けがを押してダンクコンテストに出場したコービー 高校生ながら「ロックスター級」の大歓声を浴びる
【Photo by Mark Terrill/Pool/Getty Images】
マイク・シールスキー 著『THE RISE 偉大さの追求、若き日のコービー・ブライアント』はNBAレジェンド、コービー・ブライアントがフィラデルフィアで州大会優勝を成し遂げ、レイカーズに入団するまでの軌跡を描いています。この連載では、コービーの高校時代を彩るさまざまな要素を一部抜粋の形でご紹介します。
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トリートマンやエイシーズ関係者は全員、コービーが腕の痛みを悪化させる心配とは別に、コンテストに参加したらどこまでできるのか興味があることは認めざるを得なかった。試合中に普通にダンクするところは見たことがあった。力強く、高校生にしては素晴らしかったが、彼の創造性や運動能力は、バスケットボールのルールに制限され、スポーツマンシップの許す範囲内に収まっていた。しかし、助走も小道具もありの制限がない状況で、彼には何ができるのだろうか?
決勝戦に進んだのは彼と友人のレスター・アールで、コービーが次のダンクについてあれこれ検討する間、一人の少年が「コービー! コービー!」と唱える声が聞こえてきた。コービーは右手でボールを持ちながらファウルラインから踏み切って、空中で左手に持ち替え、バスケットにぶち込んだ。アールも完璧なダンクでそれに応え、二人にはタイブレークでもう一度チャンスが与えられた。
勝つには想像力を働かせないといけないことがわかったアールは、ボールが九つ乗ったままのバスケットボール・ラックをコートに引っ張ってきて、コートの右側のベースラインとファウルラインの間の中間地点に設置した。右側から二回ドリブルをつき、軽々とラックを越えるとアールは左手でボールを叩き込んだ。迫力満点だった。また10点が三つ並んだ。グレン・オークス高校の選手たちがアールをハグしにコートに押し寄せた。これでコービーは同点にするしかなくなった。それは簡単なことではなかった。