J2甲府はACLでも奇跡を起こせるか? グループ首位浮上に導いた選手起用と戦術
3点目は「3人目の動き」から崩す
関口は言う。
「篠田監督からも『3人目の動きは狙っていこう』という話があった。飯島がいいところに出してくれて、そこに侵入できた。ファーに打つよりは上に強い球を、思い切り振ろうと打ったのがいいところに飛んでくれた」
甲府は89分にも途中交代の鳥海芳樹がゴールを決め、4‐1で快勝してみせた。
J2とACLの相乗効果
篠田監督はJ2とACLの相乗効果、相互の刺激を口にする。
「リーグ戦と並行してACLに参加していますけど、リーグ戦の選手たち、リーグ戦に出ていなくてACLに出る選手たち、そしてまたACLで出なかったリーグ戦の選手たちという具合に、さらにモチベーション高くリーグ戦に臨んでいる。本当にいい形で毎試合を迎えている。非常にいい流れだなと思っています」
ACLではチームキャプテンも任されている関口はこう分析する。
「二巡目に入ったところで、しっかり前節の反省を生かして、4点を取って勝ったのは良かった。リーグ戦も佳境に入ってきている中、並行して戦っていますが、うまく相乗効果を出せている。チーム全体で勝とうというところで、いい循環が起きているのかなと思います」
甲府が示すJ2の底力
2022年の天皇杯をJ1クラブに5連勝して制したとはいえ、甲府はJ2のクラブだ。中村も鹿島でなかなか出番を得られず、期限付き移籍で甲府に返された選手。個々の年俸や知名度を比較すれば彼らはJ1勢に間違いなく劣る。しかしそんなチームが2つの大会に真正面から挑戦し、堂々と戦っている。篠田監督と選手たちの奮闘はあるにせよ、J2の底力を感じる快進撃だ。
仮に甲府がグループステージを突破し、2024年に開催されるノックアウトステージを勝ち上がってACLを制したならば、それは天皇杯制覇を凌ぐ世界的快挙だ。我々もそんな『夢』を見るくらいは許されていいだろう。