皐月賞馬ジオグリフが異例の地方ダートGI参戦 甦る27年前の記憶と過去の事例、その勝算は?

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2022年の皐月賞馬ジオグリフがJRA地方交流GIのマイルチャンピオンシップ南部杯に参戦 【写真は共同】

 10月9日(月・祝)に岩手・盛岡競馬場1600mダートで開催されるマイルチャンピオンシップ南部杯には、昨年の勝ち馬であるマイルGI・3勝馬のカフェファラオ、今年のフェブラリーステークスの勝ち馬レモンポップをはじめ、地方からも交流重賞3勝のイグナイター、昨年のかしわ記念2着・一昨年のマイルCS南部杯3着のソリストサンダーら強豪馬が集結した。

 これら秋のダートマイル王決定戦にふさわしい顔が並ぶ中、ひと際異彩を放っている馬が1頭、いる。その馬とはもちろん、2022年皐月賞馬のジオグリフだ。

皐月賞馬の交流GI出走で思い出すあの名馬

 中山2000m芝を舞台に行われた3歳クラシック三冠レースの第一冠・皐月賞では、ドウデュース、イクイノックス、ダノンベルーガらを相手に好位から力強く伸びて1馬身の差をつける完勝。このほか、出世レースである共同通信杯でも2着に来ており、2歳時の札幌2歳ステークスでは4馬身差の圧勝と、芝部門における現役トップクラスの実績馬であることは言うまでもない。

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 そのクラシックホースがJRA・地方交流重賞であるマイルCS南部杯に登録し、盛岡競馬場にやって来るというのだから競馬ファンの間でも大きな話題となっている。そして、皐月賞馬が交流重賞に参戦、となればオールドファンならば“あの馬”のことを思い出したに違いない。

 その名は、イシノサンデー。

 サンデーサイレンスの2世代目の産駒にあたり、1996年の皐月賞を制覇。前哨戦の弥生賞3着から本番は4番人気での勝利というのは、共同通信杯2着→皐月賞5番人気で1着というジオグリフともどこか似通っているものを感じる。また、イシノサンデーは続く日本ダービーを6着に敗れており、ダービー7着だったジオグリフとこれまた同じような成績で春のクラシック二冠ロードを終えている。

芝&ダートの3歳頂点に立ったイシノサンデー

1996年の皐月賞馬イシノサンデー(左)は秋はダートに転向し、ダービーグランプリを制した 【写真は共同】

 秋は距離適性を理由に菊花賞をパスしたという点もこの2頭は同じ。ただし、ジオグリフは当初から天皇賞・秋を目標にぶっつけで挑んだのに対し、イシノサンデーはセントライト記念4着、京都新聞杯5着と続けてトライアルレースを敗れたことから中距離に方向転換。ただし、向けた矛先が芝ではなくダートだったことが大きなサプライズだった。また、当時は中央と地方の交流競走が始まったばかりであり、そうした黎明の時期に中央芝のクラシックホースが地方のダート交流重賞に参戦するというのは当然のことながら、大いに盛り上がったものだ。

 そして、イシノサンデーが凄かったところは単にダートに参戦しただけではなかったこと。もともと、2月東京のジュニアカップ1着でダート適性の高さは見せていたのだが(当初は1600m芝で開催される予定だったが、降雪のために急遽ダートでの実施に変更となった)、名手・石崎隆之を背に地方初戦の大井スーパーダートダービーで3着に入ると、続く盛岡のダービーグランプリで見事に1着。同一年度に芝とダートの両方で3歳馬の頂点に立ったのだった。

 皐月賞馬による地方交流重賞参戦は、このイシノサンデー以来だから実に27年ぶり。牡馬クラシックホース全体に広げてみても、2004年菊花賞馬のデルタブルース(07年東京大賞典12着。有馬記念から中5日での出走だった)くらいだから、やはりJRAクラシック馬の地方交流重賞参戦は異例のことと言っていいだろう。

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