1年目から大活躍!? ドラフト指名された即戦力候補たち

門脇誠、茶野篤政に続く選手は誰だ!? 1年目から活躍する可能性を秘めた下位・育成指名の野手6人

西尾典文

尾田は広いバンテリンドームでスピードをアピールしたい

阪神が育成2位で指名した福島は走攻守の三拍子揃った外野手。今春には関甲新学生野球連盟のシーズン最多盗塁記録を更新した 【西尾典文】

 育成で指名された野手で、まずよくここまで残っていたなという印象を受けるのが福島圭音(白鴎大→阪神育成2位)だ。白鴎大では2年春から外野の一角として活躍。そしてすさまじい活躍を見せたのが今年の春である。9試合で20安打、打率.526、20盗塁という圧倒的な成績で首位打者、最多安打、盗塁王、最高出塁率と数々のタイトルを獲得したのだ。地方リーグとはいえ、ここまでの数字を残せる選手はなかなかいない。惜しくも代表入りは逃したものの、6月の大学日本代表候補合宿にも選出されている。

 上背はないものの、脚力と肩の強さは抜群で、パンチ力も備えており、外野手としての総合力が高い。阪神は今年、近本光司がケガで離脱した時に代役となるセンターに適材を欠いていただけに、外野のバックアップ要員として早くから戦力になる可能性もあるだろう。

 同じ外野手で、足のスペシャリストとして面白いのが尾田剛樹(栃木ゴールデンブレーブス→中日育成3位)だ。大阪観光大では久保修(広島)とともに活躍。独立リーグ1年目の今年はセンターのレギュラーに定着すると、惜しくも打率3割には届かなかったものの(.292)、65試合で32盗塁をマークした。パワーは少し物足りないが、ミート力は高く、粘って四球を選ぶことも多く、プレースタイルは野間峻祥(広島)と重なるものがある。トップスピードになるまでが早いうえ、ベースランニングも上手く、脚力だけでなく走塁の判断の良さも持ち味だ。広いバンテリンドームナゴヤで、持ち味であるスピードをアピールしてもらいたい。

SB育成1位の大泉はHRを打つコツを知る

 既述の井上と同様、大泉周也(福島レッドホープス→ソフトバンク育成1位)も打撃の一芸選手として興味深い。山形中央では県内屈指の強打者として注目されたが、日本製鉄鹿島では結果を残せずに3年で退社。独立リーグの福島でも昨年までの2年間はそこまで目立った成績を残していなかったものの、3年目の今年は打撃が大きく開花。61試合で打率.349、16本塁打、52打点という見事な成績を残し、24歳にしてドラフト指名を勝ち取った。

 たくましい体格を活かしたフルスイングは迫力十分で、その長打力は独立リーグの選手の中ではナンバーワンと言える。引っ張るだけでなく、センターや左方向へも放り込むことができ、今シーズンは完全にホームランを打つ“コツ”をつかんだ印象を受ける。来年で25歳という年齢を考えても、早期の支配下登録が目標となる。

 低い順位でプロ入りした選手は上位指名の選手と比べて与えられるチャンスが少ないとよく言われるが、それでも近年は光るものがあればすぐに引き上げられるケースも目立つ。来年もこの中から驚きの活躍を見せる選手が出てくることを期待したい。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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