昇降格と「Bプレミア」でより難しくなったB2 新シーズンの「台風の目」はどこになる?
越谷にはLJピーク(左)と井上宗一郎が加わった 【(C)B.LEAGUE】
新カテゴリー「Bプレミア」誕生も見越した、アリーナ建設や経営拡大といったオフコートの戦いもある。B2はまだ未来への展望をはっきり描けていないクラブが多い。そんな中で昇格、降格を巡る争いに向かうのだから大変だ。
越谷にB1優勝HC、日本代表が加わる
まず楽しみなのは安齋竜三ヘッドコーチ(HC)の就任だ。宇都宮ブレックスを2021−22シーズンのB1制覇に導いた直後に越谷へ移り、昨季はアドバイザーとしてチームに関わっていた。42歳とは思えない風格、包容力を兼ね備えた指揮官で、不思議な安心感を与えるキャラクターでもある。
井上宗一郎の加入は大きなサプライズだった。先日のFIBAバスケットボールワールドカップ2023(W杯)に出場した24歳。201センチ・105キロのパワーフォワード(PF)で、3ポイントシュートを強みにしている。W杯本番こそプレータイムをほとんど得られなかったが、アジア予選では主力の働きを見せていた。
安齋HCは井上の加入についてこう説明する。
「日本人のビックマンは何年か前だとかなり重宝されていたのですが、今は帰化選手やアジア枠の選手が入ってくる中で、なかなかプレータイムを得られていません。そこは本人も気にしていた部分だと思います。日本代表でかなりいいパフォーマンスをしているにもかかわらず、リーグ戦はなかなか力を発揮できていない状況を一緒に打開したい――。そういう思いがあって、声を掛けさせていただきました」
Bリーグは外国籍選手を1試合に3名登録できて、2名が同時にコートへ立てる。さらに帰化選手、もしくはアジア枠の選手をそれと別枠で登録・起用できる。外国出身選手はセンター(C)、パワーフォワード(PF)といったインサイドに集中していて、日本人選手は代表レベルでもなかなかコートに立てない現実がある。
とはいえ、外国籍とのポジション争いは越谷も同じだ。井上自身は加入の理由をこう語っていた。
「僕のポジションは外国籍とのマッチアップが多いですけど、B2の外国籍選手が劣っているわけではないし、自分も出場機会が約束されているわけではないと思っています。他にB1からのオファーもありました。ただその中でもアルファーズは『B1に昇格する』という明確な目標があるので惹かれました」
外国籍選手も強力
ジャスティン・ハーパーはNBA経験も持つ34歳で、「ストレッチ4」タイプ。昨季はチーム最多の1試合平均17.3得点を記録しているPFだ。インサイドについてはバッツ、ハーパー、井上の3選手がローテーションで起用されることになるだろう。
越谷は井上の加入により、外国籍の1枠をウイングに割けるようになった。そんな補強がLJ・ピークだ。196センチ・97キロのスモールフォワード(SF)で、27歳とまだ若く、パワーとキレを兼ね備えたドライブはB1でもなかなか見ないレベルだ。2020-21シーズンは宇都宮で活躍し、2021-22シーズンは熊本ヴォルターズでB2得点王に輝いている。ただし昨季はB1からB3まで計3クラブを渡り歩く、やや不安定な1年を過ごした。宇都宮時代に比べると明らかにオーバーウエイトで、プレーも強引になっている様子だった。
ただ安齋HCは宇都宮時代にピークをしっかり「操縦」していた指揮官だ。
「LJは一緒にやらせてもらいましたし、人間性も分かっています。プラス井上選手には責任を持ってポジションを全うしてもらおうという意思表示もあって、LJに入団してもらいました」(安齋HC)
笹倉怜寿は越谷の正PG候補だ 【(C)B.LEAGUE】
喜多川はアイシン(現シーホース三河)、琉球ゴールデンキングス、宇都宮ブレックスと強豪を渡り歩いてきた38歳のベテランシューター。ハーパー、井上とともに「守備を広げる」「LJピークのインサイドアタックを引き出す」貢献に期待できそうだ。越谷はPGの二ノ宮康平(35歳)、SF菊地祥平(39歳)と「若手のお手本になるベテラン」を既に擁していたが、そこに人望の厚い喜多川も加わった。高齢化は気になるものの井上と笹倉の加入で若手が確保され、チームとして組み合わせやすそうな、バランスのいい補強が実現している。