、この舞台で選手を指導してみたい、そういう思いがふつふつと湧いてきたのが分かりました」

 そして学法石川の生徒たちには「お話があります」と話し、大学の監督になることを伝えた。福島には背中を見せるわけだから、どんな言葉が返ってくるのか、厳しい言葉も寄せられるのではないかと覚悟していたというが、生徒たちは背中を押してくれたという。

 面白かったのは、新監督を迎えた東洋大学の学生たちの反応だった。当時の選手はこう振り返る。
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