皐月賞馬ジオグリフが異例の地方ダートGI参戦 甦る27年前の記憶と過去の事例、その勝算は?

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桜花賞馬キョウエイマーチは99年マイルCS南部杯2着

 一方、牝馬のクラシックホースによる地方交流重賞挑戦となると、やはり数は多くないものの、ダイワエルシエーロ(05年川崎記念6着)、メイショウマンボ(15年スパーキングレディカップ6着)、レッツゴードンキ(16年JBCレディスクラシック2着など)がいるが、ここで特に注目したいのがキョウエイマーチだ。

 1980年代の欧州最強馬とも言われたダンシングブレーヴを父に持ち、1997年桜花賞をはじめ重賞5勝挙げた快速牝馬。ダート交流重賞では今回と同じ盛岡で行われたマイルCS南部杯で99年に2着に入っており、2000年黒船賞(高知)でも3着と好成績を挙げている。さらに、キョウエイマーチの血は孫のマルシュロレーヌへと受け継がれ、2021年、ダート競馬の本場である米国の祭典ブリーダーズカップにおけるダート牝馬の最強決定戦・ディスタフで日本馬として初めて勝利するという快挙を達成した。なお、マルシュロレーヌの2つ年下の弟バーデンヴァイラーもマーキュリーカップ、佐賀記念とダート交流重賞を2勝、姪にあたるナミュールは芝のチューリップ賞1着、オークス3着、秋華賞2着、その妹ラヴェルもアルテミスステークス1着など、キョウエイマーチの子孫は幅広く活躍している。

ジオグリフの海外ダート2戦は決して悪くない

 と、ここまでJRAクラシックホースによる過去のダート交流重賞の参戦を振り返ったが、好走したイシノサンデー、キョウエイマーチに共通することと言えば、1つはクラシック第一冠目の覇者であり、もう1つは舞台が盛岡競馬場だったことだ。多少、強引かもしれないが、今回のジオグリフもこの2つの符号にピタリと当てはまっている。

 ジオグリフはこれまでダートで2戦走っており、4着、11着と結果を残せていない。しかしながらこの2戦はサウジアラビア、ドバイと国際GIレースの2戦であり、皐月賞馬と言えどさすがに厳しかったか。一方、この2戦の中身を改めて振り返ると、サウジカップ4着は交流GI・2着が3度あるクラウンプライド、昨年のチャンピオンズカップの勝ち馬ジュンライトボルトに先着し、3着だったカフェファラオともわずかアタマ差。続くドバイワールドカップは11着ながら12着カフェファラオに先着している。ということは、あくまでこの海外2戦での結果を基準にした考えではあるが、ジオグリフのダートでの実力はGI・3勝のカフェファラオとほぼ互角のものであり、日本馬同士の戦いならば十分に勝ち負けの算段ができるということにはならないか。

 加えて、先ほど挙げた“クラシックホースがダート交流GIで好走する符号”が2つ合致しているという追い風も吹いている。27年ぶりの皐月賞馬によるJRA・地方交流GI級制覇へ、二刀流のチャンピオン誕生は近いのかもしれない。

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